営業はお詫びも仕事らしい。クレーム対応で注意すること。

営業は謝るのも仕事のうちです。

「営業で一番つらいのは、クレーム対応だよな。お客様に謝るのも給料のうちだから」と前の前の社長に言われました。

確かに会社の顔としてお客様と会っていますから、謝るのも仕事のうちと言われればその通りなんです。

お客様として、会社対会社の取引とはいえ、実際には営業の人なりを見て仕事を出してくれる人もいますから。

と言うことで、不具合が起こったので、お詫びに行ってきたばかりだからこそ思う、営業の本音。いやぼくの本音とクレーム対応で押さえるポイントを書きます。

スポンサーリンク

直接謝る営業が精神的に一番きつい

今回謝りに行ったのは、製品に不具合が出たからです。

お客様に不具合を伝えたところ、「出来るところまではやってほしい」と言われ、どこまで出来るかを社内で確認し、「ここまではやります」と事前に伝えました。約束では金曜日中に終わらせ、土曜日に確認をして、日曜日には持ち出せるようにしておくと言う事だったんです。

そして、日曜にやると言ったところまで終わっている物だと思って、製品をとりに会社に行ったところ、全く終わっていなかったんです。

日曜日は会社が休みなので、当然誰もいない。電話をしても誰も出ない。

もう諦めて中途半端に手が入っているから、どう考えても使い物にならない製品を持って、お詫びに行ってきました。ぶっちゃけ、申し訳なさと恥ずかしさと腹だ出しさを抱え、一睡も出来なかった。

そして、徹夜のまま朝5時に家を出て、片道350キロを往復してきました。

作り手は良いですよ。「出来なかった」と言えばそれで終わるんですから。相手は社内の気ごころの知れた者同士です。特に怒られることもないでしょうね。

「やる」と言ったところまでやっていなくても、誰にも何も言われないんですから。気楽なもんです。

でも営業は違うんですよ。お客様と約束していますから。お客様との約束は契約とイコールです。対価を受け取る以上、約束したことは必ずやり遂げないといけない。

普通の会社、まぁ何が普通かわかりませんが、普通なら、会社がこの認識を共有していないとダメですよね。日本では、口約束でも契約になるんですから。

なのに、やると言ってやっていないとか、本当にあり得ない。しかもその責任を営業が1人で背負い、1人で交渉して来ないといけないなんて。

対応や言葉を1つ間違えればものすごい騒ぎになります。

やると言ったことをやらない。中途半端なものは持ってくる。これだけでも取引停止ものでしょ?

謝るのも給料のうちなら、もっと払ってくれ

本音はこれ。営業に責任を背負わせて解決して来いと言うのなら、もっと給料を上げてくれ。と思う。

会社対会社の取引なら、不具合の対応もクレーム対応も会社対会社になるべきなんですよ。営業が1人で対応する必要はないんです。ましてや、クレーム対応の基本は相手より多い人数で対応することですから。

