
「体調管理も仕事のうち」
社会人になってからこの言葉を何度言われたのか分かりません。
風邪をひいて母親に言われたこともありますし、発熱で休みを取ろうとして上司に言われたこともあります。
確かに体調管理は大切ですし、毎日健康で元気に過ごせるのはすごくいいことですよね。
でも、なぜ仕事?
ぼくは「体調管理は仕事のうち」と言う言葉の中に、体調が悪くなっても休めない日本の悪習の原因がある気がしています。
「体調管理も仕事のうち」に感じる違和感
風邪をひくと、突然高熱が出ることがあります。
あるいは酷い頭痛におそわれたり、下痢が重なってとても仕事が出来る状態ではなくなることもあるでしょう。
そんな突然体調が悪くなった日に、仕方がなく「今日はお休みをください」と会社に連絡すると上司から、「体調管理も仕事のうちだろ、この忙しいのに何やってんだ!と叱責を受けました。
さて、これは職場でよく見る光景ですが、あなたはどう思いますか?
「体調管理を怠って風邪を引いた人が悪い」
と思いますか?
体調不良は誰にでも起こることです。
急な発熱や腹痛、腰痛に襲われることも誰にでも起こりうることなのです。
実際ぼくは40歳を超えてから、朝起きて普通に座ろうとしただけで腰を痛めたことがあります。
あまりの激痛立つことどころか動くことも出来なくなり、突然3日も休みを取らざるを得なかったのです。
医者からは「歳だから」と言われ、ゆっくり動くことを勧められました。
こんな状態になっても「体調管理も仕事のうち」なのでしょうか?
体調不良は誰にでも起こりうること。
これを前提にして考えると「体調管理も仕事のうち」はおかしな考え方ですよね。
「体調管理は仕事のうち」とは
こんな言葉を作るからいけないんだよな。と、思ってしまいますが…。
「体調管理も仕事のうち」は、二日酔いや夜更かしなど、体調を崩しやすく、仕事に支障が出ることはやめよう、と言う意味です。
「風邪をひくな!」とか、「自己責任だから具合が悪くても仕事をしろ!」と言う意味ではありません。
例えば二日酔い。
お酒を飲み過ぎれば翌日には気分が悪くなったり、吐き気や頭痛がするのは誰でも知っていることです。
なので「飲み過ぎて体調が悪いから休ませてください」と連絡すれば、「体調管理も仕事のうちだろ」と言われて当然。
つまり、自分で管理すれば体調を崩すことは無かったのだから、自己管理をきちんとしろ!と言う意味で「体調管理も仕事のうち」だと言われるのです。
ノロウィルスや発熱、腰痛などで体調を崩すこととは別問題。
気を付けていても感染することや熱が出ることはありますから「体調管理も仕事のうち」にはならない。
間違っても「具合が悪くても仕事に来い!自己責任だ!」と言う意味ではありません。
急な発熱を報告したらありえない指示を受けた
ぼくはプレゼン当日に高熱を出したことがあります。
前日の夜まではすごく元気でしたが、寝て起きたら39度の熱が出ていたのです。
さすがに電話を入れて休もうかと思ったのですが、若干の申し訳なさを感じ、直接休みをお願いしようと出勤しました。
まぁ、出勤したのもよくなかったのですが。
そして上司に体調不良を報告し、申し訳ないとお詫びをしたところこう言われました。
「代わりを見つけてこい」と。
少し話を脱線しますが、病欠で人が不足した場合代わりを見つけるのは休んだ人ではなく会社になります。
それを従業員に命令するのは業務命令権の汎用となり無効です。
まあそこまで考えなくても、具合の悪い人に「代わりを探せ、じゃないと休ませない」と言った表現をするのはどうかと思いますけどね。
なので、39度の熱が出ている人に対して「代わりを見つけてこい」と言うのは、まったくのお門違い。
そして立て続けに「体調管理も仕事のうちだ」と言われたのです。
関連記事:プレゼン当日に風邪!?体調管理も仕事?いいえ自分のためです
突然休むのは迷惑かもしれない、でも休まないのも迷惑だ
突然休みを取られると、その人の仕事は周りの人がフォローしないといけなくなります。
それだけに「休まれると迷惑だ」と思う人もいるでしょう。
最近は減りつつありますが、テレビCMでも「この薬を飲んで働こう」と言った趣旨を見かけることがあります。
そういった風潮、「具合が悪くなるのも自己責任、だから無理をしてでも仕事をしろ」と言った考えが日本にはあるのかもしれませんね。
でもはっきり言いますが、風邪を引いた人やに出勤される方が迷惑です。
もし風邪が周りの人にうつったらどうしますか?
インフルエンザを隠して出勤し、部署全員にうつした総務部長を知っていますが、無理をして出勤するととんでもない事態を引き起こすこともあります。
「体調管理も仕事のうち」
その考えをもとに、みんなで病気になり会社の機能をマヒさせますか?
病気は望まないのになってしまうことがあります。
日々体調管理に気を付けていたとしても、突然熱が出ることは誰にだってあるのです。
二日酔いや寝不足のように、自己管理で防げるものに対しては「体調管理も仕事のうち」で構いません。
でも、本人ではどうしようもない病気については、「お互いさまの心」で助け合うべきです。
「仕事」なら会社は給与を払え
さて「体調管理も仕事のうち」は、退社後も明日の仕事を問題なく行うために、「体調管理」と言う「仕事」を行わないといけません。
つまり、帰宅後も会社に拘束されていると考えることが出来ます。
となれば「体調管理」という「仕事」を行うための環境を、会社が要する必要があります。
当然給与も支払うべきです。
つまり365日24時間、常に「体調管理」と言う「仕事」が出来る環境を用意し、「仕事」として「給与」を支払うべきなのです。
えぇ、屁理屈です。
むちゃくちゃ言っていることはわかっていますよ。
でもそういうことですよね。
「体調管理も仕事のうち」だと言うのなら環境を用意して給与をはらえ!と言う意見を読んで、「その通りだ」と思った方も多いのでは?
「体調管理も仕事のうち」だと指導し、「仕事」だと言い切っているのですから。
最後に
「体調管理も仕事のうち」を強調し、風邪で休むこともできない職場なら正しい意味を話しても意味がありません。
その会社は完全にブラック、労働環境が劣悪だと言い切れます。
どこかに訴えるか転職を考えてください。
(ちなみに労働問題の相談先は、「仕事を辞めたい人必見!労働問題の相談窓口一覧」を参考にしてください。)
「体調管理も仕事のうち」とは、二日酔いや寝不足と言った自分で管理出来ることをしなかった場合に、戒めの意味を込めて使う言葉です。
体調不良や病気など、自分では管理しきれないことに対して使う言葉ではありません。
この言葉を盾に病気なのに出勤を強要したり、代わりを見つけないと休ませないと言った対応をとる会社で働いているのなら、すぐにでも転職することをお勧めします。
体を壊してしまっては、元も子もありませんから。
ちなみに「風邪をひいても仕事に来い!」とか「具合が悪くても休むな!」とか、めちゃくちゃいう上司がいたら、言い返してもいいと思いますよ。
言い返した結果どうなるかは、責任を持てませんが…。
➣言いたいことは言った方が良い。上司に歯向かってもなかなか首にはならない