
退職届に理由を書くべきなのか。
それとも、一身上の都合でいいのか。
書いたことがないと、悩みますよね。
結論を先に言うと、退職届に具体的な理由を書くのは、会社都合で退職した場合だけです。
そして、自己都合で退職する場合は「一身上の都合」だけで問題ありません。
なぜか。
端的に説明すると。
会社都合の場合は、あなたの都合に関係なく辞めるわけですよね。
なので、なぜ退職するのかを明確にする必要があります。
言い方を変えると、証拠を残す(?)ようなものです。
だから、会社都合の場合は退職理由を具体的に書きます
自己都合の場合は、あなたの都合で退職するわけです。
なので、具体的な理由を書く必要はなく、一身上の都合でいいんです。
仕事がいやで辞めようと、上司が嫌いで辞めようと、会社には関係ありませんから。
むしろ具体的な理由を書くともめます。
ということで、一身上の都合の意味と、退職届に具体的な理由を書くケースを、もっと具体的に説明します。
退職理由に「一身上の都合」が使われる理由
退職理由に一身上の都合が使われる理由。
それは、具体的な理由を書く必要がないからです。
まず一身上の都合は、個人的な都合という意味です。
ではなぜ、退職理由に具体的なことを書かず、一身上の都合を使うのでしょうか?
答えは2つあります。
まず労働法では、退職理由を伝える義務がないとされているから。
つまり、個人的な都合で辞めますで、十分なんです。
もう1つは、民法627条(期間の定めのない雇用の解約の申入れについて)ですね。
この法律でも、労働契約を解除する理由を説明しろ! とはなっていません。
なので、退職理由を伝える必要がないんです。
つまり、具体的な理由を伝える必要がないから、一身上の都合としている。
というわけです。
特に自己都合で退職する場合は、「一身上の都合」と書くのが一般的です。
個人的な都合に当てはまる退職理由
一身上の理由を使うべき「個人的な都合(自己都合)」に、当てはまる退職理由には、次のようなものがあります。
- 結婚(寿退社)・出産・育児
- 家族の介護
- 転職
- 引っ越し
- 労働時間外に原因がある病気やケガ
- 資格取得の勉強
- 理由はないけど辞めたい
つまり「会社とは関係のない個人的な理由(自己都合)」で退職するのなら、全て「一身上の都合」となります。
理由を書きたい場合
自己都合でも退職理由を書きたいなら、次の例文の「一身上の都合により」を退職理由に書き換えます。
退職届の場合
一身上の都合により、△△年▲▲月▲▲日をもって退職いたします。
退職願の場合
一身上の都合により、△△年▲▲月▲▲日をもって退職したく、お願い申し上げます。
これを具体的な理由に書き換えると…
結婚の場合⇒結婚により、△△年▲▲月▲▲日をもって退職いたします。
育児の場合⇒育児に専念するため、△△年▲▲月▲▲日をもって退職いたします。
病気の場合⇒治療に専念するため、△△年▲▲月▲▲日をもって退職いたします。
転職の場合⇒転職に伴い、△△年▲▲月▲▲日をもって退職いたします。
…となります。
どうしても退職理由を書きたいのなら、上の例文を参考にしてください。
退職届・退職願の書き方はこちら「退職届・退職願の書き方」
退職届に具体的な理由を書くケース
退職届に具体的な退職理由を書くケースは、会社都合なのに退職届の提出を求められたときです。
会社都合の退職とは…
- 会社の倒産
- 事業所の廃止
- 解雇(違反・違法行為による懲戒解雇は自己都合退職)
- 会社側退職の勧奨を受けた場合(退職勧奨)
…が、考えられます。
この場合は会社都合による退職になるため、本来退職届や退職願を提出する必要はありません。
ですが会社によっては、「手続き上必要だから」などと理由を付けて、退職届の提出を求めてくることがあります。
もし、求めに応じて退職届を提出する場合は、絶対に「一身上の都合」とは書かないこと。
必ず退職に至った具体的な退職理由を、書くようにしてください。
書き方は「会社が倒産したため~退職いたします」、「退職勧奨により~退職いたします」となります。
もう一度言いますが、一身上の都合で退職しますとは、絶対に書いてはいけません。
もし書いてしまうと、個人的な都合で退職したことになります。
なので、会社都合で退職するときは、具体的な理由を書くようにしてください。
会社都合の退職では退職願を出さない
※重要項目なので必ず読んでください
会社都合だと考えられる場合は「退職願い」を出さないでください。
退職願は「退職してもいいですか?」と会社に訪ねる書類です。
つまり退職願を出すと、会社合意した退職だとみなされてしまいます。
これ、後々問題になるんですよ。
特に会社に問題があって辞めた場合は、あなたが不利になる可能性があります。
セクハラ、パワハラが理由の場合、辞めざるを得ないから退職しますよね。
その会社に居られないから退職するはずです。
なのに退職願を出すと、やめることをお互いに同意したことになります。
これだと、セクハラやパワハラが関係なくなってしまうんです。
なので、会社都合で辞めるときは、退職願を出してはいけません。
会社都合の場合は理由を具体的に書く
だから!
