派遣社員は安定・待遇・収入の面から考えると、将来が不安になる働き方です。
2015年の派遣法改正で、派遣就業が「臨時・一時的なもの」とする考え方が明示されました。
つまり派遣社員として働いている限り、「臨時的・一時的な仕事」にしか就けない可能性がある、ということです。
もちろん派遣社員の雇用を安定させるための活動も、派遣業者に義務付けられていますが、これは派遣が終了した後の雇用を継続させるためのもの。
ひとつの派遣先(同一組織単位)での勤務期間が、1年以上3年未満の場合は努力義務になるため、どの程度効力があるのかはわかりません。
(努力義務は、やるかどうかは派遣業者の判断に任せる、ということです。)
また派遣社員は、経験・スキルの面で正社員に負けることが多く、年齢を重ねるほど正社員への転職が厳しくなっていきます。
正社員でも30代後半の転職は厳しいものです。
スキルや経験で正社員に負けやすい派遣社員となれば、もっと厳しくなっていきます。
この記事では、「派遣社員だけはやめとけ!」と強く言う理由を説明していきます。
Contents
派遣社員は便利な存在
企業からみた派遣社員とは、人件費の調整を行いやすい便利な労働力です。
なぜなら企業が派遣社員を採用する理由は、主に次の3つだから。
- 一時的な人手不足の解消
- 繁忙期の人員確保
- 正社員採用までの繋ぎ
私の勤め先でも派遣社員を採用しますが、それは社員を採用するほどでもなく、パートを募集しても集まらないときだけです。
そのため仕事量が減れば、真っ先に契約を切られるのは派遣社員です。
逆に仕事量が増え続ければ正社員を採用し、派遣社員には辞めてもらいます。
つまり派遣社員は人件費の調整を行いやすい、便利な労働力なのです。
派遣社員は3年で使い捨て
派遣社員は1つの派遣先で3年働くと、次の仕事を探さなければいけません。
なぜなら2015年の派遣法改正により、ひとつの派遣先(同一組織単位)での、受け入れ期間の上限が3年になったからです。
もし次の派遣先が見つからなければ、その時点で仕事が無くなります。
派遣元の努力義務として「派遣先へ直接雇用の依頼」がありますが、派遣先は派遣元にとってお客様ですから、直接雇用の依頼は難しいと考えるべきでしょう。
つまり派遣社員として働く限り3年ごとに仕事がなくなるということ。
派遣社員がどれほど不安定な立場か、3年で仕事がなくなることを考えればわかりますよね。
スキルアップは望めない
派遣社員は仕事の経験を積むことが難しい働き方です。
なぜなら派遣社員は「任せられる仕事がすでに決まっている」からです。
また仕事の内容は、誰でもできる簡単な内容がほとんどです。
派遣社員の仕事が簡単なものになるのは、次の理由があります。
- 人が代わっても業務に支障が出ないようにするため
- 営業情報の漏洩を防ぐため
派遣社員は臨時として採用しますので、退職したら業務に支障が出るような仕事を任せられません。
またいつかは辞めてしまう派遣社員に、ノウハウや営業情報にかかわる部分を任せることもありません。
もちろん専門職として派遣で働いている方もいますが、それはほんの一握り。
派遣社員でスキルアップを望むのは限界があると、考えるべきです。
正社員と派遣社員の差は教育の差
派遣社員から正社員への転職が、年齢と共に難しくなる理由は、社内での教育に差があるからです。
まず企業側が新卒を採用する時は、「仕事ができない事を前提」としています。
そして時間をかけてOJTや社内研修などで教育し、一人前に育てていきます。
ところが派遣社員は違います。
任せられる仕事の範囲は決まっていますし、雇われる時もすぐに仕事ができる人材として採用されます。
即戦力が期待される代わりに、必要以上のことを教育しようとはしません。
- 会社からきちんと教育を受け、新しい仕事にもチャレンジしてきた正社員
- 必要以上の教育を受けられず、決まった仕事だけを任された派遣社員
この2つの働き方を比べれば、年数と共に経験やスキルの差が大きくなるのは当たり前です。
またこの差があることで、派遣社員から正社員に転職することが難しくなっています。
「いつか正社員で採用する」に騙されるな
「いつか正社員にするから」と言われた派遣社員の方も、多いんじゃないでしょうか。
ですが実際に正社員として採用された方は、ほとんどいないはずです。
残念な話ですが、会社が「いつか正社員にする」という場合は、甘い言葉をかけて辞めさせないようにしている可能性が高いです。
理由は簡単です。
派遣社員でも優秀な方は、会社としても手放したくないのです。
ですが正社員で採用するほど人員に困っていないので、派遣社員のまま長く働いてもらえるように「正社員にする」と言っています。
表現は悪いかもしれませんが、永遠に食べられないニンジンを目の前にぶら下げられているようなものです。
「派遣から正社員で登用」は門が狭すぎる
実際派遣社員から正社員になった人を何人か知っていますが、かなり狭き門です。
理由はいろいろありますが、そもそも派遣社員を雇うのは一時的な忙しさをしのぐ為です。
忙しい時期が過ぎれば、人件費を削減するために派遣社員から契約を切られていきます。
また派遣社員に任される仕事は、誰でも出来る単純作業が多いですから、わざわざ人件費の高い正社員にする理由が無いのです。
なので、派遣社員から正社員になるのはかなり難しい、と考えるべきです。
35歳以上は正社員になるのが難しくなる
派遣社員は仕事が限定されるので、スキルや経験が身につきにくい、という話をしました。
ということは派遣社員を正社員で採用すると、教育にコストがかかります。
まだ若ければ問題ありませんが、ある程度の年齢(35歳以上)になると人件費も高くなっていきます。
給与はある程度我慢するという方もいますが、企業の給与は年齢で決まっていて、極端に安くも高くも出来ません。
つまり35歳以上は教育費+人件費が高くなるので、派遣社員から正社員への転職が難しくなります。
30歳半ばがリミット!今すぐ行動しよう!
