「出産や育児で休職していたけど、薬剤師として復職したい!」
そう考える女性は大勢います。
薬剤師は女性が多く、出産や子育てで職場を離れても資格があれば、復職しやすい職業です。
ですがママ薬剤師が実際に復職を考えたとき、気になるのは「ブランク」ではないでしょうか。
職場を離れてしまうと、自分の知識やスキルに自信が持てなくなってしまうもの。特に新薬や政府方針などが分からず、復帰することに不安を感じるものです。
またどんな働き方があるのかも、知っておきたいですよね。
この記事では復職を目指すママ薬剤師向けに、ブランクの埋め方や働き方について書いています。
復職を考えたときの参考になれば嬉しいです。
ママ薬剤師の働き方
ママ薬剤師のなかには、正社員として職場に復帰し、バリバリ働く方もいます。
でもお子さんがまだ小さいうちは、パートとして働く方が多いようです。
あるは派遣薬剤師として働くこともできます。
ひとつずつ説明していきますね。
正社員として復職する
まず正社員として復職することのメリットを説明します。
- 収入が安定する
- 事業の中核を担うことができる
- スキルアップや人脈の構築ができる
- 福利厚生が充実している
正社員は責任が重い分、店長や管理薬剤師として事業の中核を担ったり、会社の制度を利用して、スキルアップや人脈の構築を行うことができます。
また収入が安定し、福利厚生が充実していることもメリットです。
ただし、当然デメリットもあります。
- 勤務時間が8時間
- 残業がある
- 遅刻、早退が難しい
- 異動・転勤がある
お子さんが小さいうちは、8時間勤務や残業、遅刻・早退の難しさが、そのままデメリットになります。
家庭があると時間の融通が利きにくいことが、大きなデメリットかもしれません。
時短勤務制度をつかう
時短勤務制度は子どもが3歳になるまで、1日原則6時間の短時間勤務に変更できる制度です。
勤務時間が短くなることで、育児にかける時間を増やすことができます。
ただし「1年以上雇用されていること」「6時間以上の勤務が週3日以上あること」など、利用するための条件があります。
制度が利用できる職場に、産休・育休から復帰する場合は、利用を検討しても良いかもしれません。
※職場独自の制度を設けている企業もあります。
パートとして復職する
ママ薬剤師が復職するときに、圧倒的に多いのがパートです。
ではパートのメリットから紹介します。
- 勤務時間や勤務日を選ぶことができる
- 高時給の求人が多い
- 異動・転勤がない
- 条件を満たせば社会保険に加入できる
一番大きいメリットは、ライフスタイルに合わせて勤務時間と勤務日を選ぶことができることです。
またパート薬剤師はかなり時給が高いのも特徴です。
異動や転勤がないのも嬉しいですよね。
次にパートのデメリットを紹介します。
- 雇用面での安定が望めない
- 勤務先が限られている
- 福利厚生が薄い
パートは経営の悪化などでいきなり解雇されることもあり、雇用が安定しないことがあります。
また、勤務先はドラッグストアか薬局に限られてしまい、病院や企業の求人を見つけることが困難です。
ボーナスも少なく、福利厚生サービスを利用できないケースもあります。
それでも時間と日にちの融通が利くのは、とても大きなメリットです。
派遣として復職する
最後に派遣薬剤師です。
まずはメリットから見ていきます。
- 時給が超高い
- 短期間だけ働ける
- 勤務時間を調整できる
派遣薬剤師は人手が不足している職場に派遣されるため、時給がかなり高くなります。
また勤務時間を契約時に調整することができますし、勤務期間(3ヶ月や半年など)を区切って働くことができます。
こう見るといいことだらけですね。
では次に、デメリットを見ていきます。
- 勤務先が選べない
- 雇用が安定しない
派遣薬剤師の場合、雇用主が派遣会社になることがほとんどです。
そのため、勤務先を派遣会社に指定されることになります。
自宅から近ければいいのですが、結構遠い勤務先へ行くことも多いようですね。
また契約が切れたときに、更新してもらえる保証もありません。
派遣薬剤師は、短期間でしっかりと稼ぎたい方向けの働き方かもしれません。
ブランクを埋めるための方法
長い間職場を離れていると、気になるのがブランクです。
ここではブランクを埋めるための、勉強方法を紹介します。
子育ての合間に自宅で勉強する
自宅で勉強する場合は、インターネットでサイトを探すか書籍を購入することになります。
おすすめの書籍
人気の高い書籍は「今日の治療薬2017」と「治療薬ハンドブック2017」です。
毎年改定され、簡潔に書かれているため利用している医療関係者が大勢いるのも特徴です。
おすすめサイト
