私が掛け持ちで人事の仕事をしていたときのことです。
新人教育に関する全てを任されて、カリキュラムからスケジュールまでを担当したときに起きました。
ここではそのときに起きた、私の失敗について紹介します。
私が20代後半の頃です。
当時は営業の仕事だけではなく、掛け持ちで人事の仕事も手伝っていました。
それがきっかけになり、新人教育を担当することになったのです。
しかも新人教育に関する全てを任されて、カリキュラムからスケジュールまでを担当しなければいけません。
上司からは「片手間でいいから」と言われていたので、気軽に受けた仕事です。
ですが実際に初めて見るとものすごいボリュームがあり、一人ではどうにもならないことが分かったのです。
ただ人手を借りたくても、私自身人手不足の人事部を掛け持ちで手伝っている状態。
当然経験のある人を借りることはできず、人事に入った新人を借りることにしました。
新人教育は新入社員が入社してから研修期間が終わるまで、私が立てたスケジュールに従って行動してもらいます。
そのことが私にとって、とても大きなプレッシャーでした。
なぜなら新人教育の内容次第で、研修後に職場に馴染める新人と、馴染めない新人が出るからです。
私も経験がありますが、職場になじめないと人間関係だけではなく、仕事でも苦労することになります。
職場になじめないことを苦にして、辞めてしまう新人もいるのです。
仕事を続けられるか、それとも辞めてしまうのか。
その結果が私の立てた研修の内容次第だと考えるほど、大きなプレッシャーを感じてしまい、とても不安な気持ちになったのです。
人事の方と研修内容の打ち合わせを繰り返す売りに、「失敗はできない」という思いは強くなっていきました。
だからこそ、しっかりと計画を立てるようにしたのです。
実際のカリキュラムは自分が経験した研修を取り入れて、実践的なものにしました。
配属してからすぐにでも仕事ができるように、できるだけ練習をさせるようにしたのです。
例えば、電話応対などは新人が最初にぶつかる壁です。
緊張と不安、恥ずかしさから電話に出たくないという新人は多いものです。
そのため、電話応対の研修では人事にかかってくる実際の電話に出てもらい、慣れてもらうことにしました。
人事への電話であればお客様からかかってくることはほとんどありません。
クレームや商品の問い合わせなども少ないので、練習には最適だと考えたからです。
「研修で新人の不安をできるだけ取り除く」ことを考え、研修が終わってから新人が困らないようにしたかったのです。
そんな思いで研修を考えていた時に、社長から「勉強のため取引先で研修を受けさせる」という案が出ました。
仕事に慣れていない新人を取引先に送り込み、しかも1週間も研修を受けさせる、というのです。
もともとの計画に社長の言う研修はありません。
新人としても、他社へ研修に行くとなれば不安を感じるでしょう。
新人に不安を感じさせてしまえば、「研修で新人の不安を取り除く」という研修の目的がぼやけてしまいます。
当然私は反対しました。
ですが相手は社長です。
必死の抵抗もむなしく、最後は社長権限で強引にねじ込まれてしまいました。
そして事件が起こります。
なんと取引先研修の直前に、研修をお願いしていた取引先との関係が悪化。
「御社の研修を受け入れることはできない」と、お断りの連絡が入ったのです。
たった1本の電話で、新人研修が丸々1週間白紙になってしまいました。
しかも直前に…。
私の失敗は、思い付きで行動する社長の案を信頼したことです。
研修を依頼した取引先は、あくまでも仕事上で付き合いのある会社。
研修を専門に行っている会社ではありません。
当然取引債の状況次第で、キャンセルになることは十分考えられます。
それなのに社長の案を信頼し、万が一の対策を怠ってしまったのです。
困ったことになったと思いましたが、時間がないのですぐに行動しました。
各部長に同じように研修をしてもらえる会社を探してもらったのです。
この時に助けてくれたのは、私の直属の上司でした。
営業のつながりを使って、新人研修を受け入れてくれる取引先を見つけてくれたのです。
ただ、一週間は難しいということで、3日間だけ研修してもらえることになりました。
残りの2日は特別授業として、私が講師になって授業をすることにしたのです。
結果として初めての新人研修は、いろいろと問題が起こったものの、何とか終わらせることができました。
この失敗から、スケジュールの確認は怠らないことが大事だと学びました。
一見完璧に見えるスケジュールでも、実際に動かしてみるといろいろな問題が起こります。
だからこそ、スケジュールを動かしながら確認することが大切です。
そして万が一イレギュラーが発生したときも、対処できるように次善策も用意しておくべきでしょう。