次の会社都合に当たると考えられる退職理由の場合は、具体的に書くべきなんです。
- パワハラやセクハラ、いじめが原因の退職
- 突然仕事を外された
- 理由なく賃金が大幅に引き下げられた
- 契約更新を拒否(雇止め)
辞めたくて辞めるわけじゃない。
会社が何もしてくれないから、仕方がなく辞めるんだ。
ということを文章にして、残しておくわけです。
具体的な…とは、できるだけ詳しく内容を書く、ということです。
具体的な退職理由を書くともめる
会社都合に当たる退職理由を退職届に記入すると、恐らく会社ともめます。
例えばこんな理由の退職届を書いたとします。
上司によるパワハラが〇年〇月〇日頃より始まりました。
毎日のようにみんなの前で怒鳴られ、ときにはみんなから見える壁際に3時間近く立たされたこともあります。
あまりの辛さに人事部へ訴えましたが、何も対応してもらえませんでした。
それどころか上司からのパワハラがひどくなったのです。
今日まで約1年パワハラに耐えてきましたが、これ以上上司のパワハラに耐えることができないため、〇年〇月〇日を持って退職いたします。
さて、この理由で会社が納得すると思いますか?
恐らく「書き直せ」か「自己都合と書け」と言われるでしょう。
なので、詳細な理由を書いた退職届を提出する場合は、事前に労働基準監督署か弁護士に相談されることをおすすめします。
おすすめ記事:仕事を辞めたい人必見!労働問題の相談窓口一覧
ハローワークで会社都合にしてくれることもある
ぼくは社内の人間関係から切り離され、仕事を一切やらせてもらえなくなったことが原因で、仕事を辞めたことがあります。
その際、退職届に「一身上の都合」と書いて、社長に提出しました。
当然「自己都合による退職」になったのですが、ハローワークで事情を説明したら「会社都合」に変更してくれたのです。
もしパワハラやセクハラ・いじめなど、会社都合だと思われる理由で退職した場合は、ハローワークで相談してください。
できれば事前に仕事を辞めたい人必見!労働問題の相談窓口一覧で紹介している窓口に、相談されることをおすすめします。
最後に
退職届に具体的な退職理由を書くケースについて紹介しました。
具体的な退職理由を書くケースは、会社都合で退職するのに退職届を提出しなければいけない時。
つまり「どういった理由で退職したのか、証拠を残したいケース」です。
自己都合退職の場合は、具体的な退職理由を書く必要はありません。
これ、すごく大切なことなので覚えておいてくださいね。
会社都合か自己都合かで、失業給付金がいつからもらえるかとか、かなり変わってきますから。
もし、どうすればいいか悩むときは、プロに相談してください。
例えばハローワークや弁護士。
労働基準監督署、とかですね。
ひとりで悩むより、プロに相談したほうがすっきりしますよ。
この記事も参考にしてくださいね。
➣仕事を辞めたい人必見!労働問題の相談窓口一覧