ぼくが務めている会社は、お客様から「殿様商売だね」とよく言われます。
理由は豊富な商品の知識や高い技術力を鼻にかけ、お客様を下に見た商売をしているから。
それでも裏付けされる技術があれば、納得がいかなくても「仕方がないか」と半ばあきらめた気持ちで取引をしてくれる会社があります。
問題なのは、失敗や不具合が起こった時にその原因をお客様側に持って行ってしまうこと。
つまりお客様の責任にしてしまうことです。
なまじ豊富な知識があるために、お客様も言い負かされてしまうことが多くあります。
お客様が反論出来ない豊富な知識と、他にはないオンリーワンの技術があるから天狗になる。
つまり殿様商売になるんです。
その結果従業員が「この会社はすごいんだ」と勘違いすると、あっという間に成長しない人になってしまいます。
殿様商売とは
余裕があるように構え、商品を売るための努力や工夫をせず、利益にこだわらない商売のやり方を皮肉って言う言葉。
さっきも言いましたがぼくの勤め先は「お宅は殿様商売だね」とよく言われます。
あまり言われたくはないんですけどね。
理由は・・・
- 社長や部長が挨拶に来ない
- 仕事を依頼しても「できない」と断る
- 営業もあいさつに来ない
- 値段が高い
- 納品まで時間がかかる
- そもそも偉そう
と言う事みたいです。
確かにお客様からしてみれば、「こっちが頼まないとやってくれない」と思う内容ですね。
そして社内でも「やってやってるんだから言うこと聞けよ」と、口に出す人は数人しかいませんが、そんな雰囲気が漂っています。
実際仕事をしている中で、「なんでこんなに上から目線で物を言うんだろう」と感じることも多々あります。
ということで実例を踏まえながら、そんな殿様商売を会社いると社員はどうなるのかを説明します。
殿様商売は長続きしない
仕事で問題が発生しました。
内容は、製作上の不注意で不具合が出てしまったとのこと。
それも製作した商品すべてに。
不具合の発生は仕方がないことだと思っています。
リスクの高い商品を作っていますし、ある程度はお客様も、従業員も覚悟して仕事を進めています。
納得がいかないのはその時社長から出た言葉。
「作るとき、私たちの意見を聞かないから不具合が出たと言うつもりだ」
だ、そうで。
この一言に私は心の底から驚きました。
この仕事は製作前に一度製作方法を提案し、それは受け入れられないと言うお客様の回答を、会社として受け入れて作り始めているはず。
なのに「意見を聞かないから不具合が出た」なんてなぜ言えるのか。
そして社長の言葉に、周りにいる全員が賛同するありさま。
起こった不具合から目をそらし、あろうことがその責任をお客様に転換する。
そして何事もなかったかのように通常業務に戻っていく。
なぜ不具合が起こったのかの追求もしない。
対策も考えない。
ましてやお客様への説明もない。
作り直しの日程はいつもと同じ標準日程。
どこまで上から目線で仕事をする気なのか。
「この会社そのうち倒産するんじゃないだろうか?」と本気で思いました。
どんなに優れた技術を持っていても、殿様商売は長続きしません。
自分たちで起こしたミスの責任を、他人に押し付けている時点で将来は無い。
殿様商売を続けていると、いつか必ず手痛いしっぺ返しをくらいます。
私が思う成長しない人の特徴
殿様商売を当たり前だと考え、上から目線で接する人は成長しない人になる確率が高い。
そんな会社にいる「成長しない人」は特徴があります。
ひょっとするとあなたの回りにも似たような人がいませんか?
