「人間関係が嫌で仕事を辞めたい」と退職するのは「逃げ」なのでしょうか?
いいえ、人間関係で辞めたいと思ってもそれは逃げではありません。
むしろ耐えられないほど人間関係が辛いのなら、すぐにでも退職するべきです。
なぜなら職場の人間関係が辛くなるのは、立場の強い者が弱い者に対して冷たい態度をとったり、嫌がらせをしたりするからです。
しかも「嫌だな」と感じる人間関係を改善したいと思っても、相手にその気が全くないこともあります。
つまり職場の人間関係は、一度こじれると改善が難しいのです。
解決できないことが悩みを大きくし、結果として会社に行くことも、仕事をすることも辛くなってしまいます。
だからこそ「人間関係で退職することは逃げじゃない、自分を守るためにも退職も考えるべきだ」と言えるのです。
まずは冷静になる
人間関係が辛い仕事はやめても構いません……が、それでも一度は冷静になって、本当に辞めるべきか考えてください。
人間関係で辞めるべき人
もし次の状態に当てはまるのなら、できるだけ早く仕事を辞めるべきです。
- パワハラなどハラスメントがある
- 仕事の相談もできないほど孤立している
- 仕事に支障が出ている
- 上司や会社に対策する気がない
- 何らかの症状(うつなど)がある
この状態に当てはまるなら、その会社の環境は最悪です。
とくに上司や会社が何の対策も取ってくれないと、時間が経つにつれて状況は悪化していきます。
なのでできるだけ早く退職するか、可能であれば違う部署への異動を希望してください。
人間関係がつらい仕事を続けるには
特定の人にだけ態度を変えきつく当たるのは「いじめ」と同じです。なので、仕事を続けることはお勧めしません。
それでも仕事を続けたいと思うのなら、次のことを試してみてください。
上司や同僚に相談する
同じ職場で働いている上司に相談することで、解決できることもあります。
同僚に相談することで味方になってくれることもあるでしょう。
ただし信頼できない方には相談しないこと。
中には親切心で色々面倒を見ているつもりでも、余計に問題を難しくしてしまう方もいます。
また面倒を避ける上司には注意が必要です。
なぜなら「面倒にならない方法」を解決の手段とすることがあり、結果として「弱者」が損をするからです。
家族に相談する
家族はあなたの悩みに親身になって相談に乗ってくれます。
客観的な視点でアドバイスをしてくれますから、きっと参考になるはずです。
また職場での立場を話しておくことで、最悪職場に居られなくなった場合、退職に対して理解を得やすくなります。
仕事と割り切る
全ての人と良好な関係を築くことはできません。
価値観や考え方の違いから、なんとなく上手くいかない人は必ずいるものです。
なので無理に良い関係を築こうととせず、仕事中だけの付き合いだと割り切ることも大切です。
ただし関係を割り切ったとしても仕事上では付き合い続けないといけません。
割り切ることで本当に仕事が続けられるのか、よく考えてください。
でないと悪戯に自分を追い込むことになりかねません。
人事部に相談する
ある程度規模の大きい会社であれば、人事部に相談してみても良いでしょう。
「業務に支障が出ている」「パワハラがある」など、明らかな問題があれば、解決するために動いてくれます。
場合によっては部署間での異動も検討してもらえるでしょう。
中小規模の会社では人事担当者の力量次第です。
普段接することも多いでしょうから、人事担当者の人柄を考慮して、相談するかどうかを決めてください。
異動を希望する
辛い人間関係を改善するには、他部署への異動を希望するのも方法のひとつです。
部署が変われば一緒に働く人も変わり、人間関係が改善される可能性があります。
小さな会社でも部署が変わると関わる人が変わるもの。
辛い人間関係を改善する多面い、ダメもとで上司や人事部に異動を相談してはいかがでしょうか。
自分の行動を変える
人間関係を改善するには、まず自分の行動を変えなければいけません。
なぜ自分を変えるのか。
それは、他人を変えることはできないからです。
