国家公務員や地方公務員は原則として30歳までの所が多く、30代になるとかなり道が限定されます。
とはいえ30代でも公務員へ転職することは可能です。
自治体によっては30歳以上でも公務員試験を受けられますし、地方自治体の社会人経験者採用試験を受験する方法もあります。
また国家公務員にも社会人経験者採用枠があります。
この記事では30代で公務員へ転職する方法を紹介しています。
30代で公務員を目指している方は、ぜひ参考にしてください。
30代で公務員になる方法
30代で公務員になるには、次の4つの方法があります。
- 30代でも応募できる公務員試験に応募
- 地方自治体の社会人経験者採用試験を受験
- 国家公務員の経験者採用を受験
- 国家公務員専門職を目指す
ひとつずつ説明していきます。
30代でも応募できる公務員試験を受験
30代でも応募できる公務員試験に合格すれば、公務員になることができます。
ただし国家公務員は年齢上限が30歳に統一されているため、基本的に地方公務員を受けるしかありません。
また自治体によって年齢上限が違うため、事前に調べる必要があります。
参考リンク「公務員試験の年齢制限一覧表」
例えば同じ長野県でも行政Aは35歳まで、行政Bは25歳までと違いがあります。
この方法で公務員を目指す場合は、年齢上限の高い自治体を狙うべきかもしれません。
地方自治体の社会人経験者採用試験を受験
民間企業から公務員への転職は、地方自治体の社会人経験者採用試験を受験することが一般的です。
社会人経験者採用試験を受験するには、次の2つの要件を満たす必要があります。
- 年齢要件の下限を満たす
- 勤務年数の要件を満たす
自治体により異なるため、詳細は次のリンクを確認してください
参考リンク「社会人経験者採用(地方)」
リンク先を見ていただくと分かるように、全ての自治体が社会人経験者採用試験を行っているわけではありません。
また大卒一般枠よりも倍率が高いことも特徴です。
合格を目指すのなら、募集を行っている自治体をいくつか併願する必要があるでしょう。
国家公務員の経験者採用を受験
30代で公務員を目指す場合、国家公務員の経験者採用を受験する方法もあります。
受けられる試験は次の2種類です。
- 40歳未満を対象とした高卒レベルの「社会人試験」
- 職務経験年数を要件とする大卒レベルの「経験者採用試験」
社会人試験は平成27年に事務系が廃止され、現在は技術系だけになっています。
参考リンク「経験者採用(国家一般職)」
経験者採用は係長級、もしくはそれ以上になるため、相当高いレベルで知識・能力・経験が求められます。
参考リンク「経験者採用(国家公務員)」
国家公務員専門職を目指す
国家公務員では専門職公務員にも社会人枠があります。
専門職と聞くと、特別なスキルや経験が必要になりそうですが、実は特別な技能を必要としないことも多いのです。
たとえば法務省専門職員の法務教官に、社会人枠が設定されています。
試験内容をみると「心理学、教育学、福祉及び社会学に関する基礎」が求められるため、専門的な知識が必要だと思うかもしれません。
ですが受験資格は年齢と性別を満たすだけで得ることができます。
また専攻外の方が合格した例も多数あることから、専門分野でなくても可能性があるといえるでしょう。
参考リンク「法務省専門職員」
コラム:高卒でも公務員試験を受けられる
高卒で公務員を目指す場合は、地方自治体の社会人経験者採用試験を受験します。
なぜなら社会人経験者採用試験では、年齢と勤務年数を満たすだけで受験資格が得られるからです。
ただし、試験内容は高卒レベル~大卒レベルまで、幅広い難易度の問題が出題されます。
そのため大卒程度の学力がないと、合格が難しいのが現状です。
高卒で公務員を目指すのであれば、対策をきちんと取るようにしましょう。
公務員に転職して後悔する人は少ない
民間の企業から公務員に転職して後悔する理由は、想像と違っているからです。
例えば…
- 給与が下がった
- 無駄な作業が沢山ある
- 思っていたほど暇じゃない
- 意外とサービス残業が多い
- 数字(結果)で評価されない
…など、民間企業と異なる点が多いものです。
ただし公務員にはノルマがないため、精神面で余裕が持てます。
なので、公務員に転職して後悔したという方は少数派ですね。
30代地方公務員の給与は400万円~800万円
30代地方公務員の給与は、概ね400万円~800万円だと言われ、平均は450万円程度になります。
(自治体によって給与額は異なります。)
金額だけ見ると一流企業に比べれば安いですが、中小企業と比べれば若干高くなります。
ただし公務員は家族手当、住宅手当などの手当てが非常に充実していること。
さらに福利厚生がきちんとしているため、一般企業より好待遇になりやすい、という特徴があります。
また年功序列で基本給が上がっていくため、長く勤めるほど給与が増えていきます。