派遣社員から正社員へ転職するリミットは、30歳半ばです。
まだ新しい仕事が覚えられ、派遣社員としての経験も、経験としてみてもらえるぎりぎりのラインです。
厚生労働大臣も「派遣は臨時的・一時的なもの」だと言い切りました。
同一労働同一賃金も、自社で雇用している従業員にしか反映されません。
派遣元が派遣先に、福利厚生や賃金について聞く義務もありますが、お客様に「お宅の給料はいくら?」なんて聞けるわけがありません。
つまり派遣社員の給与はどこまで行っても増える可能性が低い。
そして40歳を超えてしまえば、正社員として派遣社員を雇用してくれる企業は一気に減ります。
毎日同じ職場に出勤して働いていると何となく安心してしまいますが、それはまやかしです。
生活していくためにも今すぐ転職活動を始めてください。
正社員の求人はハローワークを使って探す
派遣から正社員を目指すときは、ハローワークを中心に転職活動を進めてください。
なぜならハローワークには、地元の優良企業の求人が集まっているから。
また高卒や学歴不問の求人が多いからです。
転職エージェントや転職サイトを使うのも方法のひとつですが、あくまでもハローワークの補助として利用しましょう。
ただし「大卒」で「一定以上のスキルがある」のなら、転職エージェント中心に転職活動を進めるのもありです。
理由は転職エージェントには、大卒以上を求める求人が多いから。
実力主義に騙されるな
学歴が関係あるのは新卒まで。
という言葉をよく見ますが、これ半分嘘です。
企業は中途採用でも、地頭の良さを学歴で判断します。
とくに専門性の高い職種ほど、学歴で判断する傾向が強いのが現実です。
転職で学歴が求められることは、転職エージェントのdodaも「学歴は中途採用で求められる?−学歴と転職の関係−」で紹介しています。
そしてdodaでは学歴を問う求人が6割あるとも言っています。
つまり転職でも学歴が重要な選考の項目になっているのです。
だからこそ転職はハローワークを中心に活動して、転職エージェントや転職サイトはハローワークの補助として使うのがいいのです。
おすすめの転職エージェント
転職エージェントを使うのなら、リクルートエージェントとスタッフサービスがオススメです。
まずリクルートエージェントは業界最王手といわれ、転職成功経験も豊富。
また大企業の関連会社など、業績が安定していて待遇の良い求人も多く、質も高いことで評判です。
履歴書や職務経歴書の添削、面接対策も大手ならではの経験と実績からくるアドバイスをもらえるので、きっと役に立つことでしょう。
派遣会社で有名なスタッフサービスも、正社員や契約社員を紹介する人材紹介サービスを行っています。
もともと派遣会社なので、派遣から正社員になる際のアピールポイントにも詳しいはずです。
もし悩んでいるのなら、一度相談してみてはいかがでしょうか。
スタッフサービスの特徴は次の通り
- 超大手派遣会社のスタッフサービスが運営する人材紹介サービス。
- 事務職を中心に全国の求人をご紹介しています。
- 求人数が多く、とくに女性が働きやすい事務職の求人が多くあるので事務職で働きたいひとにおすすめです。
最後に
派遣社員で生活していくには待遇が改善されないと難しい。
働き方改革で待遇が改善されることが期待できますが、安倍首相が解散したために、まだまだ時間がかかりそうな雰囲気です。
本当に稼げている一部の派遣社員以外は、生活が厳しいのが現状。
使い捨てから逃れるには、今は正社員を目指すしかありません。
時間が経つにつれて正社員との格差は広がっていきますから、今すぐにでも行動に移しましょう。