他人の提案に「そう思っていた」と乗っかる人
他人の提案に「俺もそう思っていたんだ」と乗っかる人。
ぼくはすごく苦手です。
「黙ってろ!」
そう言いたくなります。言いませんが。
その意見が正しいかどうかはあまり関係なくて、立場上強い人が言う意見や、自分と仲がいい(と思っている)人の意見にすぐ乗っかる人。
そんな人信用できませんよね。
「そうそう俺もそう思っていたんだよ。やっぱそうだよな~」と、何の中身もない発言を繰り替えす、いわば腰ぎんちゃくのような人。
他人の提案に乗っかってばかりで自分の考えがない人は、間違いなく成長しません。
自分で考えないんですから。
間違いを指摘されるとムキになって怒る人
間違いを指摘したり反対意見を言うと突然、「はぁ!?」と、まるで高校生が人に絡むような態度になる人。
見ていて悲しくなってきます。いい歳してそれか…と。
そして挙句の果てに「そんなんしらねーよ」と吐き捨てて逃げる。
最低です。
人の意見を素直に聞き入れるのは難しいと思いますが、虚勢を張って攻撃しだすのは人として最低ですよ。
人の意見を真摯に聞く。
成長する人って、間違いなく聞く耳を持っていますよね。
改善を提案すると、「その件はね」と細かく説明しだす人
聞いていて思うのは、自分が責められていると勘違いしているんじゃないか?と言うこと。
あーでもないこーでもないと屁理屈を並べて、自分が間違っていることを意地でも認めようとしない。
何かが変わるのを本当に嫌がる。
会話をするだけ無駄なんじゃなかと思ってしまいます。
問題が起きると逃げる人
このタイプが一番最悪です。
何か問題が起きると他人のせいにして逃げる人。
そして責任を転換しているのに、いつの間にかそれが正論なんだと思い込んで、意地でも責任を取ろうとしない人。
「専門的なことは解らないので変わってください」と、お願いすると「やだ」の一言。
小学生か!と突っ込みたくなります。
自分の行動を正当化したがる人
誰も聞いていないのに、自分の予定をしゃべりだす。
そして誰も突っ込んでいないのに、その予定の理由を説明しだす人。
「来週○○へ言ってくるわ。いや今言っておかないと今後がない気がするからよ。な。」
何か後ろめたいことでもあるの?と、思ってしまいます。
自分の間違いを認められない人
「お客様からこう指摘されていますが。ここ間違えましたか?」
「あっそー。それで? どうしろって言うのよ? しらねーよそんなこと。違ってるって言うなら違ってるんでしょ。だからなに? なんだって言うの?」
こんな人が実際にいるからたまらない。
自分の非を認められずに開き直るのは本当にみっともないとおもう。
そんな特徴を持つ人は、何年たっても何も変わっていません。
毎日同じ仕事を繰り返し、去年も今年も来年もきっと同じ時期に同じことを言っています。
仕事が少なくなればやれ世間が、やれ業界がとすべての責任は外にあると言いだします。
仕事量が増えれば、もっとやれ~もっとやれ~と騒ぎだす。
毎年一緒。
同じ事の繰り返し。
次に何を言うのか、一字一句間違えずに代弁出来るくらい、同じことを言っています。
成長出来るわけがありません。
私が思う成長する人
成長するには主体性が何よりも大切です。
つまり何をやるのか、どうやるのかは自分で決める。
その行動の責任は自分でとると言うこと。
「言われたからやる」のではなく、言われたことでも「自分で考えてやる」、その姿勢が成長につながります。
「今日この仕事を上司に言われたから、言われた通りにやっています」
と言う人と。
「今日上司に言われた仕事を、よりよい結果を出すために自分で考えてやっています」
と言う人とでは、仕事の結果に大きな差が生まれます。
その考え方の差が、人を成長させるんです。
殿様商売の行く末
人が成長しないと会社も成長しません。
そして成長が止まった会社は衰退あるのみです。
責任をお客様に押し付けている時点で、かなり危険な思考が蔓延している気がします。黄色信号と言ったところでしょうか。
会社のトップがそんな考え方ですから、管理職にも似たような考え方が蔓延しています。
当然その部下も同じ考え方になってきます。
腐ったリンゴが1つあれば、周りのリンゴも腐るように。
「お客様が満足する商品を提供する」のは、製品を販売する会社であれば当たり前の事。
その基本的な考え方が抜けてしまっては、将来は絶望的でしょう。
成長しない人の行く末
世間は厳しさを増しています。
大手企業でも業績が傾き、再生のために他社の資本を入れたりすることが当たり前になってきました。
売り上げ拡大のための提携も珍しくありません。
シャープが台湾の会社の支援を受け入れ、ダイハツがトヨタの完全子会社になったように、今自分を取り巻く環境がいつ変わるか。
自分で情報を集められない人は、将来が暗闇にしか見えないでしょう。
成長しない人も同じで、自分が今どこにいて、明日何をすればいいのかが分からなくなります。
当然業績が傾いた時は、真っ先にリストラ候補になります。
会社も人も、成長することでしか今を維持することは出来ない時代です。
自分の身は自分で守る。
この考えがないとあっという間に取り残されてしまいます。