
20代で正社員にならずに非正規やフリーターとして働く人が増えている、というのはもう何年も前から問題になっています。
では実際にどの程度の人が非正規やフリーターで働いているのでしょうか。
実体を確認しやすいように、厚生労働省の「平成30年 国民生活基礎調査の概況」の数値を参考にグラフ(上画像)を作りました。
グラフは「性・年齢階級別にみた15歳以上の就業の状況」から「正規・非正規・その他・仕事無し」の比率です。
この記事ではグラフの比率を元に「30代・社員未経験」で正社員に転職できるのかを考えます。
※数値の誤差で合計しても100%にならない項目があります。
非正規やフリーターで働いている人は多い
24歳までは大学や専門学校に通っている人も含まれるため、仕事無しの比率が30.1%と他の年代に比べても多くなっています。
非正規は約24%、正規は約46%です。
25歳以上では正規の比率が増えるものの、非正規が約19%、仕事のない人が約14%もいます。
非正規には自ら望んでなっている人もいます。
ですがほとんどの方は、新卒で就職することができず、仕方がなく非正規になっている人です。
望まずに非正規になった人は第二新卒で就職を目指しても上手く行かず、そのままずるずると非正規として働き続けないといけない、という現状があります。
男女別非正規の比率
男女合計でみた場合、30歳を超えても40歳を超えても非正規の比率はほとんど代わりません。
ただし、男性と女性を分けてみるとその比率はかなり違ってきます。
男性の正規・非正規比率

男性の場合25歳を超えると正規の比率が一気に増えます。
そして年代が上になるにつれて非正規の比率は下がっていきます。
平成27年度の非正規比率は「30~34歳が10.3%」「35~39歳が8.2%」でした。
この数値と比べると、非正規の人数は減少しているといえます。
仕事なしの数値も改善されているため、平成27年度よりは正社員として就職しやすくなっていると考えられます。
つぎに女性の非正規比率を見ていきます。
女性の正規・非正規比率

女性は非正規の比率が高いですね。
平成27年度と平静30年度を比べても、女性の非正規比率は改善されていません。
年齢を重ねるたびに非正規の比率が増えていくのは、結婚・出産のために退職した人が、改めて仕事を探そうとした時に非正規しか枠がないためです。
非正規社員の推移
さて次に「非正規社員の推移」を見てみます。

引用:厚生労働省「正規雇用と非正規雇用労働者の推移」
毎年数十万人単位で非正規が増えています。
そして正規社員は平成26年まで減り続けていました。
平成27年になって正規社員が増えているのは、少子高齢化による労働人口不足が問題となり、企業が将来の人材不足を不安に感じたためです。
平成29年も継続して正社員が増え続けているのは、景気が良くなり売り手市場になってきたことが要因だと考えられます。
正社員雇用が増えている、という意味では明るい材料になりますが、非正規社員はもっと増えています。
言い方を変えれば、一度非正規になるとそこから抜け出すのはかなり難しいと言えます。
「30代・社員未経験・フリーター」で正社員に転職出来るのか
30代での転職は「未経験者可」と書いてあったとしても、社会人としての経験が求められます。
基本的なマナーや常識はもちろん、コミュニケーション能力や調整能力を求めてきます。
つまり「未経験可」でも「正社員未経験は不可」がほとんどです。
そして「社員未経験者」のつらいところは、社会人として基本的マナーが身についていないことです。
新卒で会社に入社すると数週間~数カ月の新入社員研修があります。
そこで電話応対やマナー、名刺交換などの基本的なスキルを教わります。
ぼくもそうでしたが、新卒で就職しない場合初めての就職は「中途採用」扱いになるので、社会人としてのマナーを学ぶ研修が受けられません。
それでもぼくが正社員として採用されたのは、まだ20代前半だったからです。
このことからも「30代・社員未経験・フリーター」から正社員を目指すのは、非常に厳しいと考えられます。
コロナウィルスの影響でさらに厳しくなる
コロナウィルスの感染が拡大し、日本全体に緊急事態宣言が出ました。
その結果、経済活動に必要な「人・物・金」のうち、人が全く動かなくなっています
人が動かなければ、物も金も動きません。
その結果経済活動が停滞してしまい、経営が厳しくなる企業が続出しています。
この状況が長引けば、倒産する企業やリストラされる人が増えていくでしょう。
つまり正社員の募集枠が減少し、非正規から正社員になるのはかなり厳しくなると考えられます。
「30代・社員未経験・フリーター」で正社員になるには
「30代・社員未経験・フリーター」から正社員を目指すには、社会人としてのマナーと企業が求めるスキルを身につける必要があります。
なのでまず、自分に足りないものが何かを考え、勉強することが大切です。
そして正社員になるために「一生懸命努力する」ことが必要になります。
- ビジネスマナーを学ぶ
- 資格の勉強・取得
- ビジネススクールやセミナーの受講
- 働きたい業界の情報収集
- 職業訓練校に通う
「正社員になりたいです」と言う気持ちだけではなかなか採用されません。
正社員になるために具体的にどういうことをしているのか、行動として示すことが大切です。
その上で、とにかく多くの求人に申し込むこと!
