
・パワハラを受けている
・人間関係が嫌だ
など、最短で会社を退職したい! と思うこと、ありますよね。
ぼくは初めての転職先で孤立。
仕事も一切やらせてもらなくなり、精神的に追い詰められて退職したことがあります。
それもたった3か月で。
その時は、勇気を振り絞って「やめたい」会社に伝えました。
ですが、「会社の名前に傷がつく」という理由で止められたんです。
それでも諦めずにもう一度「やめたい」と言ったところ、罵声と怒声が凶器のように飛んできました。
で、まぁ結果として3日で辞められたわけですが…。
ぶっちゃけた話をすると、会社は最短1日で辞められます。
会社とあなた、双方の合意があれば、その日に退職できるんです。
ただ、即日退職を認めてしまうと、会社が会社として成り立たなくなりますよね?
なので、就業規則で退職までの期間を決めてきます。
とはいえすべてを会社に任せると、変な決まりを作るやつが出てくるんです。
それを防ぐために、民法でも退職までの期間を決めています。
これを効力の強い順に並べると、次のようになります。
1.双方の合意
2.民法
3.就業規則
つまり、最短で会社を退職したいのなら、会社の合意をとるのが手っ取り早い。
それが無理なら、民法に沿って2週間で退職するのが早い、というわけです。
会社の合意をとるのは難しい
最短でやめたければ会社の合意を取ればいい。
とはいうものの、これはメチャクチャ難しい。
なぜなら、あなたに任せている仕事があるからです。
(任されている仕事がなければ、意外とあっさりやめられます。)
仕事を任せているのに、「今日で辞めます」なんて言われても、困りますよね。
後任も見つけないといけないし、引継ぎもあります。
なので、即日退社を認める会社はまずありません。
たいてい話し合いになり、1か月とか期間を置いてからの退職になります。
会社と合意するのが一番早い。
とはいっても、合意をとるのは難しいのです。
退職代行を利用する
どうしても最速で会社を退職したいのなら、退職代行を使う方法もあります。
退職代行は、本人に代わって退職の意思を会社に伝えてくれるサービス。
このサービスを利用すれば、即日退職も不可能じゃありません。
ただし、有料(数万円)のサービスです。
また、下手なサービスを使うと、後々もめることもあります。
最低限弁護士か、労働組合が関係している退職代行を使ってください。
じゃないと、後で後悔することになります。
こちらに体験談がありますので、ぜひ参考にしてくださいね。
➣退職代行を使ってみた
退職の意思表示をすれば最短2週間で辞められる
会社との合意の次に早いのが、民法に沿って退職する方法です。
民法上では、「辞める」と意思表示をしてから最短2週間で辞められます。
しかも、退職の意思表示をするために、行きたくない職場へ行く必要はありません。
会いたくない上司に、会う必要もないんです。
退職時期1か月は法律ではなく会社が決めたルール
一般的に退職するときは、まず上司と話をします。
そして、了解を得てから辞めますよね。
退職届は、退職が決まってから提出することが多いものです。
なので、ほとんどの人は「退職したい」と言ってから、最低1か月は働く必要があると思っています。
有休休暇が残っていなければ、会社と相談して決めた退職日まで働き続けないといけない。
そう思っているはずです。
じつはですね。
社内規定にある退職までの日数(例えば1カ月)に法的な根拠はないんです。
あれ、会社が勝手に決めたルールなんですよね。
法律上は退職の意思を示してから2週間で退職可能
法律上は退職の意思を示してから2週間(14日間)で退職できることになっています。
つまり社内規定上の1か月後や2か月後、3か月後といった期間は、やむを得ない事情があれば無視することができます。
本来仕事は、労働者が辞めたいと思えば自由に辞められるんです。
民法
引用:Wikibooks
(期間の定めのない雇用の解約の申入れ)
627条
1 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申し入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申し入れの日から2週間を経過することによって終了する。
退職理由も会社に伝える必要はなく、「一身上の都合」だけで十分です。
なので、会社が「退職を認めない」と言ってきたり、「次の人が来るまでは働くように」言ってきたとしても、法的には一方的に退職することができます。