人間関係を改善するための、自分改革のポイントは次の8つ。
- 大きな声でハキハキ話す
- 挨拶は自分からする
- 悪口や影口を言わない
- 失敗したらお詫びを言う
- 手伝ってもらったらお礼を言う
- 嘘はつかない
- 話は全身を相手に向けて聞く
- 仕事に真剣に取り組む
どれも当たり前のことですが、できている人はほとんどいません。
だからこそ徹底して実行すれば、人間関係を改善するきっかけになるはずです。
改善が見込めないなら退職する
- 色々と手を尽くしたけど改善される見込みがない
- 相談をしたら余計悪化した
- 転職しか解決する方法がない
こういった場合は今の仕事を諦め、別の仕事を探してください。
そもそも人間関係を改善するために努力することで、さらに自分を追い詰めてしまっては元も子もありません。
心身が壊れる前に職場を変えるべきです。
もしパワハラやセクハラなどのハラスメントに悩んでいたり、いじめがある場合は外部の相談窓口に連絡することもできます。
関連記事:労働問題の相談窓口一覧
人間関係で辞めるのは逃げなのか
後ろ向きの理由で仕事を辞めるのは「逃げ」になりますが、ほとんどの人は「給与が安い」「評価されない」といった「逃げ」の理由で退職しています。
つまり人間関係で辞めたとしても、「逃げている」と気にする必要はないのです。
仕事を続けるのも辞めるのも個人の自由なので、「逃げ」か「攻め」かを気にしても意味ありませんよね。
大切なのは気持ちを前向きにし、明るく頑張れる環境を手にすること。
前向きになるための退職なら「逃げ」でもいいのです。
人間関係を理由に仕事を辞めると後悔するのか
人間関係で苦しんでいる職場を辞めるとかなりスッキリします。
次の職場が今以上に悪くならない限り後悔することはないでしょう。
職場は1日の3分の1を過ごす場所。その場所が人間関係で辛かったのですから、働きやすくなるだけでもかなり気持ちが楽になるはずです。
むしろ「辞めて良かった」と思うケースが多いようです。
人間関係の問題で転職しても同じことを繰り返すのか
人間関係の問題で退職した人は、別の職場へ行っても「同じことを繰り返す」と言われます。
ですが同じことを繰り返すのは「あなたに問題がある」場合です。
例えば…
- 影口を頻繁に言っていた
- 誰かを無視した
- 挨拶をしなかった
- 遅刻の常習犯
- ミスをしても反省しない
…など、あなた自身の問題が原因で人間関係が悪くなった場合は、転職しても同じことを繰り返す可能性が高くなります。
そうではなくて「相手に問題がある」「理由が分からない」場合には、同じことを繰り返すかどうかは転職してみないと分かりません。
面接時の退職理由をどうするか
今の仕事を退職する理由は、「一身上の都合」もしくは「体調不良」でいいと思いますが、問題は次の職場の面接です。
「人間関係が嫌で退職しました」という退職理由だと、多くの面接官は拒絶反応を示します。つまり「ほかの人と上手くやっていけないのではないか」と心配するのです。
なので本当の退職理由が「人間関係が嫌」だとしても、面接時に伝える退職理由は前向きなものにする必要があります。
退職理由の考え方
前向きな退職理由を「考えるコツ」は、
- ~してくれない
- ~しろと言われた
といった後ろ向きの表現を使わないこと。
そして、
- ~がしたい
を中心に考えることが大切です。
具体的に人間関係の問題から「~がしたい」につなげるには、次の順番で考えていきます。
- 誰がいると人間関係が辛いのか
- なぜ辛いと感じるのか
- その結果、どんな影響が出ているのか
- その人がいなければどんな仕事ができるのか
- つまりどんな仕事がしたいのか
仮に営業で人間関係が辛いケースに当てはめると、次のようになります。
- 上司
- 売上が未達だと人前で怒鳴られる
- 売上優先になり、お客様のことが考えられない
- お客様の利益を考えた営業ができる
- お客様の悩みを聞き、喜んでもらえる営業
この考えを中心に退職理由をまとめると…。