社会人経験がある方でも20社~30社は断られて当たり前。
ましてや経験がない分不利ですから、50社でも100社でも申し込むようにしてください。
未経験でも採用されやすい仕事
社会人未経験・フリーターでも、比較的採用されやすい業種や職種を紹介します。
営業
営業は実力がものを言う世界なので、未経験者でも比較的採用されやすい職種です。
営業の種類は「企業対企業のBtoB」と「企業対個人のBtoC」があります。
その中でもさらに細分化され、保険や自動車、文房具や住宅、マンション、金融商品など、会社があれば営業があるといっても過言ではないほど多岐にわたります。
販売するものにも、商品として形のある「有形商材」や形のない「無形商材」があります。
一般的に「BtoC」の「有形商材」は売りやすく、「BtoB」の「無形商材」は売りにくいと言われています。
「BtoC:有形商材」の代表は「小売店」がイメージしやすいはずです。
「無形商材」は保険や株などです。
「無形商材」を売るのは初心者にはハードルが高いため、営業として働くときはどんな商品をどんな方法で販売しているのか、営業活動はどんな内容なのかをよく確認してください。
そして自分にできるかどうかも考えることが大切です。
飲食店
飲食店産業は人手不足の所が多く、未経験者でも採用されやすいのが特徴です。
チェーン店は仕事のほとんどがマニュアル化されているため、経験に関係なく仕事ができるからです。
ただし飲食店は労働集約型産業、つまり人の手による作業が多い業界です。
そのため人手不足だと残業や休日出勤が多くなる傾向にあります。
採用されやすいのは確かですが、どんな働き方になるのかはきちんと確認してください。
小売店
ホームセンターやアパレル関係など、お店での業務はアルバイトの延長線上にあることが多く、アルバイト経験があるだけでも採用されることがあります。
仕事内容は売り場の変更や品出し、レジ打ち、接客などが多く、それほど複雑ではありません。
勤務体制はシフト制で、社員は小型店なら2人か3人、あとはパート・アルバイトで営業しています。
小売店も労働集約型の産業です。
そのため人手不足だと残業や休日出勤が多くなる傾向があります。
採用されやすい職種ではありますが、どんな働き方になるのかはよく確認することが大切です。
介護
介護業界は常に人手不足です。
そのため非常に採用されやすい職種でもあります。
介護に関わる資格も多く、取得していれば大きな力になってくれます。
ですが低賃金で激務を強いるところもあり、就職を決める前に情報収集をきちんと行わないと大変な思いをするかもしれません。
最近は政府が介護職の待遇改善に乗り出しています。
今度成長が見込める分野でもあるため、今から経験を積むことで将来は職場の中心として働けるかもしれません。
IT関係
IT業界も人手不足が続いているため、比較的採用されやすい業界です。
ですがSEやプログラマなどの職種は、未経験でチャレンジできる限界が32歳だと言われています。
プログラム等に関わらないネットワーク構築などは、40才未満でも未経験採用があります。
ちなみにSEやプログラマは常にアンテナを張り、新しい技術を追いかけていかないと仕事になりません。
精神的にやられる人が多いとか、プログラマーが逃げ出したとか、ホームページを作るために1週間泊まり込んでいるとか、普通に聞く業界でもあります。
チャンスはありますが、厳しい業界だということは念頭に置いてください。
量産工場の作業員
最近は派遣会社で「無期雇用派遣」として採用し、工場へ派遣するという働き方があります。
つまり派遣会社の「正社員」になれるのです。
また人手不足の工場も多数ありますから探してみる価値はあります。
工場で働くと技術が身につくのはもちろん、アーク溶接や小型クレーン、フォークリフトなどの資格を取得することができます。