社内規定が優先されるケース
退職の社内規定が優先されるのは、正当な理由がある前提で、退職の自由を不当に拘束しないケースに限られます。
正当な理由…っていうのが難しいんですけどね。
例えば、引継ぎが必要とか、後任の手配とかですね。
とはいえ1か月もあれば十分ですが。
なので、正当な理由もなく1カ月を超える期間を設けちゃいけない。
これをやると、退職の自由を不当に拘束したと判断され、無効になることが多いんです。
例外
ちなみに、次の2つの場合は、予告期間の例外として扱われます。
予告期間は、退職日までの期間だと思ってください。
・純然たる月給制(遅刻・欠勤による賃金控除がない)
627条
引用:Wikibooks
2 期間によって報酬を定めた場合には、解約の申し入れは、時期以後についてすることが出来る。ただし、その解約の申し入れは、当期の前半にしなければならない。
・6ヶ月以上の期間で報酬を定めてある(年棒制など)
627条
引用:Wikibooks
3 6箇月以上の期間によって報酬を定めた場合には、前項の解約の申し入れは、3箇月前にしなければならない。
普通のサラリーマンなら、意思表示から退職まで長くて1か月です。
1か月でも、長いくらいだと思いますよ。
退職願や退職届が必要な理由
会社を退職するとき、退職届とか出しますよね。
実は「退職願」や「退職届」の提出は、法律上必要ない手続きです。
実際には「口頭」で伝えても意思表示をしたとみなされ、2週間後には労働契約を終了することができます。
ただこの場合、言った言わないの話になる可能性がある。
なので、手続きとして「退職願」や「退職届」を提出する、ってわけです。
関連記事:退職届・退職願の書き方
退職願と退職届の違い
「退職願」と「退職届」は意味合いが全然違います。
「退職願」は退職希望を会社に伝えるために提出するものです。
なので手続きは、退職願の提出 ⇒ 会社側の了承 ⇒ 退職 となります。
「退職届」は退職の意思を会社に伝えるために提出するものです。
法的に見れば、退職届の提出 ⇒ 2週間後に退職 となります。
退職願は会社に対して「辞めたいのですがよろしいでしょうか?」とお願いをしているだけです。
なので「だめだ」と言われると、辞めることができなくなります。
退職の意思が固まっているのであれば「退職届」を提出しましょう。
関連記事:退職届に具体的な理由を書くケースとは
契約社員は注意が必要
契約社員の場合は、契約期間が終わるまで働くのが一般的です。
一定期間働くことを契約しているわけですから、勝手に退職した場合は会社から損害賠償を請求されることもあります。
ただし期間の定めがあるないに関わらず、やむを得ない事情があればすぐに退職することができます。
(やむを得ない事由による雇用の解除)
第628条
引用:Wikibooks
当事者が雇用の期間を定めた場合であっても、やむを得ない事由があるときは、各当事者は、直ちに契約の解除をすることができる。この場合において、その事由が当事者の一方の過失によって生じたものであるときは、相手方に対して損害賠償の責任を負う。
また労働基準法第137条によると、契約初日から1年以上働いている場合はいつでも退職できるとされています。
(ただし専門的な知識、技術又は経験を有する労働者や、満60歳を超える労働者には適用されません。)
第137条
引用:Wikibooks
期間の定めのある労働契約(一定の事業の完了に必要な期間を定めるものを除き、その期間が1年を超えるものに限る。)を締結した労働者(第14条第1項各号に規定する労働者を除く。)は、労働基準法の一部を改正する法律(平成15年法律第104号)附則第3条に規定する措置が講じられるまでの間、民法第628条の規定にかかわらず、当該労働契約の期間の初日から1年を経過した日以後においては、その使用者に申し出ることにより、いつでも退職することができる。
以上を踏まえて考えると、退職は労働者側にかなり強い権限があることが分かりますよね。
ブラック企業にありがちな「辞めるなら~をしてからにしろ」と言う脅し
「代わりの人を連れてきたら退職していい」とか「売り上げがマイナスになっている分を補填しろ」とか、ドラマの世界だけじゃなく現実にもこういった脅しはあるようです。
「会社の名前に傷つくから辞めないでくれ」とかね。
当然ですが、故意か重大な過失で会社に損害を与えた場合を除き、退職する場合使用者に対する賠償責任は発生しませんし、使用者が「~するなら退職を認める」などの条件をつけることもできません。