「前職では高い売上目標がかけられていました。もちろん売上達成のために、最大限の努力しましたが、売上が上がるほど、お客様1人にかけられる時間が短くなってしまったのです。
私はお客様の悩みに寄り添い、貢献する事が営業だと考えております。
もっとお客様と信頼関係が築ける仕事がしたい、そう考え退職を決意しました。」
この内容であれば、上司が嫌で辞めたとはだれも思わないでしょう。
退職理由を考えることは「~がしたい」に目を向けて、考えることが大切です。
転職先の探し方
転職先はハローワークと転職エージェントを利用して探します。
なぜならこの2つは扱っている求人の種類が違うからです。
ハローワークには転職サイトや転職エージェントを利用しない、地元の中小企業の求人が集まっています。
そして転職エージェントには、ハローワークには出ていない、お金を払ってでも人を採用したい企業の求人があります。
つまりハローワークと転職エージェントを併用することで、より求人情報を集めやすくなるのです。
特筆したいのは転職エージェントについて。
転職エージェントは求人企業に出入りしていることが多く、企業の内情や人事担当者のことを知っています。
ということは求職者が通常知ることのできない情報を、転職エージェントは持っているのです。
しかもその情報は聞けば教えてもらえます。
企業の内情がわかれば、人間関係で失敗する可能性も少なくなりますよね。
もちろん経験やスキルに合った求人の紹介や、履歴書や職務経歴書の添削、面接対策なども「完全無料」でサポートしてもらえます。
さらに聞きにくい質問や給与交渉など、面倒な交渉事も代わりに行ってくれるのです。
転職エージェントのサポート内容は主に次の6つ。
- キャリアの相談
- 求人紹介
- 履歴書や職務経歴書の添削
- 面接の段取り
- 面接対策
- 給与交渉
あまり知られていないことですが、内定後に退職のサポートも行ってもらえます。
また求職者の経歴から関連の職種だけではなく、未経験の職種や業界でも求人を紹介してくれるので、迷っている方には選択肢が広がって嬉しいですよね。
なによりハローワークと並行して利用すればより情報が集まりやすくなり、希望に沿った求人も見つけやすくなります。
ちなみに転職エージェントでは、転職に関する相談だけの登録も受け付けてくれます。
つまり転職エージェントを利用するからと言って、絶対に転職しないといけないわけではない、ということです。
転職するかどうか、どの会社に入社するか、最後に決めるのはあなた自身です。
転職エージェントは、あくまでもサポートしてくれるサービスとして利用すると、うまく行きやすくなります。
ぼくのおすすめは『リクルートエージェント』と『doda』
『リクルートエージェント』は、業界最大手の総合転職エージェントで、保有する求人数が多いのが大きな強みです。
担当者によってサービスの質にばらつきがありますが、とにかく求人数が多いので、案件漏れを防ぐためにも登録は必須。
『doda』はパーソルキャリア(旧:インテリジェンス)が運営する、リクルートエージェントと1・2を争う総合転職エージェントです。
提案力に定評があり「悪い口コミ」もほとんどなく、担当者の当たり外れが少ない転職エージェントだと言われています。
職務経歴書の添削や面接対策・カウンセリングなど、実践的なサポートが素晴らしいと高評価。
本気で転職を考えている全ての方におすすめです。
最後に
人間関係はとても複雑で、解決したくてもできない場合が多くあります。
特に強者が弱者に行う嫌がらせは、本人が対処しようと思ってもできないことが多いのです。
ストレスを感じないように接することも大切ですが、ときには見切りをつけて転職することも自分を守るうえで大切なことです。
「逃げ」じゃないかと心配になるかもしれませんが、自分を守るためなら逃げてもいいじゃないですか。
そもそも転職理由のほとんどは「逃げ」なのですから。
転職しても同じ結果になるかどうかは転職してみないと分かりません。ですが、今の辛い状況から解放されるだけでも心が休まるはずです。
くれぐれも、体や心が壊れるまで無理をしないようにしてください。