まぁ今回の場合は、完全にこっちに非がありますから。誰も行きたがらない気持ちもわかる。と言ってもねぇ。

やると言ったことをやっていない時点で、本来の不具合から話がずれ出していますから。そのまま伝えたら何を言われるか解ったもんじゃない。

火に油を注ぐようなことを平気でやるなら、やっぱりそれなりの給料が欲しいところ。じゃなければ、やるって言ったら最後までやってくれ。

と、言いたくもなりますよ。

クレーム対応で押さえるポイント

そんな訳で、徹夜で長距離を運転してお詫びに行ってきたわけですが、取りあえず事なきを得ました。

丸く収めるのにはいくつかコツがあるんです。

過去には、ヤクザもどきに車に乗せられ連れて行かれたこともありますし、お客様がいる仕事ばかりやってきましたから、クレーム対応はかなりの数をこなしています。

色々な本やホームページにクレーム対応のポイントが書かれていますが、過去の経験からぼくが大切にしているポイントをいくつか並べます。

嘘はつかない

人と付き合うなら当たり前の事。でも、不具合やクレームが起こると、何とか逃れようと思って嘘をついてしまうことがあります。

そして、その嘘について色々突っ込まれているうちに、段々辻褄が合わなくなってきて、もっと怒らせてしまう。

と言うのは、良くある話です。

事実は事実として、一切隠さずに、曲げずに話をします。このほうが後ろめたさを感じなくて済みますし、突っ込まれた時も動揺することなく答えることができます。

嘘をつくと、それを隠すためにまた嘘をついてしまうもの。

怒っている人を相手についた嘘は、取り返しのつかない結果を招くこともありますから、嘘はつかないようにしましょう。

自分の非を認める

因果応報と言う言葉がありますが、結果には必ず原因があります。どうしてこうなったのか、お詫びや説明に行く前に、その原因をざっくりでも掴んでおきましょう。

そして、自分や会社に落ち度があったら、その部分の非を認めお詫びすることです。

昔店長をやっていた時に「謝ると相手が付け上がるから、謝らない」と言う人がいました。

確かに一理ある考え方だな。とは思いましたが、実際に謝らないで対応をすると、どんどん話がこじれていき、収集が付かなくなっていきます。

それに相手にしてみても、素直に謝られると何となく許したくなるものなんです。

仮にあなたが起こってクレームを言ったとしても、素直に非を認め謝る人が相手だと、怒りが薄れてきませんか?

ここでもポイントは、非がある部分についてはきちんと謝ると言うことです。非がない部分については謝る必要はありません。

なので、相手が「謝ったなら全面的に賠償しろ」と言いだしても、「この部分はこちらが悪いのでお詫びいたしますが、こちらは違います」と言うことも出来ます。

明らかにお詫び目的のクレーマーを相手にすることはありませんが、こちらに非があって怒らせてしまったのなら、非を認める部分は認め、キチンをお詫びをするようにしています。

必ず一度肯定する

「ですが」「でも」は禁句です。反論された気がして、さらに頭に血が上ります。

相手が怒り心頭で押しかけてきたのなら、必ず一度言っていることも認めるようにします。反論しても火に油を注ぐだけです。

怒りを全部吐き出すまで、我慢して聞く。反論は一切しない。

怒りって持続力がないんですよ。思っていることを全部吐き出すと、段々冷静になってくるものです。

それまで、じっと我慢して聞き役に徹します。

全部吐き出して、相手が冷静になったところで、これからの事を話しあえば、不思議なくらいあっさりを解決することもあります。

すぐ会いに行く

これは今回使った手です。手って言うと少しいやらしいんですが。

距離が遠いことを利用して、製品が出来あがるタイミングで、直接持ってお詫びに行きました。それも、わざわざ早朝に出発して。

場合によっては夜中に出て、相手の出社時間に正門で立って待っていたりもします。

営業をやっている人なら、おそらく使った事のある手じゃないでしょうか。

誠意を見せるために、遠くてもすぐにお詫びに伺う。会ってもどうにもならない事が分かっているのに、わざわざ会いに行く。

行動と言う目に見える形で示せば、怒りもあっさりと収まるものなんです。

本気で申し訳ないと謝る

とは言え、上辺だけでお詫びをしても相手には伝わりません。本気で申し訳ないと思い、本気で対応しますと言う気持ちがなければ、何をやっても無駄です。

一睡もせずに、早朝から350キロを車で移動してお詫びをしても、実際に会うまでに色々想像するようにしています。

実際約束通り商品を納めていれば、今頃お客様はどんなことをしていたのかを想像します。商品が納められないと言うことは、出来たはずの事が出来なくなったと言う事ですから。

これも出来なくなってしまった。あれも出来なくなってしまった。

そんなことを移動している間ずっと考えれば、こうしていればもっとスムーズに出来たかも知れない。いやこの部分に気を使うべきだった。と色々と思うことが出てきます。

そして実際お詫びをするときは、移動中に思ったことを素直に伝えます。

「こういう対応をとるべきでした」と謝ります。「私がこの部分に気を使っていれば」と言ってお詫びをします。

それは、本気で考えて、本気で反省して、本気で何とかしようと思うから出てくる言葉です。

上辺だけの言葉は上辺だけだと分かります。本気で話せば、本気なんだと伝わります。

本当に大切なのは色々なテクニックよりも、どこまで相手の立場で考えられるかです。

最後に

不具合やクレームって嫌ですよね。なんで謝らないといけないのか! そう思うこともあります。と言うか、そう思うことばかりです。

ちいさな確認を怠ったために、不具合が生まれたり。

ホウレンソウをやらなかったばっかりに、全然違うものになってしまったり。

営業が悪い訳じゃ無くても、お詫びは営業がやらないといけない。

仕事が分業になって働きやすくなった半面。どこか納得がいかない部分もありますよね。

でもそれが営業。会社の顔、代表としてお客様と接するのが営業です。

役立つことをしてお客様に感謝されるのも営業ですし、不具合を起こして、お客様に怒られるのも営業です。

分かってはいるけど。

やっぱり怒られるのはいやですね。

タイトルとURLをコピーしました