もし条件をつけられたら、とてもじゃないけど怖くて退職なんかできませんよ。
自由に退職できないのなら、それは「奴隷」と同じです。
憲法では職業選択の自由(憲法22条)や奴隷的拘束の禁止(憲法18条)という人権が保障されています。
だから退職の自由が労働者には認められているんです。
もしブラック企業で悩んでいるのなら、こちら「仕事を辞めたい人必見!労働問題の相談窓口一覧」を参考に、外部の相談窓口へ連絡してみてください
退職の意思表示の方法
退職の意思だけであれば口頭で告げることもできます。
会いたくなければ、メールや電話でもOKです。
ただ「そんな話は聞いていない」と、言い出し、後々もめる可能性も否定できません。
なので意思表示の記録を残すという意味で、退職届を提出します。
文面も「〇月〇日で退職します」と書くこと。
「させてください」とか、「お願いします」のように、中途半端な表現はダメでです。
ちなみに「辞表」は役職者が提出するものなので間違えないように。
もし、目の前で退職届を破られたりしたら。
配達の履歴が残る、「内容証明郵便」で退職届を送りましょう。
これ、会いたくないときにも使えます。
退職の意思表示は「辞める」と伝えること。
そして、履歴を残すことが大切です。
退職届け提出後の2週間は出勤しなくていいのか
理論上は、退職日を書いた退職届を「内容証明郵便」で送付すれば、2週間で退職することができます。
ここで気になるのが、2週間は出勤しなくていいのかどうか。
ですよね。
まず、無断欠勤をすると懲戒処分を受ける可能性が出てきます。
が、懲戒処分は14日間無断欠勤しないと処分できません。
14日と言えばちょうど2週間。
退職届けを出して2週間経てば退職できますよね。
つまり、出勤しなくても退職できる、ということ。
14日間無断欠勤になるんじゃないの?
と思った方。
安心してください。
2週間の間に公休もあります。
なので、14日無断欠勤になることはまずありません。
つまり懲戒処分を受ける前に退職できるということです。
プロに相談する
とはいえ、懲戒処分を受ける前に退職できる、というのは理論上の話。
実際には離職票を受け取ったり、健康保険証を返却したりと様々な手続きが発生します。
なのでもし法律を行使して辞める場合は、1人で動かずにプロ(弁護士)に相談しましょう。
後々トラブルを起こすよりも、間にプロに入ってもらった方が安心です。
ちなみに相談と言うと労働基準監督署が思い浮かぶかもしれません。
ですが労基署は、会社側が労働基準法に違反していない限り動いてくれません。
なので、頼るなら弁護士がいいんです。
弁護士が間に入ると、サクサク話が進みますよ。
退職代行を利用する
さっきも紹介しましたが、困ったときに退職代行を使うのは、良い手だったりします。
退職代行はNHKでも特集が組まれたことがある、本人に代わって会社に退職の意思を伝えてくれる有料のサービスです。
会社に出勤したり、連絡したりする必要がなく辞められるので、人手不足やブラック企業で働いている方を中心に利用者が急増しています。
サービスの手順は概ね次の通り。
- 相談
- 依頼
- 入金
- 打ち合わせ
- 退職代行の実行
- 結果報告
- 退職手続き開始
- 退職完了
弁護士が行う退職代行と法人が行う退職代行があり、大きな違いは会社と交渉ができるかどうかです。
法人の退職代行を利用したときに心配なのは、退職に失敗することですが、退職を禁止する法律が存在しないため、法的に退職できないことはありえません。
もし法人の利用が心配な場合は、弁護士か労働組合が関係しているの退職代行の利用を考えてください。
退職代行を使った体験談も書いています。
よかったら、参考にしてください。
やむを得ない理由がないなら会社のルールに従う
法律に沿って考えれば、退職届を内容証明で送付し2週間で退職することができます。
できますが…。
よほど勤務時間や人間関係、職場環境に問題がある場合以外は、会社のルールに沿って退職するべきです。
突然一人辞めれば残された人たちが困りますよね。
あなたが今まで行ってきた業務の引継ぎにも、ある程度の時間は必要です。
残された期間で仕事を片付ける。
引継ぎをきちんと行う。
退職時期も会社と相談して決める。
これが一般的な退職のルールです。
やむを得ない場合以外は、会社のルールに従って退職しましょう。
ちなみに会社と合意して辞めるのであれば、それはルールに沿っているので問題なし!
たとえ即日退職でも、合意があればOK!
なんです。