
営業を10年。
購買を3年経験し、取引先の集中がどれほど危険かを理解しました。
それも実体験で…。
私が体験したことを箇条書きにすると、こんな感じです。
・電話に一切出ない
・メールも返信しない
・発注すると請負書がFAXで送られてくる
・納期は守らない
・いつ納品されるかわからない
・値上げは請負書で価格を上げてくる
正直な話、メチャクチャ頭にくる対応をされているわけですが。
ほかの仕入先がないから何もできないという…。
いや正確には1度注意はしたな。
不良品を平気で持ってくるから、せめて検査くらいしろと。
それからですね。
顔は出さない電話に出ない。
メールの返信もなしになったのは。
取引を1社に集中すると、こういう事態になりかねないわけです。
取引先を集中するメリット
とはいえ、取引先を集中するメリットもあります。
・大量発注で価格を下げられる
・情報のやり取りが楽
・親密な関係が築ける
・無茶を聞いてもらえる
取引先を集中させることで安定した売上を確保できます。
将来の予測も立てやすく、会社経営も比較的楽なんですよね。
さらに仕入額も下げられるため、利益も出しやすい!
だから全体の売上が低いとき。
あるいは従業員が少ないときは、集中したほうが会社を成長させやすいわけです。
とはいえ…。
当然デメリットもあります。
取引先を集中するデメリット
取引先を集中させるデメリットは、取引先のほうが強くなってしまうことです。
例えば冒頭で紹介した仕入先のような感じかな。
相手も取引が集中していることを知っています。
自分たちが仕事を断れば、こちらが困ることも当然知っているわけです。
なので、次のような事態が起こります。
・仕入れが高額になりやすい
・販売が安値になりやすい
・こちらの言い分をスルーされやすい
・強く出るとしっぺ返しを受けやすい
つまりあれだ。
会社の命運を取引先に握られているようなものなんです。
私個人の経験としては、取引先を集中されるメリットはゼロに近い。
はっきり言って、デメリットのほうが大きいんですよね。
金額次第で後回しにされる
取引を集中させれば、こちらの言い分を聞いてもらいやすくなる。
とはいえ、もっと大口の取引先を相手が持っていれば、後回しにされます。
これも実体験です。
納期を発注から2か月後に設定。
トラック1台分じゃないと困るというから、4t車1台分発注。
したのに!
指定した納期から2か月遅れました。
取引先を集中させてもこうなります。
つまり、金額が少ないと何をやっても後回しにされるんですよね。
これが現実です。
1社集中はきつい!適度に分散させよう
はっきり言います。
取引先を1社に集中させるのは、はっきり言ってきつい。
リスクを考えても、取引のしやすさを考えてもきついんです。
だから、適度に分散させることが大切。
というかですね。
ストレスがたまるから、分散させましょう!
比率を見てコントロールする
売上でも仕入れでも、金額と比率を見てコントロールすることが大切。
できれば10%以上の取引先はないほうがいい。
特に売上ですね。
1社で30%を超える売上を持っているなら、ちょっと考えたほうがいいです。
ほかの会社の売上を伸ばして、各社10%以下にするのがベスト。
売上を下げろとは言いにくいしね。
30%を超える会社があると、「これだけ売っているんだから、無理を聞け!」と、取引先じゃなくて担当営業に言われます。
で、悪夢が始まるわけです。
なので、構成比で10%を超えないように、意図的にコントロールすることが大切。
1社集中はマジできついですよ。
部品ごとに最低2社は確保する
仕入れ先は比率で見ちゃダメです。
部品ごとに考えてください。
そして、この会社からしか仕入れられない、という部品はなくしましょう。
そういった部品があると、足元を見られます。
単価が高くなったり、納期を守らなかったりと、問題ばかり起こります。
その会社からしか仕入れられないわけですから、
どうしても相手が強気になってしまうんです。
で、購買が苦労します…。
仕入れ先は部品ごとに最低2社は確保する。
これ、めちゃくちゃ重要なことですから!
ある程度規模のある会社と付き合う
これも体感ですが、取引するならある程度の規模がある会社と付き合いましょう。
特に個人事業主やフリーランスと付き合うときは、相手の人柄を見極めることが大切。
そして、その人にしかできない、という状況は作らないことです。
冒頭で紹介した会社は、社長1人事務1人の小さな会社。
なので、気に入らなければいつでも取引を切れる状態にあるわけです。
つまり!
その会社にしかできない!
という状況でも、社員相手なら何とかなる。
でも、相手が社長や個人事業主だと、どうにもできないんですよね。
理由は責任が会社にあるか、個人にあるかの違いです。
社員ならその責任は会社にありますよね。
でも社長や個人事業主は、責任がその人にあるんですよ。
その違いです。
面倒ごとが嫌なら、ある程度規模のある会社と付き合うことをお勧めします。
最後に
営業と購買では、立場が180度違います。
営業は購買を訪ね、仕事をもらいに行きます。
購買は営業に対して、仕事を依頼します。
両方の立場を経験して思ったこと。
やっぱね。
人として誠実さは何より大切。
気に入らないからと嫌がらせをするのは最悪です。
とはいえ、それができてしまうのが社会というもの。
そしてその土壌を作ったのは、間違いなく今務めている会社です。
付き合いたくない人。
あるいは付き合いたくない会社と、きちんと距離を置くことができる。
そんな環境を作るためにも、取引先は分散させることが大切。
一極集中は、いろいろな意味で面倒ですよ。