
さて今回は、外注費と変動費、粗利の話です。
いま私が働いている工場は、外注費がかなり高くなっています。
なぜなら、社員が休職しているため、人数が足りていないからです。
なので、どうしても外注に頼るしかないんですよね。
ただ、ここで問題がひとつ。
製品の見積額は、本社に渡す想定で計算されていること。
これが大問題。
言い方を変えると、ほとんど利益をとっていないんです。
つまり、原価に経費を乗せた最低限の金額で見積もっている。
だから、ちょっとでも原価が上がると、あっという間に赤字になるんですよ。
で、タイトルの話になります。
ギリギリの金額で見積もっているから、外注費が増えると赤字になると思っている人が多いんです。
主に管理職や経営者ですけどね。
中には、外注費が粗利を食っていると思う人もいるんですよね。
先日会議でも、似たようなことを言われました。
外注費が増えているから粗利が減ってしまい、工場が赤字になっていると。
これ、的外れもいい話なんですよ。
なぜなら、外注費が増えても赤字になることはまずないなら。
外注費…つまり、仕入れが赤字なら話は別ですけど。
その辺のことを話していきますね。
外注費が粗利を食うことはない
何度も言いますが、外注費が粗利を食うことはありません。
粗利を食う…つまり、利益が減るのは仕入れが赤字の場合だけです。
粗利って、売上―売上原価 なんです。
90円で仕入れた商品の、売上原価は90円。
売値が100円なら、粗利は10円になる、ということ。
でね。
外注費って、社外に仕事を依頼することを言うんですよね。
社外で作ってもらった商品を仕入れる。
つまり外注費=原価になるわけです。
ここまで大丈夫ですか?
で、外注費より売値が高ければ、粗利は出ますよね?
外注費90円で売値が100円なら、10円の粗利です。
つまり、外注費が粗利を食うことはないんです。
後工程があると話が変わる
ただ、後工程があると話が少し変わってきます。
例えば、外注で作ってもらったものに、社内で手を加える場合。
そうだな。
プラスチック製品を外注で作ってもらって、社内で組み立てと塗装を行う場合、とかかな。
これだと、外注費=原価にならないんですよね。
組立費と塗装費がかかりますから。
なので、外注費+塗装費+組立費が売値を超えていると、赤字になるわけです。
とはいえこれは、値付けの問題。
外注費が粗利を食っているわけではないんですよ。
粗利を食うとは
今更な気もしますが、粗利を食うについて説明しますね。
粗利を食うとは、要は売値より仕入額が高くなることを言います。
例えば、社内で作ったA商品の粗利が30円だとしますよね。
で、外注で作ったB商品の粗利がー40円だとしたら?
A商品の粗利をB商品が台無しにしている。
つまり、食べてしまっているわけです。
これを、粗利を食うといいます。
ま、一部の人が好んで使っている表現?
比喩ですね。
外注品が粗利を食うことはない
さて、もう一度言います。
外注品が粗利を食うことはありません。
なぜなら、外注品の仕入れ値は、目で見てわかるものだから。
例えばですよ。
社内で製品を作った結果、思った以上に時間がかかった、とか。
失敗しまくって材料を無駄にした、とか。
そういったことが外注品にはないんです。
見積もりが100円なら、外注費は100円です。
で、あれば、110円とか200円とかで売れば、絶対に利益が出るんですよ。
思ったより時間がかかったとか、材料を無駄にしまくったとか、そういったことは一切ありません。
見積もりで100円なら100円です。
むしろ、社内より計算しやすいのが外注費。
その外注費が粗利を食うなんてことは、まずありえないんです。
赤字になるのは利益が固定費を賄えないから
だいぶややこしい話をしている気がしますが…。
外注費が粗利を食う。
外注を使いすぎるから利益が出ない。
そういう管理職は大勢います。
が、根本的な原因は、外注で出た利益が固定費を賄えないからです。
例えば、固定費が100円、外注費が70円、売値が150円だとしたら?
20円の赤字…ですよね?
ここを理解してください。
外注費70円の売値が150円なら、80円の黒字なんです。
でも、固定費が100円も必要だと、20円赤字になります。
これ、わかりますか?
粗利を食うのは外注費じゃない固定費だ!
頭の良い人ならすぐにわかったはず。
そうです。
粗利を食っているのは外注費じゃありません、固定費なんです。
これね。
アホな管理職?
いや、経営者?
ま、つまり責任ある立場の人ほど誤認するんですよ。
責任を取りたくないからね。
人の責任にすれば楽だしね。
でもまぁ、現実はそういうこと。
外注費が赤字じゃない限り、粗利を食うことはないんです。
そして、金額がはっきりとわかる外注費を、赤字にするほうが難しいんですよ。
最後に
ここまでの話は、会計の話じゃありません。
ましてや、簿記の話でも、経営の話でもないんです。
算数の話です。
足し算や引き算の話なんですよ!
でね。
この理屈を理解できない人の多いこと多いこと。
話をしていてうんざりするほどです。
外注に出した品が赤字になるのは、大元の計算が間違っている可能性が高い。
そうでなければ、赤字になる可能性はものすごく低いんです。
まず、ここを理解しましょ。
そして、調べてもいないのに、外注に原因を求めるのはやめましょう。
視野が狭くなり、本当に必要な対策を打てなくなりますよ。