頑張って働いてもなかなか給料は増えませんよね。
先日取引先の人と子供の学費の話になったのですが、こんなことを言っていました。
「働いても、働いても給料は増えない。子供を大学に通わせてからお金のことで毎日妻と喧嘩をしています。」と。
ぼくも子供が二人いますので、学費の話は他人事じゃありません。
同じように妻と毎日喧嘩をするときが来るのかもしれないと思うと、正直話を聞いていて辛くなってきたのです。
ということで、なぜサラリーマンの給料は頑張って働いても増えないのか、その理由を考えます。
構造からみるサラリーマンの給料が増えない理由
2014年の平均年収は415万円、この金額は1997年の467万円をピークに下がり続けています。
なぜサラリーマンの給料は下がり続けているのか。
その理由は給料がどこから出ているのかを考えてみればわかります。
サラリーマンの給料は商品の付加価値から支払われている
当たり前の話ですが、普段利用している商品やサービスは、何かしらの付加価値が上乗せされています。
付加価値が上乗せされなければ利益が出ませんし、利益が出なければ給料も支払ってもらえませんから。
そして付加価値の中で人件費が占める割合のことを労働分配率といい、サラリーマンの給料はこの中から支払われています。
商売に対する貢献とリスクで給与が決まる
労働分配率で計算された人件費すべてが1人の給料になるわけではありません。商品に付加価値を付けるために関わった人で分ける必要があります。
サラリーマンの給料は労働分配率で計算された人件費を、商品に付加価値をつけるために、どれだけのリスクを背負い、どれだけ貢献したかで割り当てられます。
例えば、社長は会社を興すためにお金を出し、場所を探し、商売を考え、そして運営していくためのリスクを背負っています。
何か不祥事が起これば、責任を取るのも社長、倒産すれば会社のために出資したお金が無駄になりますよね。そのリスクの高さから、当然給料も高くなります。
それに対して営業は、仕事の受注から販売までを行うので、商売の中枢を担っているように思えますが、リスクとして背負っているのは時間だけです。
たとえ何か失敗しても責任は会社が持ってくれますし、材料を仕入れるためにお金を出すこともありません。会社が倒産しても失うものはそこに勤めていた時間だけとも言えます。
それ以外の部署も同じで、サラリーマンが背負っているリスクは時間だけ。
つまり、サラリーマンは仕事に対するリスクが社長と比べて少ないので、当然給料も少なくなるのです。
給料を増やすには貢献するしかない
「じゃぁ給料を増やすためにリスクを増やしてくれ」といってもそれは難しいので、サラリーマンの給与を増やすには会社に貢献するしかありません。
わかりやすい貢献としては、営業がガンガン仕事を取ってきて売り上げを大きく上げることでしょうか。
あるいはコストを増やさずに作れる商品の量を増やすことも貢献しているといえるでしょう。
ただ、事務職として働いている人が給料を上げようとするのは、なかなか難しいものがあるかもしれません。
会社が支払える給料の額は決まっている
サラリーマンの給料を増やすには、会社に貢献するしかないといいました。
一生懸命仕事をして会社に貢献すれば、その分だけ給料は増えていくでしょうし、出世が早くなるかもしれません。
でも、残念ですが必死に頑張ってももらえる給料の額は、会社によってきまっています。
年々商品の値段は安くなっていますし、商品を安くするために仕入れ価格も下がっていますよね。会社によっては仕入れ先に毎年数パーセントの値下げを強要するところもあります。
安く仕入れるために複数の会社から見積もりを取り、1円でも高いところからは買わない会社もあります。経理や購買は、経費削減、仕入れ値削減を業務目標として掲げているくらいです。
となれば会社がどんなに頑張っても利益はなかなか増えない、利益が増えなければ当然給料も増えません。
極端かもしれませんが、仕事として安く仕入れよう安く作ろうとすることで、結果として自分の給料を間接的に下げているともいえるのです。
サラリーマンとして稼ぐのは難しい構造が出来上がっているともいえるでしょう。
仕組みから見るサラリーマンの給与が増えない理由
サラリーマンの生活が楽にならないもう一つの理由
それは、労働時間が8時間固定、やってもやらなくても給料は一緒、長時間働く奴が偉い、副業は禁止、同業他社への転職は禁止と、何かと縛りが多いからです。
何故労働時間は8時間なのか
かなり古い調査結果ですが、一番生産性の高い労働時間を調べたところ、一番効率が良かったのが8時間でした。
1日8時間勤務と言うのはその名残だと思われます。
ですが、今はコンピューターやロボットの性能も上がってきました。インターネットが普及したことで会社に居なくても仕事をすることが出来ます。
それなのに、みんなで同じように出勤し、同じように働く理由はあるのでしょうか。
もっと個人個人にあった働き方が出来れば、他のことに使える時間が増え、収入も増やすことが出来るはずです。
必死に働いても、適当でも給料は一緒
会社が支払える給与の額は決まっていますから、結果として必死に働いても適当に働いても給与に大きな差が出ません。
そもそも、給与テーブルと言われる基準が存在することで、個人個人の差が大きくならないようになっているのです。
その結果、必死に頑張った人が損をすることが多く、やってもやらなくても同じと言う空気が蔓延していきます。
頑張っても増えないなら、頑張る意味がありませんよね。
長時間働く奴は偉いという勘違い
出世するのは、「仕事が無くても」遅くまで会社に残っていてゴマすりの上手い奴です。
残業時間が多いとそれだけ頑張っていると思われる風潮がいまだにあります。
長時間会社にいる奴が偉いと言う勘違い。
こんな勘違いがあるから、本当に仕事のできる人が出世しにくいのです。
副業禁止はサラリーマンを社畜にする
「会社の許可なく労働契約を結ぶことを禁止する」とか社内規定に書いてある会社はまだまだあります。
言い方を変えれば、収入源は1社からの給与しかないと言うことです。
収入源が無くなれば生活できなくなりますから、どうしてもしがみついてしまう。その結果、給与が少なくても我慢してしまう人が増えるのです。
同業他社への転職禁止だと、キャリアアップは難しい
「同業他社への転職は3年間禁止する」と書かれた誓約書にサインをしませんでしたか?
