やりたい仕事がない。どんな仕事がやりたいのか分からない
こう感じている人は本当の大勢います。なにしろ熱意をもって仕事に取り組んでいる方は全体の6%しかいないというのですから。
これは、日本経済新聞に掲載された記事「「熱意ある社員」6%のみ 日本132位、米ギャラップ調査」の一文。
世論調査や人材コンサルティングを手掛ける米ギャラップが世界各国の企業を対象に実施した従業員のエンゲージメント(仕事への熱意度)調査によると、日本は「熱意あふれる社員」の割合が6%しかない。
やりたい仕事に就いているのなら、熱意がない、なんてことにはならないはず。つまり、多くの日本人がやりたくない仕事をやっているともとれるのです。
この記事では、やりたい仕事を探すのがなぜ難しいのかを考え、書いています。興味のある方は読み進めてもらえると嬉しいです。
なぜ、仕事に熱意が持てないのか
仕事に熱意が持てなくなるのには理由があります。30代から40代の社員は中だるみやマンネリ化があると言いますが、根本的な理由は別の場所にあるはずです。
希望した職に就くことが出来ない
配属する部署は会社が決めます。これがすでに熱意を奪う原因になっているのです。
適性検査や自己啓発本を利用して、やりたいことを探したとしても、就職してそれが出来るかと言えば出来ないことの方が多い。「人とコミュニケーションをとるのが苦手だから」と経理を希望しても、営業に配属されることさえあります。
希望した部署に配属されるかどうかは、熱意に大きく関係しますよね。誰でもやりたい仕事を任せてもらえたら、その分やる気になるものです。その逆も然り。会社が人の配置を自由に動かしている限り、熱をもって仕事に取り組む人が増えるとは思えません。
社内ローテーションが当たり前
幸運にも希望した部署に配属されたとしても、いつかは別の部署に異動します。「経験を積ませる」との文句で行われる社内ローテーションです。
これは、将来の幹部候補として本当に経験を積ませる目的がある場合と、期待した結果が得られなかったので別の部署に異動させる場合とがあります。
いづれにしても、やりたいと思った職種に就いて、それを続けることが難しいのです。
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職務がめちゃくちゃ
中小企業の場合は、希望する職どころか自分の仕事が何なのかよくわからない状況に陥ることがあります。
営業が生産を管理し、最終仕上げから検査、出荷までを担当し、クレームが起きた場合の原因調査から対策の検討まで一手に担う。そんな状態が当たり前にあるのです。
適正に評価されない
多くの会社は給与テーブルが存在し、年齢や職級などで給与が決まっています。ただ、上の級に上がるには上司の推薦が必要であったり、自己設定した目標に対して達成度を求め、一定レベルに達しないと昇給出来ないなどの決まりがあることがほとんどです。
この場合、上司に気に入られているかどうかで昇級できるかどうかが決まってしまい、評価が適性にされないことがほとんど。結果を出しても適性に評価されなければ、熱意を保つのは難しいですよね。
なぜ、やりたい仕事を探すのは難しいのか
簡単に言うと「やらせてもらえない」からです。
社員の配属先は会社が決めます。配属された後の異動も会社が決めます。本人の意見を全く聞かないということはありませんが、人事の人が「異動は駒を配置するようなもの」と表現することがあるように、ほぼ希望に関係なく異動させられます。
なので「この仕事がやりたい!」と思っても出来ないことが多い。本当にやりたいのなら独立するしかありませんが、それも難しい。となると、今できる範囲でやりたい仕事探すしかなくなります。狭い範囲でやりたいことを見つけるのは難しいですよね。
仕事に熱意を持つには
仕事に熱意をもって働くには、やりたい仕事をやってもらうことが一番です。長時間労働や休日出勤を減らし、働きやすい環境を作ることも大切ですが、働きやすいだけで熱意が生まれるとは思えません。
熱意をもって仕事をするには、会社のあり方自体を変えていく必要があります。
メンバーシップからジョブ型へ
日本の会社はメンバーシップ型だと言われます。メンバーシップ型は「人」に「仕事」をあてがいます。スキルも経験もない新卒を一括採用し、それから配属先を決めることを見ても、まず「人」があり、それから「仕事」を決めていますよね。そして会社のメンバーとなり、仕事が出来なくても部署を転々とすることで解雇されることなく働き続けることが出来ます。
