実地棚卸は在庫の数を数えるだけというとても単純な作業です。
ですが単純な作業だからこそミスが発生しやすくなります。
ぼくは転職の数だけ違う会社の棚卸を経験しています。
その中には、ありえない方法で棚卸を行う会社もありました。
ありえない方法で棚卸を行えば、決算の結果が信用できないものになり、最悪の場合は会社の信用を失うことになりかねません。
ということで、この記事では実地棚卸で抑えるべきポイントを紹介しています。
棚卸期間中は業務をすべて停止する
棚卸を行う期間は業務をすべて停止します。
なぜなら業務を行いながら棚卸を行うと、在庫が動いてしまい、正確な数を把握することができなくなるからです。
工場であれば生産を停止する。
商品の出荷は棚卸が終わってから行う。
荷受けは行わない。
どうしても行う必要がある場合は、荷受け後に棚卸除外品の札を貼っておく。
取引先には事前に棚卸の案内を送付し、棚卸期間中に出荷や荷受けがないようにすることも大切です。
預かり品や預け品を把握する
預かり品や預け品は棚卸の前に調べておきます。
預かり品には棚卸除外品の札を貼り、カウントしないようにしてください。
預け品は取引先に書面で棚卸を依頼し、在庫数を確認する必要があります。
遅くても棚卸の1週間前までには、「棚卸ご協力のお願い」などのタイトルで、預け品の棚卸を依頼してください。
カウントのルールを統一する
実地棚卸で一番大切なことが、カウント方法を統一することです。
カウント方法が統一されていないと、Aさんは数えているのにBさんは数えない、といった現象がおこります。
カウント方法が異なれば当然在庫もずれてしまうものです。
在庫管理が重さや長さであれば、カウントも重さや長さでのカウントになります。
個数で管理しているのであれば、使いかけをカウントするかどうかも決めないといけません。
カウントのルールは正確な棚卸を行う上で絶対に必要なこと。
手を抜かずに、商品群ごとにカウント方法を明確にしておきましょう。
在庫を整理する
実地棚卸をスムーズに行うには、事前の在庫整理が欠かせません。
なぜなら在庫が混在していると、戻す作業に時間がとられてしまうからです。
本来であれば棚卸だから整理するのではなく、常日頃から整理整頓を行っておきたいものです。
全員で行うという意識を持つ
棚卸は全員で行うものです。
自分の担当箇所が終わったら終わり、ではなく、手が空いたらほかの個所を手伝うようにしてください。
とはいえ言葉で言っても動かない人がいるのも事実。
なので、手が空いたら責任者に報告することをルール化し、責任者が手伝いの指示を出すようにすると、スムーズに作業が進みます。
仕掛は工程表で判断できるようにする
仕掛品は工程表と照らし合わせて確認します。
ぼくが依然務めていた会社では、工程表の出来が悪く、仕掛品の判断ができないケースがありました。
当然棚卸もめちゃくちゃで、ある時期には期末在庫がマイナスになることもあったほどです。
仕事がどこまで進んでいるのかを把握するためにも、工程表はきちんと作ることが大切。
これは棚卸のためではなく、日々の仕事を進めるためにも、重要なポイントです。
棚卸がおかしいと利益が分からなくなる
棚卸がおかしいと、利益を正確に把握できなくなります。
以前、「面倒だから棚卸除外品にする」と言い出すような上司と棚卸を行ったことがあります。
当然棚卸の結果がおかしくなり、後々役員会で問題になりました。
棚卸で在庫が増えると会社の利益が減り、支払う税金が少なくなります。
逆に在庫が減ると会社の利益が増え、支払う税金は多くなります。
極端な話をすれば、実際には赤字なのに棚卸の在庫が少なければ、帳簿上では利益が出てしまうこともあるのです。
つまり、棚卸はできるだけ正確に行わないと、思わぬ損害が発生してしまうのです。
最後に
棚卸で抑えるべきポイントを紹介しました。
実際に棚卸を管理している人からすれば、どれも基本中の基本という内容です。
ですが会社によっては、基本中の基本すらできないケースが多々あります。
基本を押さえなければ、正確な棚卸を行うことはできません。
この記事が棚卸で悩んでいる方の参考になれば幸いです。