在庫管理は入庫と出庫の流れを整理し、従業員全員が理解・徹底していないとできません。
と、新しい勤め先に通いだしてから、しみじみ感じています。
なぜなら新しい勤め先では、材料の手配や入荷時の検品方法、納品書の扱いが統一されていないからです。
そのため、在庫置き場を指定しても、どうしても「誤差」が生じてしまいます。
つまり在庫管理をきちんと行いたいのなら、在庫の流れをきれいに整理しないといけないのです。
発注業務が定型化されていないとミスが発生する
会社に材料や商品の在庫を持つには、まず発注しないといけません。
発注しなければ材料や商品は入荷しませんから、当たり前の話です。
言い方を変えれば、在庫管理は発注の段階から始まっていると、言えます。
ぼくが今まで経験した会社で、一番ひどかったケースは、発注依頼を口頭、あるいはメモ書きで済ませていることです。
口頭で発注を依頼すると、どこかで発注モレが発生します。
そして決まって、「言った」「聞いてない」という不毛な言い争いが起こるものです。
また、メモ書きで依頼する場合も、メモの紛失や書き忘れなどが起こりやすくなります。
つまり発注業務は定型化しないとミスが発生し、結果として在庫数がずれる原因になります。
発注業務を定型化するには
理想的な流れとしては、「発注依頼書」のような決まったフォームを作成し、統一された品名・品番で手配すること。
書類という形をとり、依頼者が押印するようにすれば、そこに責任が生じます。
責任が生じれば依頼ミスや発注モレなどは、かなり防げるのです。
発注でミスが発生すると、在庫に大きな影響を与えます。
いつ、何を、いくつ発注し、納期はいつなのか。
誰が見ても一目でわかるように管理することが必要です。
納品業務をおろそかにすると在庫がずれる
納品時の検品を、適当に行っている会社は意外と多いもの。
入荷した品物の数を数えずに受領印を押したり、入荷時の検査を行わずに在庫として置いてしまったり。
身に覚えのある方も、多いのではないでしょうか。
納品業務は、発注した品物が間違いなく入荷しているかを確認するためのもの。
検品や検査を行わずに在庫にしてしまうのは、「不良品でも数量不足でも、なんでも受け入れます」と公言していることと同じです。
不良品や数量不足で受け入れていれば、当然在庫が狂いますよね。
納品業務をきちんと行うには
納品業務をきちんと行うには、検品や検査を行う担当者を決めることです。
もちろん検品・検査方法はマニュアルとして定型業務化します。
また、納品物と納品書の置き場所を1か所に決め、あちらこちらで受け取らないようにすることも大切。
なぜなら受け取る場所が複数あると、対応する人も複数になってしまうからです。
納品場所は1か所に固定し、検品・検査の担当者を決める。
これだけで、納品業務の質が大きく変わるはずです。
在庫置き場を決めないと無駄な在庫ができる
入荷した後の在庫は、置くべき場所を決めておかないと管理できません。
なぜなら置き場の決まっていない在庫は、管理する人の気分でいろいろな場所に置かれてしまうからです。
例えば…
- いつもおいている場所がいっぱいで置けない
- 運びたいが通路がふさがっていて持っていけない
- 忙しいから一時的に別の場所に置いた
…などの理由で、適当においてしまうのです。
適当に在庫を置かれると、実際の在庫数が把握できなくなります。
すると、本当は在庫があるのに、追加で発注してしまい、無駄な在庫が増えてしまうのです。
在庫置き場の考え方
在庫管理を行うのなら、置き場所は1か所に決めるべきです。
とはいえ1か所ならどこに置いてもいい、というわけではありません。
在庫置き場を決めるときは、作業の動線を考慮して、無駄な動きが起こらないようにします。
出庫管理を行わないと在庫が消える
在庫を使うときは、いつ・だれが・何個使ったのかを、管理する必要があります。
つまり出庫管理を行うのです。
出庫管理を行わないと、「お客さんに言われたから」「別の場所で使うから」などの理由で、知らないうちに在庫が減っていきます。
冗談のように聞こえるかもしれませんが、実際に「これもらってくよー」と言って、持って行ってしまう方もいるのです。
なので、在庫を管理するのなら、出庫管理は絶対に必要です。
簡単な出庫管理の方法
一番簡単な出庫管理は、在庫の前にノートを用意し、持ち出したら記入してもらうこと。
従業員のモラルにゆだねることになりますが、ノートがあるとないとでは雲泥の差が出ます。
少なくとも、出庫管理で最低限必要な情報(いつ・だれが・何個使ったのか)は、管理できるはずです。
管理者を決めないとなぁなぁになる
最後に一番大切なことは、在庫の管理者を決めること。
在庫の管理者は、不足してきたら購買に発注を依頼し、入荷したら決められた場所にしまう方のことです。
もちろん在庫の出庫管理も、在庫の管理者が行います。
ポイントは、現場の人に任せてしまうこと。
間接部門の方が在庫管理を行おうとしても、実態をつかむのが難しく、管理しきれないものです。
その点現場の人であれば、何に使うのか、どのくらいで発注すればよいのかを理解していますよね。
責任を持たせるという意味でも、現場の方に在庫管理を任せると、うまくいきやすいようです。
最後に
在庫管理は業務の流れを整えないとできません。
新しい勤め先では、発注と納品の業務がめちゃくちゃなので、今ある在庫が本当にあっているのかどうか、さっぱりわからなくなっています。
つまり「今ある在庫」を管理するには、「これから手配する在庫」と「今入ってきた在庫」、そして「これから使う在庫」を管理しないといけないということ。
そのためには、発注から納品、出庫までの業務フローを、統一しないといけないのです。
すごく当たり前の話なのですが、意外とできていない会社が多い。
そしてできていない会社ほど、エクセルファイルやシステムで何とかしようとするものです。
もし在庫管理で悩んでいるのなら、きちんとした業務の流れができているのかどうか、確認したほうが良いかもしれません。