専門職としてのイメージが強いSE(システムエンジニア)も、将来のことを考えるなら、キャリアプランを立てることが大切です。
SEが目指せるキャリアアップには、次の3つがあります。
- スペシャリスト
- プロジェクトマネージャー
- ITコンサルタント
また社内SEとして働き続ける場合も、次の3つを選択することができます。
- 課長や部長と言った「管理職」を目指す
- リーダーとして働く
- 技術者として働く
あるいは半リーダー半技術者として働くこともできるのです。
SEのキャリアアップを大まかな図にすると次のようになります。
この記事ではSEのキャリアプランについて、こういった描き方もあるという例を、図を用いて説明しています。
将来のキャリアプランに悩んだときに、参考にしていただければ嬉しいです。
スペシャリストを目指す
SEは基本的に上流工程を担当するので、プログラミングを行うことはほとんどありません。
ですが開発を行うプログラマーに、要件定義を伝える必要がありますから、SEのスペシャリストを目指すのであれば、プログラミングに関する知識は必須です。
その上でキャリアを考えると、次のようなキャリアプランがあります。
20代は経験やスキルを武器にして転職するのが難しい年齢なので、まずはSierとして次の経験を積んで行きます。
- ユーザーの業務を把握・分析
- システムの企画立案
- システムの構築
- 運用サポートなど
そして自分の得意なスキルを伸ばしつつ、資格を取得していきます。
これは資格の一例です。
- 基本情報技術者
- オラクル
- 応用情報技術者試験
- ネットワークスペシャリスト
- Linux技術者認定試験
- Oracle認定Javaプログラマ
- ORACLE MASTER Gold
そして30代で、経験とスキルを活かして転職を行います。
そのままSierとして働いてもいいですし、自社製品を開発している企業に転職してもいいでしょう。
得意なスキルを伸ばしつつ、それに関連したスキルを勉強することも忘れないでください。
40代以降はコミュニケーション能力を高めつつ、スキルを磨きながら第一線で活躍していくことを目指します。
スペシャリストは需要の高い専門的な技術を身につけていれば、転職市場でも人気が高く、転職でキャリアを上げやすいのも特徴です。
プロジェクトマネージャーを目指す
PM(プロジェクトマネージャー)は、チームをまとめて、プロジェクトを進めていく立場です。
それだけに責任も重大ですが、やりがいもあります。
PMを目指すには、キャリアプランを考えた上で計画的にキャリアを構築していくことが大切です。
20代はSlierとして経験を積むと同時に、将来のことを考えPMに必要なスキルを意識しておくことが大切です。
PMに求められるスキルは次のものがあります。
- 信頼を獲得する人間力
- プロジェクトを進めるスキル
- ニーズをまとめるスキル
- アーキテクトスキル
- 運用面のスキル
- ドキュメントスキル
- 費用を管理するスキル
転職をする場合はブラック企業を避けるようにし、より多くの経験が積める企業を選ぶことが大切。
30代では20代で身につけたスキルを磨きつつ、プロジェクトマネージャー試験を受けましょう。
プロジェクトマネージャー試験で期待する技術水準が次の内容のため、試験を受けることで役員等にアピールする狙いもあります。
- 組織運営及びシステム全般に関する基本的な事項を理解している。
- 個別システム化構想・計画及びプロジェクトへの期待を正しく認識し、実行可能なプロジェクト計画を立案できる。
- 前提・制約条件の中で、プロジェクトの目標を確実に達成できる。
- 要員・資源・予算・工程・品質などを管理し、プロジェクトの全体意識を統一して、プロジェクトを運営できる。
- プロジェクトの進捗状況や将来見込まれるリスクを早期に把握し、適切に対応できる。
- プロジェクトの計画・実績を適切に分析・評価できる。また、その結果をその後のプロジェクトの運営に活用できるとともに、ほかのプロジェクトの参考に資することができる。
そして40代~50代でPMとして働くことを目指します。
PMになるのは大変ですが、それに見合った責任と収入があります。
社内からの評価も高く、やりがいがあるのも特徴です。
