物流業界は人手不足に襲われています。理由は、ネット通販による荷物の増加。そのため、求職者の方にとって最高の売り手市場になっているのも事実です。
この記事では物流業界の仕事や、未経験で転職するときに必要な経験や資格について書いています。物流業界への転職を考えた時、参考にしてもらえると嬉しいです。
物流業界の仕事
物流は、ある地点から別の地点へ「モノ」を運ぶことが仕事です。その方法は「陸運」「海運」「空運」の3つに分けることが出来ます。
陸運は「ヤマト運輸」や「佐川急便」、あるいは「日本通運」など、海運では「日本郵船」や「商船三井」、空運では「全日本空輸 」「日本航空」「スカイマーク」が有名です。
物流の仕事を直接部門と間接部門に分けて考えた場合、間接部門は他の企業と同じように経理や人事・総務などになります。
次に直接部門ですが、イメージしやすいのはトラックの運転手でしょうか。実際の仕事は「保管」「荷役」「流通加工」「包装」「輸送(配送)」「情報」の6つに分けることができ、それぞれがとても需要な役割を担っています。
求められる経験や資格
売り手市場の業界ではありますが、陸運・海運・空運、どれを目指すかによって求められるものが異なってきます。
陸運
宅配関連の仕事で求められるのは普通自動車免許が多く、学歴や経験は不問の求人がほとんどです。ただし、経理や総務と言った間接部門では即戦力が求められています。
その中でもセールスドライバーは求人の数も多いので、売り手市場の業界と言えるでしょう。
次の資格を保有していると、転職で有利になるかもしれません。
- 普通免許(普通自動車免許)
- 準中型免許(準中型自動車免許)
- 中型免許(中型自動車免許)
- 大型免許(大型自動車免許)
- フォークリフト免許
- 玉掛技能者
- 移動式クレーン運転士免許
- 小型移動式クレーン運転技能講習
- 運行管理者
- 安全管理者
- 衛生管理者
資格については求人票を参考にし、必要なものを取得するようにしてください。
海運
海運では基本的に「陸上総合職(事務系・技術系)」と「海上職」に分けて募集がかけられますが、中途採用の場合はさらに細かい職種に分けて即戦力を求める傾向があります。
実際に求人を調べると未経験可や学歴不問と言ったものを見つけることも出来ますが、ほぼすべての求人で英語力(TOEIC730点以上)を求められます。
陸上総合職の場合でも、法務・財務・経理といった専門性のある職種では、中途採用で即戦力が求められるケースも多いようです。
海上職でも中途採用の求人が出ることがあります。その場合は、海上勤務と陸上勤務を交互に繰り返すことになるはずです。
また、担当する仕事により求められる資格が異なることも特徴の一つですが、多くの場合三級海技士あるいは二級海技士(筆記)以上か、二級海技士以上が応募資格になっています。
その他の資格としては、次のものがあります。
- 無線従事者免許
- 小型船舶操縦士
- 水先人
- 船舶料理士
- 船舶衛生管理者
- 救命艇手
- 通関士
- 海事代理士
- 海事補佐人
また運転免許やフォークリフト、揚貨装置運転士、移動式クレーン運転士、玉掛技能者などもあると良いかもしれません。
資格については求人票を参考にし、必要なものを取得するようにしてください。
空運
学歴不問・未経験可の求人もありますが、ほとんどが四大卒以上でTOEIC(730点以上)かその他の語学力を求められます。
また、未経験可と書いてあってもその多くは業界経験を不問にしているだけで、職種は3年~5年以上の経験を求められます。
グランドハンドリングスタッフや国際航空貨物取扱スタッフであれば、空港内での業務になりますが学歴・経験不問の求人も出ています。
未経験で目指しやすいのは陸運
未経験者が運送業界へ転職するのなら、求人数の多い陸運が目指しやすくなります。
その中でも特に求人が多いのは、セールスドライバーです。
セールスドライバーの仕事
運送会社でセールスドライバー(個人や企業へトラックで配送する仕事)を行っている方の話を聞くと、仕事はかなり大変だそうです。
まず休憩ですが、1日のほとんどをトラックの中で過ごすため、仕事の合間を縫ってトラックの中で休憩することが多いようです。
また仕事が忙しい時はご飯を食べる時間しか取れず、休憩なしで働くことも珍しくないと聞きます。
土日や祭日はほとんど休めず、休日出勤も多いそうで、年間休日は80日から100日程度だと言われています。
盆暮れ正月はお歳暮などで忙しく、地域によっては果物などの出荷で忙しい時期もあります。
トラックで配送するだけだと思われがちですが、休憩も休日も少ないので決して楽な職業ではないと言えるでしょう。
ただ未経験可の求人が多いので、目指しやすい職種だと言えます。
セールスドライバー以外を目指すなら
セールスドライバー以外の仕事の多くは、実務経験が求められます。
ただし業界経験が必須なわけではなく、その仕事を経験したことがあるかどうかが大切。
例えば小売業の物流センターで働いた経験や、倉庫管理・購買の経験を求める求人もあるのです。
物流会社の業務は多岐にわたります。
セールスドライバーだけじゃなく、購買やバイヤー・MD、物流管理、物流企画、 倉庫管理・在庫管理などもあるのです。
今までの経験やスキルを棚卸して、「自身の経験を活かせる部署はないか」という視点で、求人を探すことも大切です。
海運・空運は未経験では難しい
海運・空運も求人は出ていますが、そのほとんどが業界経験と英語力(TOEIC730点以上)を求めてきます。
つまり海運・空運での勤務経験がなければ、中途採用は難しいのです。
もし未経験で目指すのなら、求められる資格の取得をまず目指してください。
そして並行して求人を探し、出たらすぐに申し込むことです。
前提として今の仕事は絶対にやめないこと。
先ほども書いたように、ほとんどの求人が業界経験を求めています。
なので仕事を辞めてから目指したのでは、最悪無職になってしまう可能性があるのです。
今の仕事を続けつつ、求められる資格を勉強し、並行して求人を探すこと。
それでも、採用されるかどうかは分かりません。
求人の探し方
求人はハローワークや転職サイト、転職エージェントを利用して探します。
海運や空運は求人の数が少なく、出たとしても特定の職種のみを求めることが多いので、転職を考えるのなら在職中にじっくりと腰を据えて取り掛かることが大切です。
常に求人情報を集め、目当ての求人が出たらすぐに申し込める体制を作っておきましょう。
陸運で配送関連の仕事を探すのであれば、今は求人が非常に多いのですぐに見つけることが出来るかもしれません。
それでも、勢いだけで退職してから仕事を探すと、思わぬ失敗をするかもしれませんから、出来れば、在職中に仕事を探すようにしてください。
最後に
会社に荷物を届けてくれる宅配業の方も、勤務時間が長く休みが少ないと嘆く方が結構います。また、個人宅への宅配は、ついでに通販の商品を勧めるよう指示されることもあり、まさにセールスを兼ねたドライバーだなと思ったことがあります。
決して楽な仕事ではありませんが、宅配であれば求人が多く出ているので転職しやすいとも言えますね。