文字通り会社のメンバーとなるのです。
ジョブ型は逆で仕事に人をあてがいます。つまり、まず「仕事」があり、その仕事が出来る「人」を採用します。これは、スキルのない新卒者には厳しい制度ですが、仕事の範囲や責任、給与が明確になります。そして、定期的に部署を異動することもありません。
つまり、やりたい仕事をやることが出来る制度とも言えます。
どちらも一長一短がありますが、熱意をもって仕事をするには、やりたい仕事が続けられる環境が必要なはずです。
透明性のある評価制度
また、上司の好き嫌いで評価内容が変わることも問題です。会社のメンバーとして働くことで、どうしても周りとの協調性が重視され、仕事で結果を出すだけでは評価されません。上司にとってかわいい部下、扱いやすい部下が評価されやすいのです。
熱意を持ってもらうには、頑張った人がきちんと評価される、透明性のある評価制度が必要です。
転職・副業を当たり前に
新卒一括採用というレールに乗り損ねるだけで、就職しずらくなるのもメンバーシップ型の特徴です。言い方を変えると、社会に出るための入口が1個しかないのと同じなのです。
最近では、慢性的な人手不足もあり既卒や第二新卒を求める求人も増えてきましたし、転職も徐々に当たり前になってきました。
今の会社に不満があれば、自由に仕事を変えることが出来る。働きながら副業として別の仕事ができることも、熱意を保つには大切なことのはずです。
やりたい仕事を探すには
やりたい仕事を探すのは難しいです。たとえ見つかったとしてもそれを続けることが難しい。社内ローテーションがある限り、いつかは別の仕事に回されてしまうからです。
それでも、やりたい仕事を探したいのなら、目的から考えることが大切です。
目的(ゴール)から考える
仕事への熱意が続かない理由の一つに、目的がないことも上げられます。つまり、「人と接するのが好きだから接客業がやりたい」と考え、接客業に就職することが目的になっている、と言う意味です。
接客業に就くことが目的では、就職した時点で達成してしまいます。仕事は就職してからの方が長いのに、就職して目的達成ではあまりにもあっけなさすぎますよね。
やりたい仕事を探すときは、将来なりたい自分をイメージし目的を持つことが大切です。そして、その目的を達成するためには何をすればいいのかを考え、少しづつ今出来ることに落とし込んで行きます。そして行動に移してください。
将来なりたい自分になるために、今出来ることを頑張っているのなら、それ自体がやりたいことになりますし、やる気も出るはずです。
好きだからやりたいでも良いのですが、今だけを見ていると長続きしません。目的を持つことが大切です。
やりたい仕事がない人もいる
もしやりたい仕事が見つからなくても、悩む必要はありません。
なぜなら多くの人は、探してもやりたい仕事が見つからないからです。
仕事を楽しんでいる人には2種類のタイプがある、と言われています。
- 何をするかに重点を置いている
- どんな人になりたいか、どんな状態でいたいか、に重点を置いている
1は仕事の内容に重点をおいている、「やりたいことがはっきりしている」タイプの人。
そして2は、尊敬する人に囲まれている、役に立っていることが実感できるなど、「自分が置かれている環境」が重要なポイントで、「やりたいこと」がないタイプの人です。
つまり2に該当する人は、本当にやりたい仕事を見つける必要がありません。
というか、いくら考えても「何がやりたいのか分からない」ことがほとんどです。
2の場合はやりたい仕事を探すよりも、自分が置かれている環境に目を向けてください。
- 尊敬できる上司がいる
- 尊敬できる同僚がいる
- 自分の成長を実感できる
- 社会の役に立っていると実感できる
- 会社の役に立っていると実感できる
上記のような環境になれば、自然と仕事が楽しくなり、熱意を持って取り組むことができます。
最後に
やりたい仕事がないのは、ある意味当たり前のことです。
その理由は2つ。
1つはやりたいと思っても、やらせてもらえない環境があること。
もう1つは、そもそも「やりたいことがない」人が多いからです。
もしやりたい仕事がないと悩んでいるのなら、自分がどんな時に仕事が楽しいと感じるのかを、考えてみてください。
もしかするとやりたい仕事が見つからないのは、自分が置かれている環境を重視するタイプからかもしれませんよ。