誰でも自分に対する評価は甘くなりがちです。
米国で行われたウィリアム=ギロビッチによる心理学実験では、自己評価が他者評価に比べ2割増しになる。と言う結果が鮮明に出たと言われています。
この記事を書いているぼく自身も「おれはもっと仕事のできるやつだ!」と、高い自己評価を信じて退職し、ものすごく苦労しました。
自己評価と言うのはどうしても甘くなるもの。
- もっと評価が高いはずだ
- 自分はこの程度で終わるやつじゃない
- あいつよりおれの方が出来るはずだ
- 上司は俺の実力を理解していない
と言った高い自己評価から他者評価に不満を持って、勢いだけで退職するのは絶対にやめるべき。かなりの確率で後悔しますよ。
自己評価は甘くなりやすい
どうして自己評価は甘くなってしまうのか。その理由はぼくが勢いだけで退職した理由と同じ「おれはもっと出来るやつだ!」と言う思いがあるからです。
周りにこんなことをいう人はいませんか
- 本気で取り組めばもっと出来る
- ちゃんと勉強すればもっと成績が良くなる
これらの言葉の裏には「本当の自分はこんなものではない」と言う思いがあります。つまり「将来の自分に対する期待値」が自己評価の中に入っているのです。
将来の期待値が自己評価の中に入っていては、今の自分を適切に評価することなどできませんよね。
他者評価に対する「正しく評価してもらえない」「自分はこの程度で終わるやつじゃない」といった気持ちもおなじ。将来の自分に対する期待値が自己評価の中に入り込み、他者から見た今の自分を認められないから起こるのです。
評価が甘いことで起こる現象
自己評価が甘いまま転職活動を始めると、身の丈に合わない求人に申し込んでしまい、いつまでたっても就職できないと言った現象が起こります。
具体的には「役職」や「年収」、「企業規模」や「知名度」で勘違いしてしまうのです。
例えば前職よりはるかに高い年収を希望したり、経験のない役職に応募したりする方もいます。
上場企業の役職だったという理由で、上場企業の同じ役職にしか応募しない方もいるのです。
その結果転職先が見つからず、スーパーのパートとして働く方も少なくありません。
転職であなたを評価するのは他者
今の職場でも転職でも同じですが、あなたを評価するのは上司や人事担当者、つまり他者です。
確かに評価する人によって結果は変わりますが、それほど大きく変わることはありません。今の会社で評価が低ければ、他の会社に行っても評価は低くなる可能性が高いのです。
そのため未来の自分に期待した甘い自己評価をもとに転職を考えても、希望通りの結果生えられないでしょう
- おれはこんなもんじゃない
- 正しく評価してもらえない
これは、他者から受けた評価に対する反発でしかありません。
どうして評価が自分で思うよりも低いのか、その理由を考えることが大切です。
他者評価を確認しよう
甘い自己評価をただすには、他者の評価を確認しましょう。
その方法は3つ。
- 周囲の人に自分のことを聞く
- 転職サイトに登録する
- キャリアカウンセリングを受ける
周囲の人に自分の印象を聞く
他者の評価を確認するには、上司や同僚、家族や友人に「自分がどう見えているのか」を聞くのが一番早い。
ただ普通に「俺ってどういうやつだ?」と聞いても、適切な答えが返ってくるとは限りません。
なので「自分を見つめ直すために、周りからどう見えているのかを知りたい」、そう伝えることが大切です。
そして何を言われても真摯に受け止め、決して反論しないことと、「あるべき姿」も一緒に聞くことも忘れないように。
どう思われているかを聞くだけでは、「自分はそう思われていたのか…」と落ち込むだけで終わる可能性があります。
「こうしてくれると嬉しい」「こういう対応が望ましい」と言った、あるべき姿を聞いておけば、今後どうするべきかの道しるべとなるはずです。
転職サイトに登録する
転職サイトを利用すると、職歴や経験、実績の市場価値が分かります。
転職サイトに登録すると、あなたの経歴に興味を持った企業からスカウトメールが届きます。このスカウトメールが多ければ価値が高い、少なければ低いと考えられるのです。
ポイントは転職サイトに職務経歴をきちんと入力すること。
ここを偽ると正しい評価を得ることができません。具体的な数字を交えて記入してください。
送られてくるスカウトメールの中身も大切。オープンオファーのように、大勢に送られてくるメールをみて「価値がある」と思わないこと。
企業から直接送られてくるプライベートオファーの量が少ないなら、市場価値は低いと考えるべきでしょう。
キャリアカウンセリングを受ける
キャリアについて他者の意見を聞くのなら、キャリアカウンセリングを受けましょう。
今後の働き方や職場での人間関係、転職についてなど、仕事に関することならなんでも相談できます。
会社が正しく評価してくれないのはなぜか、という相談をすることもできるです。
相談は有料のケースがほとんど。
ですが、自分を見つめ直すきっかけになりますので、評価で悩んでいるときは利用してみてください。
キャリアカウンセリングを転職エージェントで行わない
転職エージェントでも、登録すればキャリアについて相談することができます。
が、転職エージェントは「転職」を目的としたキャリア相談が主体。
「評価のずれ」の悩みだけで相談しては、転職エージェントにも迷惑がかかります。
転職を考えているのなら問題ありませんが、転職する気がなければ利用しないようにしましょう。
最後に
ぼくは「おれはもっとできる!」と仕事を辞め、転職活動を始めたことで市場価値の無さを痛感し、非常に苦労しました。
何度か職場を転々とし、資格を取得したりしながら最終的には良い結果となりましたが、それはもう本当に大変でした。
なので、甘い自己評価でしかも勢いだけで退職するのはお勧めできません。
自己評価と他者評価は乖離していることがほとんどですし、多くの場合他者の評価が正しいからです。
まずは自分の転職市場での価値を確認することから始めてください。その結果次第で、本当に転職するのか、今の会社で頑張るのかを決めればいいのですから。