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働き方を考えるブログ

加工屋の社長と話して技術者が減っていると言う事実を実感。

雑記

加工屋とは

今は1月。毎年恒例年始の挨拶周りの中で、加工屋の社長と話をしました。

僕は仕事を出す側なので、遠いところわざわざ来ていただいたんですよ。

そして年始なのでまだお客様も営業していなくて丁度暇だったから、無駄話に花が咲いちゃって。

結局3時間近く話していました。その中で「加工にしろ設計にしろ、昔のような知識や技術を持っている人がすごく減っている」と言う話に激しく同意。

今はパソコンがあって、CADがあってCAMがあって、作り方を知らなくても図面が書ける時代なんですよね。

 

料理がそうだよね

製品を作る技術とは関係ありませんし、言い方を変えれば技術が進歩した結果かもしれない。けれども、社長と話していてふと思ったのが料理の事。

今はお味噌汁1つとっても、出汁から取る人ほとんどいないんじゃないかな。ってね。

何しろ味噌が出汁入りで売ってますからね。お味噌汁を作ろうと思ったら、出汁入りの味噌をお湯に溶くだけでいい。

出汁の素なんて便利なものも売っています。ひょっとして出汁を昆布や鰹節から取る事も知らない人もいるんじゃないかな。

この間電気屋に行ってきましたが、今はオーブンレンジでから揚げも作れるんですね。煮る・焼く・蒸す・揚げるがこの一台でできます。なんてキャッチコピーが付いていました。

もうびっくりですよ。油の温度とか一切関係なく、ヘルシーで美味しいから揚げがボタン1つで作れるんですから。

お米だって無洗米があるでしょう?

炊飯ジャーにお米を入れて、水を入れて、ボタンを押せば炊けるんですよ。すごい時代になったものです。

煮物だって弱火でコトコト煮る必要はなく、電子レンジでチーンとすれば、出来るんですよ。

それに冷凍食品もありますからね。そのうち「料理?ボタンを押してチーンってすることでしょ?」なんて言われる時代が来るのかも。怖い怖い。

本当に怖いから娘には料理をやらせよう。うん。

 

技術の話に戻るけど、けがきって分かりますか?

量産品は製品に加工の基準ついていて、そこを機械につき当ててボタンを押せばだれでも出来るようになっているんですよ。

でも、試作品やテスト品はそもそも加工基準がないんです。量産品と同じ感覚で加工をすると、とんでもないものが出来上がります。

出来あがった素材(製品になる前の品物の事)をみて、ちょうどいいバランスで加工できるように、加工の基準を出すのが加工屋の腕なんです。

そのために、素材に傷をつけるけがき作業を普通にやっていたんですが、今はやらなくなったところが多いみたいです。

けがきって言われても、何のことか解らない人も増えているとか。

出来る人が減っているんですよ。もちろん絶対に必要な作業ではなくなってきているから、出来る人が減っているんだと思いますが。

話を聞いていて面白かったのが、けがきが出来ない、基準の出し方も、バランスのとり方も分からないから、別の加工屋で基準出しだけをやってもらう。

そして、基準の出ている素材をつき当てで加工する。そんな加工屋が増えているそうです。

基準が出ている素材なら、はっきり言ってどこでも加工できるんです。

少し前まで、「バランスをどう取るかが加工屋の腕だから」なんて言ってくれる少しこわもてのおじさんが結構いた気がするんですが。

なんか、寂しいですね。

 

後継者がいないから技術を買ってくれと言われた事もある

東北方面へ仕入れ先を探しに行った時の話です。

もう、70歳近い方が4・5人で工芸品を作っている、小さなメーカーがあったんです。

ちょっと面白い技術を持っていたので、仕事に出来ないかなと思って行ったんですが、そこで言われました。

「後継者がいないから、この技術を30万円で買わないか?」と。

買っても良かったんですが、買っただけで出来るものでもありませんし。それになんだか切なくなっちゃって。

こういう後継者のいない技術って、探せばかなりありそうですよ。木桶なんかもそうみたいですし。

伝統的な技術はまだ残そうと言う動きが起こったりもしますが、そうでなければ知らないうちに消えて行ってしまう。

それこそ文献で読むことは出来ても、実際に出来る人はいない。そうなってしまった技術も沢山あります。

 

