
さて今回は、上司が嫌い! も退職理由になるよ、って話。
なぜ「上司が嫌い」が、退職理由になるのか。
それは、嫌いな上司がいると仕事にものすごい悪影響がでるからです。
たとえば、こんな悪影響があります。
- 意思の疎通がうまくいかない
- 報連相を嫌がってしまう
- 上司を避けてしまう
- 人事評価に納得できない
これだと、仕事が思うように進みませんよね。
実際に異動・転職した人の約20%が、「上司が嫌い」を理由にあげているほどです。
嫌いな上司がいるのは、本当に深刻な問題なんです。
だから上司が嫌いで仕事を辞めたい! と思う人も多いのですが…。
さすがに上司に面と向かって「嫌いだから辞めます」とは言えませんよね。
そんなことをしたら、無駄に上司ともめることになります。
なので、「上司が嫌い」は退職理由になる。
だけど、直接言っちゃダメなんです。
「上司が嫌い」は退職理由になる

「上司が嫌い」は退職理由になります。
なりますが…。
退職理由として上司や会社に言ってはいけません。
言いたい気持ちもわかります。
わかりますが、それを言うと無駄にもめるだけです。
もちろん、後先考えなければ退職理由にできますよ。
たとえばこんな感じで。
胸ポケットに退職届けを忍ばせ「お話があります」と上司を会議室に呼び出したあなた。
「何の話だろう」
そう思いながら会議室に表れた上司。
待ち構えていたあなたは、上司の顔面めがけて退職届けを投げつけ。
「あんたが嫌いだから今日で会社を辞めます!」
と、啖呵を切って会議室から出ていきます。
立ち去るあなたの背中を見つめ、呆然とする上司・・・。
なんてことが出来たら、さぞかし胸がスカ―っとするでしょうね。
でも現実にはとても無理です。
ドラマでもこんなシーンはありません。
よく考えてみてください。
こどものころ周りにいる友達は、みんな気の合う人だったでしょうか?
学生の頃は?
気の合わない人、嫌いな人は一人もいませんでしたか?
きっと一人くらい、気の合わない人や嫌いな人、苦手な人がいたはずです。
今まで出会ってきた友達でさえ、好きな人と嫌いな人がいた。
なのに、社会に出たら好きな人だけなった。
何てこと、あるはずがありませんよね。
なので、嫌いな上司はいてあたりまえ。
でも、だからと言って。
退職するとき上司に向かって「あんたが嫌いだから」とは言わないようにしましょう。
退職すれば上司と会うことはまずありません。
ですが、絶対に会わないとは言い切れません。
どこまでばったり会うかもしれない。
ひょっとすると…子供の同級生の親として会うかもしれない。
なのに「あんたが嫌いだ!」と宣言してまで、関係を悪化させる必要がありますか?
「上司が嫌い」は退職を考えるきっかけにはなります。
ですが、退職理由にはしない方がいいのです。
ホンネとタテマエは使い分けて

本音と建て前を使い分ける。
これ、めちゃくちゃ大切なことです。
あるアンケートによると、退職理由は「家庭の都合」が一番多かったそうですが…。
退職理由の本音を尋ねるアンケートでは、「職場の人間関係」が1位なんです。
なんでかわかりますか?
理由は簡単。
退職理由で本音と建て前を使い分けている人が多い、ということです。
ちなみに、本当の退職理由を言えなかったのは、円満退職したかったからだそうです。
これを見ても、円満退職のために本音を隠している。
つまり、建前の退職理由を伝えている人が多いのがわかりますよね。
なので、「上司が嫌い」は退職理由にしちゃだめ。
ムダに関係をこじらせるよりは、家庭の都合や一身上の都合などを理由にしたほうがいい。
本音を言って揉めないようにした方が、いいってことです。
「上司が嫌いだから」で辞めても意味はない