これがかなり大きな足かせになります。
今勤めている会社で経験を積んでも、その経験が「今」の会社でしか活かすことがでず、転職してキャリアアップ・給与アップが難しくなってしまいます。
3年も立てば、何もかも変ってしまいますよね。
副業禁止+同業他社への転職禁止+8時間労働。この3つがあるからサラリーマンは働いても楽にはならない
サラリーマンは様々なルールで行動を制限されていますから、給与を増やすことが難しいのです。
8時間労働だと副業を始めることが、時間的にきつくなります。
そもそも、副業を禁止されていては本業の収入に頼るしかありません。
転職で給与を増やそうにも、同業他社への転職が禁止となると探すのをためらってしまいますよね。
サラリーマンの収入を増やすには
サラリーマンの収入を増やす方法は3つあります。それは「出世」「副業」「転職」です。順番に説明していきます。
出世する
サラリーマンは稼げないといっても、就職する会社によっては稼げます。普通の会社でも一般社員よりは管理職のほうが、給料が多くなるのが普通です
なので、サラリーマンとして稼ぐための王道は、仕事を頑張って出世することです。
係長や課長ではそれほど収入が増えたとは感じられないかもしれません。
でも部長や常務、管理職ではなく役員にまで上り詰めれば、その給料は劇的(?)に増えるはずです。
転職する
就職する会社によってはサラリーマンでも稼ぐことができますが、逆に言えば給料が増えない会社でいくら頑張ってみても、結局稼げないということです。
それなら可能性を求めて転職するのも手です。
今はベンチャー企業がブームになっていることもあって、35歳以上で管理職経験者、さらにプレイヤーとしても働ける人は転職しやすくなっています。
その待遇はいきなり管理職、あるいは役員で、給料も高額になることが多いようです。
昔は転職というと嫌悪感を示す人がいましたが、最近ではある程度当たり前になってきました。
今の会社に将来性を感じないのなら、思い切って転職することも、収入を増やすために有効な手段だといえるでしょう。
副業をする
サラリーマンの収入を増やすために、副業はとても有効です。
副業というと、仕事が終わってからのアルバイトを想像する人が多いようですが、時給で計算されるアルバイトではほとんど収入は増えません。
サラリーマンもそうですが、結局時間を投資することで対価として給料をもらっているようなものだからです。
1日の時間は24時間しかありませんので、時間と引き換えに稼ぐ方法では限界があります。
ここでいう副業は、週末起業やネットビジネス、投資などです。
確実に稼げるとは言いませんが、空いた時間で気軽にできる副業は稼げる可能性が高い。それに今はインターネットがありますから、昔よりもより簡単に副業を始めることができます。
ただし、会社によっては社員の副業を禁止していることがありますので、就業規則は必ず確認しましょう。
もし禁止されている場合でも、相談すると認められるケースもあるようですから、あきらめる前に上司と話してみてもいいかもしれません。
最後に
サラリーマンは就職した会社によっては、いや、恐らくほとんどの会社では、働いても、働いても給料が増えないでしょう。
しかも、多くの人は給料が増えない理由になんとなく気が付いていながら、その現実を見ようとしません。
「頑張っているけど増えない」
本当に仕事ができなくて、独りよがりな頑張りを続けているのなら話は別ですが、そうでなければ、サラリーマンは稼げない構造が出来上がっていることを理解するべきです。
仕事を頑張っても給料が増えないのは、ある意味当たり前。経済が右肩上がりで成長し、頑張れば報われた時代はすでに終わっています。
ほとんどのサラリーマンは稼げないのですから、ほかの方法で稼ぐしかないのです。