φ20の穴にφ20のピンが入ると思っていた設計者

図面とCADデータを支給してもらって、さぁどうやって加工しようかと寸法を確認していると、φ20の穴にφ20のピンを入れるようになっているところがあるんです。

何かの間違いかな?と思い確認すると、「CADでは入りましたよ」と言う回答が。

ちょっと考えてもらえば分かるはず。φ20の穴にφ20のピンは入りません。

入らないから「はめあい」とか「公差」があるんです。

でもね。CADだと、φ20の穴にφ20のピンが入るんですよ。正確には「入る」じゃなくて、「重なる」なんですけどね。

何でこういうことが起こるのかと言うと、図面を書く人が実際にどう作っているのかを知らないことが結構あるんです。

作り方を知らない人が書く図面ですから、当然作れない事があったり、ものすごく高価な物になってしまったりします。

CADで絵を書いて図面を起こすのは、CADの使い方さえ知っていればだれでも出来ます。でも実際に、安く早く良い物を作ろうと思ったら、どう作られるのかを知らないと無理なんですよ。

けがきの話もそうですが、図面の書き方は本から学べても、実際の作り方は現場に出ないと分かりません。分からないからφ20の穴にφ20のピンが入ると勘違いをするんです。

 

1人辞めただけで品質がガタ落ちになったメーカーもある

中心にいた方が定年で退職しました。そのとたん品質がめちゃくちゃになるメーカーが結構あります。

たった1人配置換えになっただけで、今まで作れていた品物が作れなくなるメーカーもあります。

今主流になりつつある(でも主流にはなりきれない)3Dプリンターも、誰が使うかで品質は全然違ってくるんですよ。

ボタン1つで物が作れる機械でさえノウハウが必要。

ましてや色々な工程が必要になる製品なら、もっと沢山の知識が必要ですよね。

そして加工屋の社長と話していて思うのが、やっぱり苦労しているんだなと言う事。

1つの製品を作るのに、旋盤やボール盤、色々な機械を使って加工した経験があるからこそ、マシニングで加工するときも、段取りが頭の中で組める。そう言っていました。

同じ加工機を使ったとしても、人によって出来上がりは全く違うものになります。

そして悲しいのは、そんな技術が若い人に伝わっていない事。

だから、中心にいた技術者がいなくなると、とたんに品質が悪くなる。

色々と便利になりすぎたのかもしれないね。なんて話をしましたが、やっぱり高度な技術が無くなっていくのは寂しいですよ。

 

まとめ

シュミレーションソフトで上手く行ったから、この方法でやれば大丈夫です! と、新人さんに言われてその通りにやったら、見事に失敗したことがあります。

結局ソフトはソフトですから。

解析ソフトとかだんだん精度が良くなってきて、そのうち試作をやらなくなるんじゃないか。なんて話もありました。

事実100個作っていた試作品が、5個とか、ひどいとゼロとか、激減したことも。

でもその翌年には、「やっぱり物に聞かないとダメだ」と今まで以上に試作品を作るようになったんです。

結局、実際に作ってみないと分からないことが多いってことですよ。

実際にどういう工程で作られて、どういう処理があるのか。技術ってそう言うことに興味を持って勉強して、さらに良い物を作ろうとするから、磨かれるんです。

確かに安く良い物を作るために、物を作らないことも必要です。

でも、作らないってことは、作れる人がいなくなるってことですから。

今まで作ってきた実績があるから、解析ソフトにすることが出来る。

じゃぁ解析ソフトが出来たら、作るのを辞めて良いのか。その作る技術を無くして良いのか。

技術者が減って、良い物を作れる人が減っていくのなら、便利になりすぎるもの考え物ですよね。


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