社内SEとして働く
社内SEとして働く場合、管理職を目指すキャリアプランと、リーダーや技術者として働くキャリアプランがあります。
管理職(部長・課長)を目指す
管理職を目指す場合、基本的に転職はしません。
なぜなら部長や課長などのポストに付くには、実績や経験も必要ですが「勤続年数」も大きく影響しているからです。
なので1つの会社で長く勤めることで、社長や役員と人間関係を築くことが大切になります。
リーダーや技術者として働く
リーダーや技術者として働き続けるには、専門的な技術を持つことが大切です。
専門的な技術を持つことで、似たような技術を持った人たちとの競争が少なくなり、リーダーや技術者として働き続けやすくなります。
専門的な技術を突き詰めていけば、スペシャリストになることも夢ではないのです。
ITコンサルタントとして働く
SEとして培った経験は、ITコンサルタントとして生かすこともできます。
キャリアプランとしては次の図のように、プロジェクトマネージャーを目指すように経験を積み、ITコンサルタントへ転職します。
あるいは20代前半であれば、次の図のようにポテンシャル採用を狙い、基本的なスキルを身につけたら転職することもできます。
もちろん必要なスキルを身につけてから転職することも可能です。
転職はプロに相談する
SEは様々なスキルを身につけることが要求されるため、キャリアプランを描いていくと転職が必要になるケースがあります。
万が一ブラック企業に転職してしまうと、ひどい扱いを受けることもありますので、慎重に検討することが大切です。
もし「転職先の選択に自信がない」「キャリアプランについて相談したい」と考えているのなら、転職エージェントの利用をお勧めします。
一人で悩むより、より具体的なプランを提示してもらった方が、将来をイメージしやすいはずです。
自分でキャリアプランを描く
PMやスペシャリストなど、最終的な働き方を目標とした、キャリアプランの例を紹介しました。
ですが実際に行動へと移す場合は、自分に合ったキャリアプランを、自分で描く必要があります。
自分でキャリアプランを描くときは、次の順番で考えます。
- 最終目標を決める
- 短期・中期・長期の目標を立てる
- 目標を細分化し、論理的な順番に並べる
ひとつずつ説明していきます。
最終目標を決める
まず最終目標を決めます。
PMになるのか、スペシャリストとしてスキルを磨くのか、具体的になりたい自分をイメージしてください。
遠くから見た職業が、必ずしもあなたのスキルや性格に合っているとは限りません。
自分の強みや弱みを加味しながら、じっくりと考えてください。
短期・中期・長期の目標を立てる
最終目標を決めたら、次に短期・中期・長期の目標を立てます。
たとえばPMを目指すのなら、25歳までにシステムの企画立案、システム構築などの業務をマスターする。
同時にプロジェクトマネージャー試験の勉強を行い、個別システム化構想・計画及びプロジェクトへの期待を正しく認識し、実行可能なプロジェクト計画を立案できるようにする。
といった具合に、なるべく具体的に目標を立てていきます。
短期・中期・長期は、3年・5年・10年のスパンで考えてください。
目標を細分化し、論理的な順番に並べる
短期の目標をさらに細分化し、論理的に実行可能な順番で並べます。
例えばシステムの企画立案をマスターするために、明日からマトリックス法や定点観測法などの、発想の出し方を勉強する。
そして2カ月後には、取引先の現状調査と分析を自ら行い、上司に評価してもらう。
というように、具体的に実行可能なレベルまで落とし込んでください。
定期的に見直す
一度立てたキャリアプランを、何の変更もなく最後まで実行できることは、ほとんどありません。
多くの場合は途中で変更する必要があります。
まずは短期の目標に集中し、1年が経ったところでキャリアプランを見直してください。
そしてまた短期・中期・長期の目標を立て、短期の目標を実行可能なレベルまで落とし込めば、大きく道をそれることなく、キャリアを積むことができるはずです。
最後に
SEのキャリアプランの例と、自分でキャリアプランを描くための方法を紹介しました。
この記事がSEとしてのキャリアを考えている方の、参考になれば嬉しいです。