転職年齢限界説は「35歳の壁」以外にも、27歳・28歳・32歳・40歳でも転職の限界だとする説があります。
これだけ多くの年齢で転職の限界だと言われるのには、それなりの理由があります。
例えば27歳が転職の限界だと言われるようになったのは、ある企業が行ったテストの結果からです。
この記事では、様々な年齢で言われる「転職年齢限界説」について紹介しています。
27歳転職年齢限界説
27歳転職年齢限界説は、ある企業が行ったテストの結果から、言われるようになりました。
そのテストとは、次のようなものです。
企業Aでは工場の閉鎖が決まったときに、「従業員にはITのエンジニアとして働き続けてもらおう」と、考えました。
とはいえ工場で働いていた方を、いきなりITのエンジニアにすることはできません。
そこでITエンジニアとしてのスキルを身に着けてもらうために、研修を行うことにしました。
そして研修の結果を確認するために行われたテストで、ある傾向が示されたのです。
それは、27歳の従業員が26歳の従業員に比べて著しく点数が悪い、というもの。
このテストの結果から、27歳になると未経験の分野に適応しづらくなると、考えられるようになりました。
つまりある企業が行ったテストの結果から、未経験の分野に適応できる年齢は、27歳が限界だと考えられたのです。
その結果「未経験分野への転職は27歳が限界だ」と言われるようになり、いつしか27歳転職限界説が生まれました。
未経験へチャレンジできる限界が27歳だなんて…。
ちょっと切なくなるような結果ですよね。
転職年齢限界説は27歳だけじゃありません。
28歳でも、転職年齢限界説が言われています。
28歳転職年齢限界説
28歳転職年齢限界説は、30歳までに一人前になることを前提に考えた結果、生まれたものです。
その考え方の元になっているのは次の2つ。
- 30歳で一人前になる
- 一人前になるには2年の経験が必要
つまり「30歳で一人前として働き実績を残すためには、最低2年間の経験が必要だ」と、考えられていたのです。
30歳までに2年の経験を積むには、遅くても28歳までに転職しないといけません。
なので「転職の限界は28歳だ」 と、言われるようになったのです。
28歳転職限界説はもう一つある
28歳転職限界説には、もうひとつの説があります。
それは、30代は専門性を確立する「確定期」だ、という考え方を基準に言われ始めたもの。
30代(確定期)で専門性を確立するには、20代のうちに「これだ!」と思う仕事を見つけないといけません。
そして仕事の内容を理解するには、最低でも2年はかかります。
つまり28歳までに転職しておかないと、30代で専門性を確立することができません。
このことから「28歳が転職の限界だ」と、言われるようになった、という説です。
まぁ簡単に言えば、仕事でスキルなどを成熟させるには、28歳が節目だと考えられていたのでしょう。
その結果、転職の限界は28歳だとする説が生まれたわけです。
28歳を超えると、次は32歳が転職の限界になります。
32歳転職限界説
32歳転職限界説は、企業内における年齢のバランスを考えて作られたものです。
年齢のバランスとは年功序列のこと。
つまり年上は上司であり、年下は部下である、という固定概念のことです。
そして当時(結構昔)32歳は、転職先で上司が年上になるギリギリの年齢でした。
32歳以上で転職すると、年下が上司になるケースが増えてきたのです。
その結果、年上が上司になるギリギリの年齢は32歳、つまり転職するなら32歳が限界だと、言われるようになりました。
恐らく終身雇用・年功序列が当たり前だった時代には、年下の上司の下で働くことを嫌がる方が多かったのでしょう。
また企業としても、年齢のバランスを考えれば年下が上司になることを、好ましく思わなかったのかもしれません。
その結果が「32歳転職年齢限界説」です。
そして32歳を超えると訪れるのが、有名な「35歳の壁」です。
35歳転職限界説
35歳転職年齢限界説は、俗にいう「35歳の壁」と言われるものです。
35歳の壁が言われるようになったのは、昔の定年である60歳まで25年しかなく、キャリアを育てる時間が無くなるため、です。
また終身雇用の時代には、35歳を超えてから転職する人が少なく、募集する求人も少なかったことも理由にあります。
つまり1つの会社でキャリアを積むには35歳が限界だと、考えられていたのです。
ちなみに35歳以上の離職者と入職者を調べてみると、今も昔もそれほど変わっていません。
最近では定年が65歳以上に引き伸ばされたり、経験者を欲しがるベンチャー企業が増えていることで、35歳の壁は崩壊したといえます。
ただし、年齢に見合ったスキルや経験がなければ、転職が難しいことは確かです。
そして35歳を超えると訪れるのが、40歳転職年齢限界説です。
40歳転職限界説
40歳が転職の限界だと言われるのには、企業の採用基準が関係しています。
なぜなら平成19年10月に求人票の年齢制限が禁止されるまで、年齢を理由に採用を断ることができたからです。
つまり…
- 40代を対象とする求人が少ない
- 応募しても年齢で断られる
…といった現状があったため、40歳が転職の限界だといわれるようになったのです。
40歳転職年齢限界説は、かなり的を射た考え方です。
なぜなら最近では40歳以上を対象としてリストラが、黒字の企業でも行われているから。
つまり転職市場に40歳以上が大勢いるわけです。
人数に対して求人が少なければ、自然と転職は難しくなります。
その結果として、40歳が転職の限界だといわれても、仕方がないでしょう。
また40歳以上でスキルや経験・人脈のある方は、ヘッドハンティングや知人の紹介で転職します。
つまり転職市場で転職先を探しているということは、能力が不足している可能性が高いのです。
なので、40歳転職限界説はかなり真実味のある、転職年齢限界説です。
結局は本人のスキルと経験次第
27歳から40歳まで、段階的に転職年齢限界説が出てきます。
それぞれの転職年齢限界説は、転職者を戒めるような理由がほとんどです。
そして転職年齢限界説を現実にするのか、ほら話にするのかは、結局本人のスキルと経験次第です。
企業が欲しがるスキルや経験を身につけていれば、年齢に関係なく転職することができます。
実際に60歳でも他企業へ転職する方もいます。
転職年齢限界説をただの説にするよりも、自分がその説に当てはまっていないかを考え、行動したほうがいいかもしれません。