高卒と大卒の生涯賃の差額はどのくらいあるのでしょうか。
この記事では厚生労働省の資料を基に、高卒と大卒の生涯賃金の差額を紹介。
また平成13年と平成29年を比較し、生涯賃金がどのように変化しているのかも紹介しています。
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生涯賃金とは
生涯賃金とは、労働者が新卒から定年までの間に取得する、賃金の総額を言います。
賃金は給与や残業代、ボーナスや退職金など、労働の対価として受け取るもののこと。
なので、給与などを受け取らない自営業や個人事業主には、生涯賃金と言う考え方がありません。
つまり生涯賃金とは、会社員として働く方が新卒から定年までの間に、会社から労働の対価として支払われる賃金の総額、になります。
生涯賃金と学歴の関係
生涯賃金と学歴には相関関係があります。
なぜなら高卒と大卒の初任給を比べると、10%程度の差があるからです。
初任給に差があれば、当然給与をベースに支給されるボーナスの金額も異なってきます。
さらに学歴応じて、昇進や昇給の金額にも差が出るのです。
学歴による生涯賃金の差は、厚生労働省が発表している「平成29年賃金構造基本統計調査」を見れば、一目瞭然。
実査に平成29年賃金構造基本統計調査をもとに、学歴・年齢別の年収をグラフにしました。(ボーナス込み)
男性の平均年収では、20歳~24歳の間は勤務年数の差から、高卒の年収が比較的高くなっています。
ですが年齢を重ねるにつれて大卒が逆転していき、55歳を超えると高卒と大卒の間には、20%近い年収の差ができてしまうのです。
女性の場合は出産などがあるので一概には言えませんが、55歳を超えると高卒と大卒の間には、50%近い年収の差ができています。
男性の年代別平均年収・元データ(単位:千円)
年収平均 男 | 大学・大学院卒 | 高専・短大卒 | 高校卒 |
20~24 | 3,022 | 2,901 | 3,183 |
25~29 | 4,191 | 3,839 | 3,858 |
30~34 | 5,310 | 4,399 | 4,481 |
35~39 | 6,330 | 5,218 | 5,071 |
40~44 | 7,442 | 5,701 | 5,822 |
45~49 | 8,771 | 6,835 | 6,541 |
50~54 | 9,622 | 7,894 | 7,346 |
55~59 | 9,194 | 7,944 | 7,430 |
女性の年代別平均年収・元データ(単位:千円)
年収平均 女 | 大学・大学院卒 | 高専・短大卒 | 高校卒 |
20~24 | 2,961 | 2,760 | 2,828 |
25~29 | 3,886 | 3,386 | 3,219 |
30~34 | 4,481 | 3,754 | 3,401 |
35~39 | 5,120 | 4,244 | 3,854 |
40~44 | 5,990 | 4,885 | 4,439 |
45~49 | 7,226 | 5,648 | 4,873 |
50~54 | 8,231 | 6,152 | 5,350 |
55~59 | 8,244 | 6,105 | 5,283 |
では次に「平成29年賃金構造基本統計調査」を元に、学歴別生涯賃金の違いをグラフにします。
退職金は平成29年のデータがなかったため含めていません。
グラフを比較すると、高卒と大卒の生涯賃金に4,000万円以上の開きがあることが分かります。
この結果から、学歴と生涯賃金には、明らかな相関関係があることが分かります。
生涯賃金の元データ(単位:千円)
生涯賃金 | 大学・大学院卒 | 高専・短大卒 | 高校卒 |
男性 | 269,876 | 229,729 | 228,605 |
女性 | 231,353 | 189,085 | 174,387 |
大卒・高校の生涯賃金の推移
参考までに、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」を元に、平成13年の学歴・性別別生涯賃金と、平成29年の学歴・性別別生涯賃金を比較しました。
なお、退職金は含んでいません。
グラフを見ていただくと分かるように、生涯賃金は平成13年と比べて大幅に下がっています。
金額で言うと概ね2,000万円近く下がっているのです。
(退職金を含めると3,000万円近く下がっていると言われています。)
今後生涯賃金が増える可能性
今後生涯賃金が増えるかというと、恐らくほとんど増えないでしょう。
なぜなら企業の利益に直接結びつく、個人の消費が増えていないからです。
企業の利益が増えなければ、従業員の給与は増えません。
従業員の給与が増えなければ、個人の消費も増えません。
しかも利益の出ている企業はリーマンショックの教訓からか、内部留保として貯めています。
つまり景気が若干回復していると言っても、従業員に還元されていないのです。
また漠然とした老後への不安から、給与を貯蓄へ回す方が増えています。
その結果として個人消費が伸びていない、とも言われています。
実際に内閣府経済社会総合研究所の資料を見ても、個人の消費が緩やかにしか伸びていないことを指摘しています。
なので、今後生涯賃金が大幅に増えるかというと、恐らくほとんど増えないと考えられるのです。
副業が有力な選択肢になる
生涯賃金が増えないということは、給与も増えにくいということ。
そのため、収入を増やすには本業以外の仕事をすることが、重要なポイントになってきます。
実際にサラリーマンとして働きながら副業を行っている方は多く、収入を底上げする要素になっているようです。
また日本政府も副業を容認する方向で動いていますよね。
参考:厚生労働省|副業・兼業
これは、生涯賃金が増える可能性は低いから、複数の仕事をして稼いでください、と、政府が言っているようなものです。
なので今後は、収入を増やすために複数の仕事で稼ぐ、という視点が大切になります。
最後に
高卒と大卒の生涯賃金の差と、平成13年と平成29年の生涯賃金の額を紹介しました。
「生涯賃金に学歴は関係ない」という話もありますが、データを見る限りでは学歴と生涯賃金には相関関係があります。
なので、より多くの生涯賃金を受け取りたいのなら、できるだけ良い大学へ進学することが大切です。