そのため公務員に転職すると、一般企業よりも生活に安心感が持てます。
公務員に転職すると給与が下がる
民間企業に勤める30代男性の平均給与は、480万円程度だと言われています。
地方公務員の平均給与450万絵に比べると、一般企業の方が30万円ほど高いのが現状です。
そのため、公務員に転職したことで給与が下がる方も当然います。
もし公務員への転職を考えるのであれば、希望する自治体の給与がいくらなのか、きちんと調べることをおすすめします。
公務員試験を突破するには
公務員試験に学歴は関係ないと言われますが、実際には学生時代にどの程度勉強したのかが重要な要素になります。
その理由は次の2つ
- 教養科目に高校時代に学習する科目が出題される
- 勉強のやり方を知っているかどうかで効率が変わってくる
教養科目では英語や政治・経済など、高校時代に学習する科目が出題されます。
つまり学生時代にどれだけ学習したかによって、勉強の負担が変わってくるでしょう。
また学生時代に勉強をしてきた方は、勉強のやり方を理解しているものです。
専門科目のある公務員試験を受ける場合に、その差が顕著に表れるといいます。
社会人の勉強方法
転職で公務員を目指す場合、独学でコツコツ頑張るか、夜間の予備校に通うかを選択する必要があります。
個人的には勉強する環境を整えるためにも、予備校に通うことをおすすめします。
独学か、予備校に通うか
公務員試験に合格するために必要な勉強時間は、1000時間から1500時間だといわれています。
1日2時間勉強に充てたとしても、最短で500日、長ければ750日かかるそうです。
独学で勉強をする場合は、毎日コツコツと継続して勉強をする必要があります。
それも1年半~2年間毎日続けないといけません。
はっきり言ってここまで継続できる方はそう多くないでしょう。
そのため公務員試験の合格を目指すのなら、予備校に通うことをオススメします。
理由は簡単。
予備校に通うことで、勉強せざるを得ない状況が作れるからです。
また人に教えてもらうと、知識として吸収しやすくなることもオススメする理由です。
ひとりでもコツコツと続けられるのなら独学でも構いませんが、かなりの精神力が必要になります。
隙間時間を利用する
働きながら公務員試験合格を目指す場合は、勉強時間をどうやって捻出するかが意外と大きな課題になります。
普段働きながら1日2時間~3時間の勉強時間を確保することは、思っているより難しいものです。
なので通期時間や休憩時間、お昼休みなどの隙間時間を利用して勉強します。
電車通勤の30分、10分の休憩時間、お昼を食べた後の30分。
細かい時間を積み重ねていくことで、かなりの勉強時間を確保できるはずです。
仕事を辞める場合はリスクをよく考える
仕事を辞めて公務員試験の勉強に専念することもできます。
この場合は退職するリスクをよく考えた上で、行動に移してください。
退職するリスクは次の2つ
- 収入がゼロになる
- 失敗した場合の再出発が難しくなる
30代では仕事を辞めるリスクの方が高くなります。
本当に仕事を辞めないと勉強できないのか、辞める前によく考えてみてください。
公務員試験社会人枠の難易度
一般的に公務員試験の難易度は中程度だと言われています。
ただし公務員は人気が高いため、採用されるための倍率が高くなりがちです。
人気の地方や職種では10倍を超えることもあり、平均で見ても5~6倍ほどの倍率になります。
ただし筆記試験を通過すれば残りは面接のみになるため、倍率も1~2倍と一気に下がります。
つまり試験の難易度よりも、応募者が多いことによる競争率の高さが問題になるため、まずは筆記試験の対策をきちんと取ることが大切です。
公務員試験は年齢で不利になるのか
公務員試験は年齢で不利になる。
という話を聞きますが、実際には有利にも不利にもなりません。
ただし20代と30代で経験や能力が全く同じ場合は、年齢の若い20代が有利になります。
これは20代の方が10年程度、長くは働いてもらえるからです。
ですが、30代の方が何かしらの専門性を持っている場合には、20代よりも30代の方が有利になります。
つまりアピールできる社会人経験を持っているのであれば、年齢で不利になることはないのです。
公務員試験年齢制限一覧
公務員試験の年齢制限を一覧で見たい方は、次のサイトが非常に分かりやすくまとめています。
最後に
30代で公務員に転職する方法を紹介しました。
他にも公務員になる方法は色々ありますが、代表的な方法は記事中で紹介した次の4つになります。
- 30代でも応募できる公務員試験に応募
- 地方自治体の社会人経験者採用試験を受験
- 国家公務員の経験者採用を受験
- 国家公務員専門職を目指す
公務員は民間企業に比べて安定していることが大きなメリットです。
30代だからと諦めるのではなく、まずは必要な情報を集め、チャレンジしてみてはいかがでしょうか。