一度資格を取得し技術を身につければ、他の職場に転職することも可能です。
ただし優良企業だけでなくブラックな工場もありますので、求人を探すときは評判をきちんとチェックしてください。
仕事探しの方法
30代正社員未経験の方が正社員を目指すのなら、利用できる求人媒体はすべて利用してください。
ハローワーク
ハローワークには、地元の優良企業や中小企業の求人が数多く集まっています。
また面接や履歴書・職務経歴書の作成などのセミナーも行われますので、積極的に利用するようにしてください。
ハローワークは仕事がない人を就職へと導く、最後のセーフティネットです。
なので積極的に利用してください。
そして当たり前のことですが、受け身では誰も助けてくれません。
自分から希望する内容を職員に伝え、積極的に相談することが大切です。
転職サイト
転職サイトには幅広い企業の求人が集まっています。
なかには「ハローワークに出ていない」求人もありますので、必ず登録して利用するべきです。
転職サイトを活用するときは職務経歴などを全て入力し、スカウトメールが受け取れる体制を作っておくことが大切。
企業が経歴をみて興味を持てば、一次面接免除などの特典が付いたスカウトメールが送られてきます。
「大した経歴がない」からと入力しないのではなく、少しでも間口を広げるために必ず入力してください。
利用する転職サイトはリクナビNEXT がオススメ。
転職を考えた方の8割が登録すると言われているほど実績のあるサイトです。
求人の量がすごく豊富で更新頻度も高く、情報を集めるだけでも登録する価値があります。
公式サイトはこちら➡リクナビNEXT
転職エージェント
転職エージェントは転職に関わるほぼすべてのことにサポートしてくれる、とても心強いサービスです。
キャリア相談から履歴書・職務経歴書の添削、求人紹介、面接対策、面接後の後押しまで「完全無料」でサポートしてくれます。
また転職エージェントには、ハローワークや転職サイトにも出ていない非公開求人が沢山あります。
この非公開求人を紹介してもらうことで、より転職が成功しやすくなるのです。
ただし「正社員未経験」だと登録を断られることがあります
ですがもし断られたとしても、めげずに別の転職エージェントに相談してください。
なぜなら正社員未経験というハンデは想像以上に大きいからです。
転職エージェントは仕事として転職のサポートを行っています。
当然関わってきた転職者の数も多いですし、転職を成功させるためのコツを知っています。
つまり「正社員未経験」というハンデを埋めるためにも、転職のプロのサポートを受けてほしいのです。
◆doda
国内規模No.2の転職エージェントです。
案件数・決定数共に業界最大手に匹敵する優良エージェントです。
担当者の当たり外れが少なく、面接対策や職務経歴書などの転職対策で圧倒的に高い評価を得ています。
公式サイトはこちら➡doda
転職エージェントのサポートを受けても確実に転職できるわけではありません。
ですがひとりで行うよりはスムーズに進めることができますし、なによりプロのアドバイスを受けることで参考になることが多いはずです。
最後に
30代でフリーターで社会人経験なしだと、正直な話正社員になるのは厳しいです。
特に今はコロナ禍の影響でさらに厳しくなっています。
ですが厳しいだけで「不可能」ではありません。
まずは正社員になるための努力をすること。
そして諦めずに多数の求人に申し込むことが大切です。
また利用できる求人媒体は全て利用してください。
ハローワーク、転職サイト、転職エージェント、求人雑誌や新聞、友人・知人の紹介など。
とにかく利用できるものはすべて利用するべきです。
「社会人経験なし」というハンデがある分、多くの情報を集め、積極的に行動することが大切です。