新卒で東京の特別養護老人ホームに正規職員として就職しました。
学生時代に社会福祉を専攻していたことやおばあちゃん子だったこともあり高齢者の方の役に立ちたいと思ったことがきっかけです。
仕事は肉体労働で、人の死に立ちあうかもしれないということは覚悟していたのですが、就職した直後にまだまだ想定が甘かったなということを痛感しました。
介護職のきつさは給与の低さ
私は中学から大学まで柔道をしていたこともあり体力、気力ともに自信はありました。
しかし最大の問題は仕事のきつさではありませんでした。
何よりも休み、給料ともに他と比べて格段に少なかったことが大きかった。
もちろん、就職説明会の時点でも人事担当者は給料が低いことを説明していました。
ただ、これまで実家で暮らしていた自分にはそれがどういうことか実感がわかなかったのです。
いざ一人暮らしをして働いてみると税金や健康保険など天引きされて手取りも10万円程度でした。
これだと自由に使えるお金はほとんど残りませんよね。
休みも不定期で大学時代の友人とも疎遠になってしまい「いったい自分は何のために仕事をしているのだろう」「こんな給料で彼女と結婚できるのだろうか」と不安になり落ち込んでしまいました。
今思えばあのころはうつに近い状態だったと思います。
それでもケマネージャーなどの上位資格をとれば給料はよくなると信じて仕事をしていたのですが、就職して2年目の7月、転職を決意させる大きな出来事がありました。
わずかなボーナスも無くなり転職を決意
前年までは1か月分とわずかですが出ていたボーナスが出なくなったのです。
職場でも事業所の経営状態の話で持ち切りでした。
「今の職場にいても将来は見込めない、でもほかの介護職にうつっても給料の安さや休みの少なさは変わらない、どうせ転職するならまだ若い方がいいんじゃないか」と考え介護職から異業種へ転職することを決意しました。
就職してから2年目の9月に辞表を提出し、本格的に再就職活動をスタートさせましたが、世間の風当たりは非常に厳しかったです。
ハローワークに行って企業に応募するのですが書類選考すら通らないのがほとんどで、運よく面接に呼ばれても面接官から「たった1年半くらいで辞めてしまう根性のない人は雇えない、もしうちの会社の経営状況が悪くなったらまた辞めるのか」「介護職で培ったスキルで活かせることなんてほとんどないと思うんだけどそれでも何か言いたいことがあったらアピールしてくれる?」などと圧迫面接に近い非常に厳しい質問が浴びせられました。
介護職から異業種への転職は厳しい
私自身もうすうす理解はしていたのです。
今までやっていた介護の仕事は確かに専門的で、公的な資格が必要になります。
ですが、一般的な企業で働くサラリーマンが持っているワードなどのパソコンのスキルや、人前でプロジェクトを紹介するプレゼンテーションスキルなどのスキルはこれまでの仕事ではほとんど培われなかったものです。
介護職から異業種へ転職するときに、一番の難関となるのは自分のスキルが通用しないことではないでしょうか。
私の場合は1年半という短期間で退職したため「堪え性がない」と思われていたことも原因の一つでした。
2か月ほど就職活動をしたものの、応募企業にことごとく落とされてしまった私は途方に暮れていました。
学生時代から貯めた貯金も底をつきかけ、毎日お米に塩をかけて食べる生活になってしまったのです。
そんな経験から、もしも転職を考えている方は今の職場を辞めずに行うことをお勧めします。
お金がないのは本当に大変ですし、本当につらいです。
転職エージェントを利用して活動方法が変わった
そんな中、スマホで転職情報やノウハウを調べていると第二新卒での採用という記事を見つけました。
第二新卒とは就職して1年から3年以内の若い社員のことです。
第二新卒の採用の場合、スキルや業務知識ではなくモチベーションや姿勢といったものが評価されます。
これならスキルのない自分でも就職できるのではないかと考え、第二新卒専用の就職サイトに登録しました。
