小さなミスで気が動転!より大きなミスを引き起こすことに

小さなミスで気が動転!より大きなミスを引き起こすことに

私が大手の小売業で働いていた時のことです。

そのお店では店頭販売だけではなく、お客様のご自宅への配達や電話注文の受け付けなども行っていました。

とくに地元密着型の店舗になることを重視していて、地域の方々と触れ合う機会も多かったのです。

ですが私は、その業務に支障をきたすほどの大失敗をしてしまったのです。

 

私は子供の頃からお店で働きたいと思い、中でも販売だけではなく配達や注文受付などお客様のニーズに応えた業務に就くことを希望していました。

そして念願だった小売業に就職。

しかも地元では最も大きな小売店で働くことが決まり、本当にうれしかったのを覚えています。

 

入社した当初は、仕事を覚えるためにいくつもの部署を回りました。

中でも電話での注文の受付と配達業務は、会社がもっとも力を入れている業務なので、上司の指導も非常に厳しいものでした。

しかし当時の私は希望の仕事に就くことができた喜びと、今まで知らなかった小売業の複雑な業務に触れたことで舞い上がってしまい、高揚した気持ちで指導を受けていました。

とにかく楽しくて仕方がなかったのです。

仕事を楽しんで行えば、不思議と実績もついてきます。

また厳しい指導にも嫌な顔ひとつせず、楽しそうに仕事を行う様子を見て、上司も私が覚えの良い、優秀な人材だと思ってくれたのです。

 

その結果、当時の新入社員の中で私がもっとも早く、現場での正式な業務に就くことが決まりました。

本来なら一年ほどの日数を費やして研修を行い、それぞれに適した部署に配属されるのが普通です。

ですがその時は、現場の人員が不足していたこともあり、研修中にも関わらず配属先が決まったのです。

 

私が配属された部署は、電話で注文を受け、注文内容を帳簿に記録することが主な仕事になります。

正直私は店舗での来客対応を希望していたので、電話で注文を受けるだけの裏方のような仕事に不満を抱いていました。

しかし注文を受け付けるのも接客のひとつと思い、自分に与えられた仕事をしっかりとやり遂げようと気持ちを切り替えました。

いえ、切り替えたつもりでいたのです。

ところが…。

 

その日は朝からたくさんの注文を受け、注文内容を帳簿に記録する作業に追われていました。

そんな忙しく働く中、つい新しく受けた注文でお客様の名前の確認を忘れてしまったのです。

 

ミスに気が付いた私は、慌ててお客様に電話をかけようとしました。

ですが名前の確認を忘れたことに気が動転してしまい、電話機の操作を誤ってしまったのです。

番号を間違えたとか、そんな優しいレベルの間違いではありません。

なんと、リダイヤル用に保管されていたお客様のデータを、すべて消してしまったのです。

 

データが消えたことに気が付いた私は、顔面蒼白どころではありません。

名前の確認を忘れただけではなく、そもそも電話すらできなくなってしまった状況に、ただ茫然としてしまったのです。

異変に気が付いた先輩が、データの復旧を試みたものの失敗。

売り場の主任や店長も駆けつけ、データ普及を行いますが結果は変わらず。

注文データとお客様の電話番号の照らし合わせができなくなり、お店は大きな混乱に陥ってしまいました。

この時の私は息すらできないほどに体が固まってしまい、主任や店長に何を言われたのかも覚えていません。

私はちゃんと誤ったのかどうか、それすら記憶があやふやなほど気が動転していました。

 

店長が別の町にある支店に連絡を行い、お客様データのコピーをお願いしたことでトラブルが収束されたのを知ったのは、私がデータを消してしまった数日後のことです。

多くのお客様のデータを誤って消去したのはお店の信用を損なう大きな失敗ですが、業務が滞ることだけはかろうじて回避できました。

しかし現場を混乱させたことはやお客様に大きな迷惑をかけた事実は否定できません。

そのため、主任や店長と一緒にお客様へのお詫びを行う日々が続きました。”

 

お客様のデータを誤って消去したことでお店の業務に重大な支障をきたしたのは事実です。

お客様だけではなくお店で働く人たちにも大きな迷惑をかけてしまいました。

小さなミスで動揺し、慌ててフォローしようとしたことが、今回の失敗の原因です。

ミスをすれば気が動転して当然。

大切なのは、気が動転しているときはまず落ち着くことを心掛けることだと、この失敗から学びました。

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