年に1回行われる人事考課では、上司が部下に指導やアドバイスを行い、1年間の反省と目標を決めていきます。
そしてこの時期に上司が口をそろえて言うのは。
- いろいろアドバイスをするんだけども聞いてくれない
- 簡単なやり方をアドバイスするが理解してくれない
- 俺のアドバイス通りにやれと言ったのに、やろうとしない
という「言うことを聞かない部下にたいするぼやき」です。
なぜ部下は上司の言うことを聞こうとしないのか、それは「アドバイス」だと言いながら部下を「説得」しているからです。
この記事では勘違いしやすい「説得」「アドバイス」「指導」の違いについて紹介しています。
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アドバイスとは
アドバイスは忠告や助言、勧告を行うという意味です。
忠告:相手の悪い所を指摘して直すようにすすめること。
助言:「こうするのがいいよ」と助けを出すこと。
勧告:前もって注意を促すこと
引用:シソーラス
意味を見ていただけばわかるように、アドバイスした相手がどう動くのかは関係ありません。
なので上司が部下にアドバイスをしても、部下が聞き入れるかだどうかは別問題です。
アドバイスとは
これは「悪いこと」だから、早めに直した方がいいよ(忠告)
「こうやった方が上手くいくんじゃない」(助言)
「それは失敗するかもしれないから、辞めた方がいいよ」(勧告)
ということです。
説得とは
説得は相手の理性や感情に働きかけ、自発性を尊重しながら意図する方向に相手を動かすこと。
つまり「相手の行動や感情の動きをコントロールしようとすること」なので、「説得」と相手の「納得」はセットになります。
説得:よく話して、相手に納得させること。
引用:コトバンク
つまり相手理性や感情に働きかけて、説得する人が意図する方向で「納得」させ、行動してもらうことが「説得」です。
よく説得と納得は違うと言われますが、説得は納得があって成り立つものなので、説得と納得は「セット」になります。
自分の意見を理解してもらおうと、一方的に話すことは「主張」になります。
それに対して相手も自分の意見を「主張」してきたのなら、それは「議論」です。
上司が部下に「おれのアドバイスを聞け!」と言うのは、相手を説得する行為になります。
そして部下が上司の思った通りに動かなければ、説得に失敗。
自分の意見を主張しただけだ、ということになります。
指導とは
指導はその字が示すように、目的を指し示し、導くことです。
指導:ある目的・方向に向かって教え導くこと
引用:コトバンク
部下を一定のレベルまで仕事ができるようにするのなら、上司が取るべき行動は「指導」です。
「指導」するのであれば、人事考課での話し合いだけで終わらせることなく、定期的に進捗を確認し、正しい方向へ進めるよう教える必要があります。
部下がやらないのはなぜか
なぜ部下が上司の話を無視し、行動に移さないのでしょうか。
その原因は次の3つ。
- 「話し合い」だと言いながら、上司が一方的に話をしている
- アドバイスと言いながら説得を試みている
- 指導しない
一言でいえば、「部下の人格を無視している」からです。
本当に部下のことを想いアドバイスをしているのなら、その後の進捗状況も確認し、適切な指導も行うはずです。
指導を怠り人事考課の場だけで話をしても、「上っ面だけ」だと部下に思われてしまいます。
また部下としても、上司が自分のことを見てくれないと思えば、与えられた仕事しかやろうとはしません。
なぜなら一生懸命やっても「評価されない」と、考えてしまうからです。
指導することが大切
部下を成長させるために大切なのは「指導」することです。
かなり大変ですが、定期的に進捗状況を確認し、困ったことや分からないことがないかを確認してください。
そしてどうすれば上手くいくのかを、アドバイスします。
これを繰り返すことで、部下を成長させることができます。
部下としても「上司が見てくれている」と思えば、やる気も出ますし、仕事に取り組む姿勢も変わるものです。
言い換えれば「でっかい子供」のようなものです。
「権力者(親)」がどう接するかで、部下(子供)のやる気も態度も変わってきます。
最後に
説得・アドバイス・指導の違いを説明しました。
「部下が言うことを聞かない」という上司に限って、指導していないことがほとんどです。
- 「アドバイス」だと言いながら、一方的な主張を押し付ける
- その結果「あいつは言うことを聞かないやつ」だというレッテルを貼る
- そして「仕事ができない」と評価を下げる
これが「部下を指導できない上司」の典型的なパターンです。
ぜひ適切な指導を行い、部下を一人前へと導いてください。