登録して3日ほどたつと就職サイトの運営会社の方から電話がかかってきました。
キャリアアドバイザーと呼ばれる方なのですが就活の相談やアドバイスを行っていると聞き、その翌日に面談を行いました。
そこで第二新卒ならスキルや業務経験がなくても十分再就職は可能だと教えてもらい非常にほっとしました。
私の志望に適した企業を紹介してもらい書類の書き方や、面接練習など、今後の就活に役立つ指導もすると強く後押ししてもらいました。
さらにやる気を見せるためにも何か業務に関係する資格を取っておいた方がいいと言われ簿記3級の勉強をするようにと指導されました。
今考えるとここから私の就職活動はうまくいくようになりました。
キャリアアドバイザーは心強い味方
ちなみに私の企業選びの軸ですが、休みが土日で夜勤がないこととある程度安定した企業であることです。
あまりに正直なことを言ったためキャリアアドバイザーも少し苦笑いしていましたが、それも十分紹介可能とのことで20社ほどの企業を紹介してもらいました。
書類もキャリアアドバイザーに細部まで添削してもらうことで、面接に呼ばれる確率も増えていったのです。
また面接前には、面接対策をワンツーマンでキャリアアドバイザーにみっちりと指導してもらいました。
私の場合辞めた理由を話すとき待遇面の不満をしゃべっていたのですが、「後ろ向きの理由ではなく、前向きな理由を見つけるように」とアドバイスを受け、学生時代以来の自己分析を行うことにしたのです。
私の場合体を動かすことが好きで、高齢者と関わるのが好きだったため、外回りで高齢者と関われる接客や営業の仕事が向いているのではないかと考え、会社選びの方向性を決めました。
辞めた後の空白期間についても「職探しをしていた」だけでなく、「スキルアップを行っていた」ということにした方がいいとアドバイスを受けました。
事実、面談以降簿記の勉強を始めていたためこれもアピールの材料としては効果的でした。
キャリアドバイザーを利用して1か月で仕事が決まった
キャリアアドバイザーと面談をしてから1か月後、前の職場を退職してから100日が過ぎようとしたときようやく地元の生活協同組合に就職することができました。
生活協同組合とは生協とかCO・OP(コープ)で親しまれている共同組合です。
仕事内容はトラックを運転して毎週決まった曜日、決まった時間にお客様のお宅まで注文された食品や日用品を配達したり、その日のお買い得な商品を紹介したりするものです。
お買い物に行くのが大変な高齢者の方も多く利用されており私にはぴったりの仕事だとおもいました。
また、定期的に昇給もしており、休みも土日だったので待遇面でも希望通りの仕事に就くことができました。
現在、生活協同組合に就職して2年がたちますが、営業職なので数値目標などもあり大変な点もありますが人間関係も良好で充実した社会人生活を送っています。
年収も前職と比べると100万円ほど上がり、彼女との結婚も考えられる余裕ができました。
介護職から異業種への転職活動を振り返って思うこと
確かに介護職から転職するのは非常に大変です。
特に早期退職してしまうと応募企業から圧迫面接を受けることもあるなど心が折れそうになることもあります。
一人で再就職活動を続けるのはとても大変ですし、専門的なアドバイスをしてくれる方がいるにこしたことはありません。
そういう点でも就職支援サービスを行っている企業も多いので利用した方がいいです。
また、介護職は異業種へ通用するスキルというものがなかなかありません。
もちろん高齢者の方と関わるので人当たりのよさやコミュニケーション能力は身に付きますが、パソコンや営業スキル、経営上の数字に対する知識などは苦手な方が多いと思います。
なので、独自で他の仕事で使える資格の勉強をするなど、資格を取るに至らなくても努力している姿勢を持った方が、企業もその姿勢を認めてくれる場合があります。
今、介護以外の仕事を探している方は大変だと思いますが参考にして頑張ってください。