サイトで調べるのは政府方針と業界の動向が主になりますので、薬事日報がおすすめです。新薬や新製品の情報を得ることも出来ます。
薬事日報では、医薬関連の研修会やセミナー、講演会等の開催情報や、薬剤師認定制度認証機構、認証機関の生涯研修会などの一覧も見ることが出来ます。
研修を利用する
ブランクを埋めるために研修を利用するのも一つの方法です。
ここでは、薬剤師向けに研修を行っている機関を紹介します。
公益財団法人 日本薬剤師研修センター
薬剤師の研修にとても力を入れている機関で、様々な研修を開催しています。
薬剤師として勤務していなくても、薬剤師の資格を持っていれば誰でも受講することが出来ることが魅力ですが、研修によっては参加費や参加資格が定められているものもあります。
他にも、インターネット研修やビデオ集合研修、小児薬物療法認定薬剤師制度、認定実務実習指導薬剤師制度の研修、1日薬局・病院実務研修などがありますから、興味があれば一度サイトを見てみることをお勧めします。
URL:http://www.jpec.or.jp/index.html
公益社団法人 日本薬剤師会
日本薬剤師会は、中央に日本薬剤師会、47都道府県にある県薬剤師会、さらに細かく分かれる支部薬剤師会と言う組織構造になっています。
そのためか、サイトが結構使いにくい…ですが、住んでいる地域の薬剤師会に加入して、様々なサポートを受けるのも復職方法の一つです。
注意点としては会費が必要となることでしょうか。
サイトが47都道府県からさらに細分化されていくので、使いやすさにかなりの差があります。
会員登録する前に一通り確認することも大切かもしれません。
URL:http://www.nichiyaku.or.jp/
一般社団法人 日本女性薬剤師会
女性薬剤師会主催の薬剤師継続学習通信教育講座を受講することが出来ます。(男女を問いません)
これは認定薬剤師研修機関にも認定されているので、認定薬剤師証の取得の為に単位を取る事も出来ます。
通信教育講座の受講料は女性薬剤師会会員が15000円、会員以外は18000円です。ほかにも、研修や講演会も開かれています。
ママ薬
ブランクのある薬剤師のために、調剤実技研修を行っています。
研修は
1:調剤の基礎
2:保険薬局の薬剤師業務
3:薬剤師の知識とスキル
4:薬局業務シュミレーション
の4つが4日間で行われ、
Aコース(1.2.3の3日間)
Bコース(2.3.4の3日間)
Cコース(1~4の4日間)
から選ぶことが出来ます。
研修は有料ですが、ママ薬経由で転職が決まると無料になります。
開催地は東京と梅田(大阪)です。
ちなみに研修の開催日は会員登録をしないと見ることが出来ません。
復職支援制度のある職場を探す
自宅で勉強し復職を目指すのも大切ですが、診療報酬改定や情勢の変化など、勉強しないといけないことは多く、独学では限界があります。
職場によっては復職を支援する制度が充実しているところもあります。
独学で学習しながら、復職支援制度のある職場を探してみてください。
ハローワークのインターネット検索で探す場合は、希望する職種で「薬剤師」を選び、応募条件内の免許・資格で「薬剤師」を選択します。
そして、フリーワードで「研修」と入力して検索すれば、備考欄に「研修」の文字が入った薬剤師向けの求人が表示されます。
薬剤師向けの求人は経験を「不問」としていることが多いので、研修にこだわらず、問い合わせてみても良いかもしれません。
職場復帰で注意すること
ママ薬剤師が職場復帰するときに注意したいことは、同じママ薬剤師が働いているかどうかを確認することです。
子供は突然体調を崩したり、思わぬケガをすることがよくあります。
そして保育園や学校から呼び出されることも多いものです。
そういったときに子供を持つママ薬剤師がいないと、子供のために休んだり早退したりすることを理解してもらえない可能性があります。
職場で子育てを理解してもらえないと、とてもつらい立場に追い込まれてしまいますから、ママ薬剤師がいる職場を探すことが大切です。
これは最初の問い合わせで聞くか、面接で質問することで分かる内容なので、必ず確認するようにしましょう。
最後に
独学である程度勉強したら、研修制度のある職場に思い切って飛び込んでみることも大切です。
ブランクがあるからと躊躇していてはいつまでも働くことが出来ません。
研修を実施する求人が多いのも、恐らくはブランクのある薬剤師が多いからだと考えられます。
もし、勉強方法や復帰方法が分からなければ、薬剤師専門の人材紹介サービスを利用してみてください。
経験豊富なキャリアコンサルタントがきっとあなたに合ったアドバイスをしてくれます。
薬剤師向けの人材紹介サービスはこちらの記事を参考にしてください。