もうひとつ、上司が嫌いを退職理由にしちゃいけない理由があります。
それが、「上司が嫌いだからやめます!」といっても、何の意味もなさないことがあるからです。
実は私は、「上司が嫌いだから」と言って、辞めた人を何人か知っています。
みんな同じ上司に対して、「この人とは一緒に働けない」と言って辞めていきました。
この話は当時の社長から聞いたのですが…。
「上司が嫌いだ」とか「一緒に働けない」と言われた方は営業部長だそうです。
その営業部長は伝説を持っています。
それが、当時の営業部全員が「営業部長が嫌い」で退職した。
という伝説です。
営業部長と働くなら辞めます。
あの人とはとても一緒に働けません。
そう営業部全員が、気持ちを隠すことなくストレートに伝えて辞めたそうです。
理由は営業部長のパワハラ。
わたしもこの営業部長と一緒に働きましたが、とにかくパワハラがすごい。
きっとパワハラに我慢ができなかったのでしょうね。
みんな揃って、名指して営業部長を批判して辞めていきました。
ですが、これだけ周りから色々言われた営業部長も、結局定年まで勤めています。
つまり何が言いたいのかというと。
「あの人とは一緒に働けない」と複数の人に言われた上司でも、定年まで処罰なしで勤めています。
つまり退職するときに「あいつが嫌いだから!」と爆弾をおとしても、癇癪玉ほどの威力もないのです。
せめて最後に一矢報いたい、という気持ちもあるかもしれません。
ですがその矢が届くことはないでしょう。
威力が足りず、相手に刺さることなく落ちるのが関の山です。
むだに攻撃しようとはせず、「立つ鳥跡を濁さず」を基本に円満退職をしてください。
嫌いな上司のために汚点を残すなんて、バカバカしいですよ。
やめるときは「ご相談があります」とアポを取る

さて、実際に仕事を辞める時の話です。
仕事を辞めるには、まず退職の意思を伝えないといけませんよね。
でも、嫌いな上司に話すのが嫌だ! って思うことがあるんです。
あいつに「辞めます」なんて言ったら、何を言われるかわからない。
だったら、あいつの上司に話を持って行ったほうがいいんじゃないか。
なんて思うこともあるでしょう。
でも、上司を無視しして、その上司に話を持っていったら…。
ものすごく面倒くさいことになります。
なぜなら上司の顔を潰しているから。
下手をすると、退職日まで色々な嫌がらせされます。
これ冗談じゃないんですよ。
実際に「無視された」「突然仕事が無くなった」など、嫌がらせを受ける人がいます。
しかも結構な割合で。
なので、余計な波風は立てないこと。
退職届は直属の上司に手渡しで提出しましょう。
と言っても…いきなり上司の机の前に立って「これお願いします」と、退職届を渡さないでくださいね。
まずは「〇〇課長、ご相談したいことがあります。少しお時間を頂けないでしょうか?」とアポを取ってください。
このとき「ご報告があります」はNGです。
退職の意思がダイヤモンドよりも堅く固まっていたとしても、「報告」ではなく「相談」にする方が、相手への敬意を表現できます。
あとは退職届を提出し理由を上司に話すだけ。
間違っても「あんたが嫌いだから辞めます」とは言わないこと。
そして、上司を無視して、さらに上の上司に話をもっていかないことです。
ちゃんと上司にアポを取って、退職したいことを伝えましょう。
退職する前にやってみること

ここまで、上司が嫌いは退職理由になるよ。
やめるなら、上司を避けずに直接言おうね。
という話をしてきましたが、できればやめる前に関係を改善する努力をしてほしいんです。
なぜなら、上司が嫌いだからと仕事を辞めるのは、めちゃくちゃ簡単なことだから。
そして、ただ嫌いでやめてしまうと、後々苦労するかもしれないからです。
少しだけ考えてみてください。
転職したら「今嫌いな上司」とは離れることができます。
でも、新しく嫌いな上司と出会う可能性もあるわけです。
たとえ転職しても、好きな人や嫌いな人と出会うことになります。
当然、気の合う人もいれば、合わない人もいるわけです。
つまり職場を変えても、広い意味で人間関係の形は変わらない、ということ。
なので人間関係が嫌で退職する人は、別の会社に行っても人間関係でつまずきます。
上司が嫌いで退職すれば、嫌いな上司でつまずくわけです。
これ、マジです。
ぶっちゃけ私がそうでした。
なので、できれば退職する前に、上司との関係を改善する努力をしてほしい。
無理にとは言いません。
将来を少しでも良くしたい方だけ、チャレンジしてください。
上司との関係を改善する方法
上司との関係を改善するための方法は次の5つ。
- 目の前の仕事に集中する
- 上司に完璧を求めない
- 上司を好きになる努力をしてみる
- 「ホウレンソウ」を徹底して行う
- 別の部署への異動を希望する
まず、目の前の仕事に集中すること。
上司が嫌いだとか、余計なことは一切考えない!
目の前の仕事に集中して働けば、一生懸命働く姿に好感を持ってくれるかもしれませんから。
ついでに報告・連絡・相談をこまめに行いましょう。
マメな部下は、上司からするとかわいいものです。
仕事に集中し、ホウレンソウを徹底する。
たったこれだけでも、目をかけてくれるようになるもの。
そして上司が目をかけてくれるようになれば、ひょっとすると上司を好きになれるかもしれません。
あるいは好きになる努力をすれば、少しは好きになれるかもしれない、ですよね?
なので、やめる前にできることをやってみてください。
それでもだめなら、異動願いを出しましょう。
上司との関係が悪く、仕事に悪影響が出ていることを伝えれば、希望が通りやすいはずです。
あ、下手な伝え方をすると逆効果なので気を付けてくださいね。
首尾よく希望がっとって部署が変われば、当然上司も変わります。
嫌いな上司から離れれば、そのうち「嫌い」という感情も消えるはずです。
つまり、退職を考えるのは、手を尽くしてからでも遅くないよね、ってことです。
関係をよくしようと努力することで、手に入るものもあるはずです。
在職中に次の仕事の目途はつけておく

