「知らない」ことは「できない」、これは当たり前のことです。
ご飯の炊き方やカレーの作り方、漢字の書き方や数字の計算方法。
どれをとっても、やり方を知らなければできませんよね。
だからこそ、学校で漢字や計算を教わり、家庭で料理のやり方を教わります。
もちろん仕事も例外ではありません。
営業や見積もりの方法、業界ごとの習慣などは、自ら勉強するか教わらないとできないものです。
「知らない」と何がわからないのかもわからない
人に何かを教えるときによくある言葉が、「わからないことは聞いてください」というもの。
でも「わからないことを聞け」と言われても、知らない人には無理な話です。
何しろ「知らないこと」を教わっているわけですから、何がわからないのかも「わからない」のです。
知っている人からすれば「わからないこと」がわかる。
だから「わからないことは聞け」と言えるのですが、「知らない人」には「わからない」。
このことを教える側が理解しておかないと、教わる側が覚えるまでに長い時間が必要になります。
「当たり前」だと考えて教え忘れる
そしてありがちなのが、「私は知っているから相手も知っているはずだ」とい考え方。
例えば仕事を教えるケースでは、社内や業界での常識が「知っていて当然」の知識になります。
ぼくが経験した例では、「この会社では製品にメッキを行うことが当たり前」という考え方でした。
みんなが当たり前だと思っていることですから、誰も教えてくれません。
さらに製品を作るときに使用する図面にも、「メッキを行う」とは書いてないのです。
ぼくは図面正で制作していいと言われていますから、図面の仕様通りに製品を発注します。
ところが…。
納品された製品にはメッキをかけていません。
当然社内で大騒ぎになり、厳重注意を受けたことがあります。
図面に記載されていない仕様で、「社内の常識から外れた」からダメだ! と、言われたのです。
もちろん「図面正なのに、記載されていない仕様で注意するのはおかしい」と反論しました。
ぼくに仕事を教える人も、「社内の常識を知っていて当たり前のこと」だと考えていたため、教えることを忘れてしまったのです。
「知らない」ことを知るにはどうすればいいのか
「知らない」ことを知る方法はいくつかあります。
1つは常に知ろうとすること。
いまはインターネットでほとんどのことが調べられます。
スマホを持っていれば、場所に縛られることなく調べることができるのです。
なので、疑問に思ったことはその場で調べるようにしましょう。
調べれば調べるほどあなたの知識が増えていき、知らないことが減っていくはずです。
もう1つは失敗を繰り返して学ぶこと。
例えば「社内の常識」のような特定の分野でしか通用しない知識は、インターネットで調べても載っていませんし、本にも書いてありません。
「誰かに聞く」としても、自分が何を知らないのかわかっていないと、聞くことはできませんよね。
親切な先輩や同僚が教えてくれればいいのですが、そんな気の利く方はめったにいません。
結局特定の分野で常識と言われている知識は、失敗して学ぶしか方法がないのです。
「知らないことはできない」という当たり前のこと
と、いうことで、「知らないことはできない」のは、当たり前のことです。
何しろ「知らない」わけですから、やり方も当然「知らない」のです。
そんな「知らないこと」をやろうと思っても、できるはずがありません。
<余談>
ちなみに「できないのは知ろうとしないから」と言われるのは、「こうしたい」あるいは「こうなりたい」というゴールがあるケースです。
ゴールが決まっている状態で「知らないからできない」というのは単なる甘えでしかありませんよね。