企業の不祥事は関わった人はもちろん、部署の責任者から経営者まで不祥事の大きさにより色々な人に影響を与えます。
もちろん不祥事の影響は、その企業の製品を買ったり食べたりする消費者にも。
でも、企業の不祥事に関わっていない社員にとっては、関係ない話ではないけれどもそこまで影響のある事ではないんだろうなと、客観的に見て思っていました。
この記事「企業不祥事の影響が家族にまで マック、朝日新聞、東電など│NEWSポストセブン」を読むまでは。
父親の職業について発表させてもらえなかった子供
マクドナルドの異物混入事件。
2014年8月頃から2015年3月頃まで世間を騒がせた事件です。
報道を聞いて「この騒ぎが落ち着くまでは食べない」事にしていましたが、いまだに食べていません。マクドナルド結構好きだったんだけどな。
そんな異物混入事件以降、業績が悪化しているマクドナルドの社員の話。
「事件の後に、小学生の子供の授業で、『父親の職業について調べる』という宿題がありました。
一応、私は店長として何十人もの部下やアルバイトを使っている立場ですので、サービス業の大変さや飲食店のルールなどを子供に教え、立派なレポートが仕上がりました。
それを授業参観日に発表することになったんですが、なぜかうちの子供だけが発表させてもらえなかった。
先生がランダムに指して発表していく形だったんですが、うちの子は最後まで指されなかった。それで時間切れ。
まわりの父兄の間では、『やっぱり、〇〇ちゃんのパパは、マックだから』という声がちらほら聞こえてきました」
確かに異物混入事件がありマクドナルドの評判は下がりましたが、それとこれとは別ですよね。
それどころか「〇〇と言う会社に勤めている〇〇ちゃんのお父さん」、と言う見かたがいまだにある事に驚きます。
きっと勤め先の会社が大きければ大きいほど、「あの〇〇と言う会社に勤めている」という肩書きがついて回るんでしょう。
それだけに不祥事が起こると、そこで働いている従業員の家族まで、不祥事の責任を背負うことになる。
不祥事を起こした本人や経営陣でなければ関係ないはずですが、それもきれいごとにしか聞こえないんでしょうか。
『やっぱり、〇〇ちゃんのパパは、マックだから』
こんなことを言われたら、親は何とか耐えられても、その子供がかわいそうです。
そしてさらに追い打ちをかけられます。
「会社から『ご迷惑をかけた』ということで、社員たちにバリューセットのギフト券が10セット配られました。
それを妻が子供の友人たちに配ろうとしたら、1人のお母さんから『いらないわよ』と拒否され、『いま人に配らない方がいいわよ。嫌味に受け取られるから』といわれたそうなんです。
妻も子供もそんなに信用を無くしたのかと、ショックを受けていました」
企業の不祥事は社員だけじゃ無くて、その家族まで苦しめるんですね。
その人が何かしたわけじゃないのに。。。
一昔前(今はない)は「ご主人はどこにお務め?」と聞く風習があったようですが、その名残なんでしょうか。
勤めている会社 = その人の人柄 のような考え方。
皆が皆そう思うとは思いませんが、企業の不祥事がそのままその人の不祥事のように言われるのはちょっと悲しいですよね。
転職した後もついて回る悪評
これは耐えられません。
退職して新しい職場で働きだしたのに、前の会社の悪評がついてまわる。
個人と企業は、不祥事の当事者じゃ無い限り関係ないと思うのですが…。
「福島原発事故で多額の賠償金を背負ったため、会社側から年収ダウンに応じるか、転職するかの選択を迫られ、家族とも相談して転職を希望しました。
しかし、大手電機メーカーの原発担当として再出発したものの、転職先でも原発事業は低調で、『これも東電のせいだ』と他の社員から冷たい視線を浴びる日々。
もちろん社内での出世の可能性はゼロです。
東電に残った同僚からは“逃げ出した男”とみなされ、連絡しても会ってもくれない。
今は“残って仲間と一緒に再建に尽力したほうがよかった”と後悔しています」
会社からは「年収を下げるか辞めてくれ」と頼まれて辞めたのに、同僚からは「逃げ出した」と言われる。
転職先では業績が悪い理由を「お前のせいだ」と言う目で見られる。
本人は不祥事とは全然関係がないのに、不思議ですね。
ストレスのはけ口を探しているとしか思えませんし、いじめの対象を見つけて攻撃しているとしか思えないんですよ。
でも悲しいことですが、これが現実なんです。
会社が不祥事を起したら転職するべきか
会社が不祥事を起こした際に、「この会社を辞めたい」と思ったら、転職するべきです。
そして転職をするのなら、同業他社を探してみてください。
不祥事を起こした会社が、業界でどのレベルにいるかによって異なりますが、多くの場合は歓迎されます。
もし世間に名前が知れ渡っている企業であれば、同業他社(ライバル)はノウハウを手に入れるために、離職者を歓迎してくれるのです。
過去に自動車メーカのM社が不祥事を起こした際に、設計者がライバル会社に多数転職した、という話もあります。
業界内の企業にまで影響を与えるような不祥事じゃない限り、転職先で責められる、ということもまずありません。
企業の不祥事は社員の不祥事?
企業の不祥事は、そこで働く社員の不祥事なんでしょうか?
はっきり言って不祥事に直接かかわった人や責任者でも無い限り、そこで働いている社員は関係ありません。
経理部で裏金を貯めて居た人がいたからと言って、営業で働いている人が責められてもどうにもなりませんよ。お門違いもいいところです。
アルバイトが裸でアイスクリームを販売するケースに入ったからと言って、隣の店の店長を責めても仕方がないでしょう。
結局何かストレスを感じる事があって、そのストレスをぶつけるのにたまたま不祥事があった会社の社員を見つけただけ。
そんな気がします。
きっとストレスのはけ口は誰でもよかったんです。
子供に発表させなかった先生も、「〇〇ちゃんのパパはマックだから」と言った親御さんも、業績が低迷しているのを転職してきた人のせいにした人も、会社と相談して辞めた人を「逃げた」と責めた人も、皆一緒。
ただのいじめっ子です。
自分のストレスを、たまたまそこにいた立場の弱そうな人にぶつけただけです。
最後に
これは会社の看板を自分の力だと勘違いしたケースなんでしょうか?
「50歳の親戚男性は、何かにつけて『僕はシャープで働いていて』が口癖でした。
身なりも派手で、奥さんがいるのに飲み屋で若い女性を口説いては、その自慢話をしていた。
3年前に経営不振が報道された時でも『早期退職制度で辞めて起業する』と景気のいいことをいっていました。
でも退職金のほとんどを離婚した元妻に慰謝料として支払ったあげく、再婚するつもりだった女性にも逃げられて……。
結局、事業にも失敗してしまった。今年になって病気で入院しましたが、お見舞いに行った親戚によれば、今は生活保護を受けているそうです」
シャープで働いていようがトヨタで働いていようがどうでもいいです。
「俺は〇〇に勤めている」なんて言う人にろくな人はいません。
「あそこのご主人は〇〇で働いている」と会社と人を結びつけて考える人にもろくな人がいません。
色眼鏡でしか人を見られないんですから。
「どんな会社で働いているか」と「その人がどんな人か」は全く関係ありませんよ。
「不祥事があった会社に勤めている」から「あの人はひどい人」
そんな訳ありませんよね?
トヨタで働いているから、立派な人。
中小企業で働いているから大したことの無い人。
勤め先の大きさで、その人の人格まで決まるわけがない。
卒業した学校や勤め先の大きさで人を見る。
そんな人は人として最低です。