「上司が嫌い」で退職するのは構いません。
構いませんが…。
何の準備もしないでやめると、確実に苦労します。
なので、在職中に最低限の準備はやっておきましょう。
理想は、次の仕事を見つけてから辞めること。
とはいえ、これは理想。
次の仕事が見つかるまで、我慢して働く必要はありません。
でも、最低限の目途はつけておくべきです。
最低限の目途とは
最低限の目途は、希望する仕事の求人を確認しておくことです。
理由は簡単。
仕事を辞めてから、「あれ? 経理をやりたいのに求人が少ししかない!?」なんて気が付いても、手遅れになるからです。
なので最低限、希望する仕事の求人を確認しましょう。
確認するのは、求人の数と給与。
募集している人材の傾向や年齢層などですね。
最低限このくらいは確認しないと、仕事を辞めてからものすごく苦労します。
ざっくりでもいいので、確認はしておきましょう。
プロに相談する
求人情報を集めるときは、プロ(転職エージェント)に相談するのも手です。
なぜなら、求人に詳しいから。
転職エージェントは、転職のサポートを仕事にしています。
なので当然、求人の傾向などに詳しい!
自分で調べるよりも、より正確な情報を知ることができます。
それに…。
転職エージェントって、転職相談だけでも利用できるんですよ。
これってかなり便利だと思いませんか?
もちろん転職を進められたりしますよ。
でもね。
どうせ仕事を辞めたら求人を探すんですし、あらかじめ登録して情報を集めておくのも、準備としては良いんじゃないかと。
在職中にプロの知識や情報を活用して、今後の転職について考える。
ある意味ものすごく王道だと思うわけです。
中小企業も転職エージェントを使っている
転職エージェントを勧める理由はもうひとつあります。
それは、中小企業も転職エージェントを積極的に利用していること。
私は今、年商4億円弱の企業で働いています。
この会社も、人材を募集するときは転職エージェントを使っています。
なぜなら、転職エージェントに頼んだほうが、人が集まりやすいからです。
つまり今は、転職エージェントに求人情報が集まっているんですよ。
だから、情報を集めるのも転職エージェントに相談したほうが早いんです。
まとめ
「上司が嫌い」は、退職理由になります。
でも、直接言ってはいけません。
どんなに上司が嫌いだとしても、本音はかくしておいて、建前を退職理由にしましょう。
もし「上司が嫌い」をストレートに伝えると、上司との関係が悪化して、退職するまで嫌がらせを受ける可能性があります。
上司と2度と会わないならいいかもしれません。
ですが、この先絶対に会わないという保証はありませんよね。
ひょっとすると、子供同士が同級生になるとか、妻同士が同僚になるとか。
あるいは、やめた会社が取引先になる、なんてこともあるわけです。
そういった可能性を考えると、退職理由で「上司が嫌い!」なんて言えないでしょう?
だから、退職理由は家庭の都合や一身上の都合にして、円満退職を目指したほうがいい。
本当は、関係を改善する努力をしてほしいんですが。
これは無理にとは言いません。
嫌いな人と仲良くするのは、結構つらいものですから。
ということで、上司が嫌いは退職理由になる。
でも、直接言っちゃダメ、という話でした。
ではでは~。